極大射程 下 (扶桑社ミステリー)

  • 扶桑社
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  • Amazon.co.jp ・本 (454ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784594068523

感想・レビュー・書評

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  • 本書を読むきっかけは、スティーブン・ハンターの新著『囚われのスナイパー』の書評を読んだこと。「な〜んだ、シリーズものか〜、じゃ最初から読まないと」ってことで図書館で借りました。

    上下2巻で、返却期限までに読めるかな?と思いましたが、"page turner"(=ページを捲る手を止められない)で余裕で読了。ハラハラさせられ実に面白かった。ウォシタ山脈とハード・バーゲン・ヴァレーでの死闘には正に手に汗握りました。"twists"も練れていて満足。

    私は映画の"Jason Bourne"シリーズが超お気に入りなのですが、その私のテイストにピッタリでした。『囚われのスナイパー』まで充分楽しめそうで嬉しいです。

  • 思った通りに大団円。
    確実に狩る事が出来ると思っている大悪党共の
    裏をいともたやすく画く、この気持ちよさ!
    にくいね~ボブ。
    コロナで閉塞感のある毎日を送ってる今だからこそ、
    小説の世界だけでも、スッキリ爽快な気分に
    させてくれるのは、とても素晴らしい事だ。

    やっぱり悪党は絶対的に悪党であって欲しいものだ。
    そしてヒーローは常に完璧でなくてはいけない。

    悪党に同情したり、ヒーローが悩むのは頂けない。

    暑くて喉がカラカラに乾いてる時にキンキンに冷えた
    ビールを一気にゴクゴク呑むような突き抜けた爽快感が
    冒険小説の醍醐味なのだ。

  • まさに娯楽エンターテインメント小説の決定版。
    狙撃手(スナイパー)を主役にした小説は数あれど、本書が元祖スナイパー小説の最高峰だろう。
    ボブ・リー・スワガーシリーズの第一巻。映画化もされている。
    恥ずかしながら僕はこの本のことはずっと前から知っていたのだが未読だった。

    いや、みなが傑作ということだけのことはある。
    この本が1993年の刊行だとは思えないほど古さを感じさせない。
    まさに手に汗握る大活劇。
    主人公は、ベトナム戦争で海兵隊の狙撃手として活躍したスワガ―軍曹。現在は退役し、余生を一人で過ごしている。そんな彼のもとに特製のライフル用弾丸を試射してほしいという依頼がくる。そこからスワガ―は大統領暗殺計画という陰謀に巻き込まれていくのだ。

    まじで、面白い。
    冒険小説が好きで、スナイパーものが好物の人にはたまらない物語。
    未読の人はぜひ、騙されたと思って読んでもらいたい。本当に冒険アクション小説の要素がすべて詰まった傑作だ。

  • 1993年発表、ハンターを一躍メジャーな作家に押し上げたボブ・リー・スワガーシリーズ第1弾。銃器への偏愛が全編にわたり横溢し、かの大藪春彦を彷彿とさせるほど。マニアックなディテールは、時に筋の流れを堰き止めかねない分量に及ぶ。だが、勢いのままに筆を走らせる作者は、力技で読み手を捩じ伏せる。起伏に富むプロットに緊張感溢れる活劇を盛り込み、燃える男を活写。ハンターの並々ならぬ意気込みを感じる力作だ。

    ベトナム戦争時、米軍海兵隊2位の腕を持つといわれた名射撃手スワガー。除隊後はウォシタ山脈で隠遁生活を送っていた。そんな中、米政府の法執行関連テクノロジー/武器/訓練/小火器の専門的助言を請け負うという組織の者が、新開発した銃弾の試射を依頼。極めて精密な長距離狙撃を可能にするという誘い文句に興味を引かれたスワガーは受託。難なく仕事を終えたが、組織はさらなる要望を加えてきた。近々当地で演説する大統領の暗殺計画を入手。〝いつ、どこで〟は掴んでいるが、〝どこ〟から狙うかが分からない。某国に雇われた暗殺者が、かつてベトナムの地で己に重傷を負わせ、親友を殺したロシア人と同一人物だと知ったスワガーは、大統領がセレモニーを行う現場を視察、トップレベルのスナイパーが選択するに相応しい狙撃の場を事前に突き止め、組織に告げた。
    そして、世捨て人同然だった男は、己自身の過信と油断故に、罠に嵌まる。大統領狙撃は阻止されず、スワガーは暗殺者として仕立て上げられた。使用したライフルや銃弾、暗殺実行日直前の行動など、全ての証拠がスワガーが殺し屋であることを指し示した。銃弾を浴びながらも辛くも逃げ延びた男は、抑え切れぬ憤怒を抱えたまま、壮絶な復讐戦へと没入する。

    様々な伏線を貼る序盤はややもたつくが、暗殺者の汚名を被る場面から一気に加速し、終盤までスピードを緩めない。図らずもスワガーの味方となるFBI捜査官や、凄腕の車椅子スナイパーなど、一癖ある登場人物を配置。ただ、女性を描くことは不得意らしく、ロマンス的要素は浅い。必然、本作での読みどころは射撃のエキスパートによる白熱の闘いにある。中でも白眉となるのは、数百人の戦闘員に囲まれた山上で迎え撃つ高密度のスナイプで、ハンターは圧倒的な筆力を披露している。

    本作は世評も高く、ハンターの代表作に相応しいのだが、粗さも目立ち、私は絶賛とまではいかない。その最大の理由は、冒頭で二度と「殺さない」と誓っていたはずのスワガーが、自尊心を傷付けられたが故に、何の葛藤もなくあっさりと撤回することにある。まるで開放/爽快感を味わっているかのように繰り広げる殺戮。導入部で森の中に棲まう老鹿とスワガーが触れ合うシーンがあり、無意味な死に与しない信念を伝えているのだが、このエピソードが浮いてしまっている。主人公の変貌に触れないことは、展開上不自然な欠落であり、深みにも欠けていると感じた。また、今ひとつ感動の度合いが低いのは、射撃に特化したヒーローとして割り切る〝ゲーム性〟に重点を置いているからだろう。銃器のみに愛情を傾けるという非情なアウトローという設定では情感が流れず、アクションのみを目玉とせざるを得ない。所詮は、ベトナムで何人殺したかが尺度となる世界のストーリーを、読み手が受け入れられるかどうかで違ってはくるのだが。さらにもうひとつ。終幕近くでスワガーの罪を問う裁判のパートは明らかに蛇足で、もう一捻り付け加えているとはいえ、クライマックスの高揚感を弱めている。

    本作は、物語として充分完結しているのだが、読者の評判が良く、作者自身も自信があったため〝サーガ〟化したのだろう。スワガーは、第一弾の時点で四十代半ば。驚くべきことに、シリーズ最新作「狙撃手のゲーム」(2019年)では七十代の老人である。如何に高齢化社会とはいえ、いい加減ヒーローから解放したらどうかと思うのだが。自らの年齢を反映させているらしいハンターはともかくとして、老いたスワガーの活躍さえファンは待ち望んでいるのだろうか。

  • このミス海外編2000年版1位。海外編もこの年代になると普通に面白い。この年の2位がボーン・コレクターだし、この先も楽しみ。本作はのちにシリーズ化される第1作目であり、スーパーヒーローが活躍するやつってわかってるので安心して楽しめる。話は比較的わかり易い娯楽大活劇。主役がかっこいいし、魅力的な女性がからんでくる。まあ、最初はちょっととっつきにくいとこあるけど、途中からはグイグイ進む。前半は緻密なロジックでスゲーと思うけど、後半はなんだか雑な感じで大味になってきて、そんなとこブラついてたら殺られてまうでしょとか、ちょっとご都合主義すぎるでしょと思ったりします。それでも、最後に大技がかかるのが爽快。文庫上巻の242頁の「数分間の溶接と、ちょっとした調整ですむことで、少なくとも彼らがなんらかのやり方で自分を利用しようとしたときには身を守る手段にもなる。」を読んだあとしばらくはこの伏線はどこで回収されるのか気になっててたのですが、下巻の最後にはすっかり忘れてました。

  • 下巻から
    ようやく本格的な戦闘へ
    敵味方の両脇役たちもいい味を出してきます。
    ボブがまたどうにもカッコいい
    御都合主義?いやいやベタでいいじゃんよ
    最後の最後まで勝てるかわからない。

    でも、お財布事情的に
    (^^; シリーズを追うのはまだ後でいいかな?

  • んー、最後まで、「これ、もう、主人公まけんじゃない?」シチュエーションが立て続けに続くが、驚異的に勝ち抜く。エンターテイメントとしては面白いんだけど、さすがにややご都合主義が鼻につく。シリーズ、たくさん出てくるけど、すぐに次作に取り組むほどは印象に残らなかったかなぁ。

  • 何度も主人公や、その仲間達が死んだと思った…絶体絶命のピンチを全力で跳ね返して立ち向かうの格好いい!
    ラスト近く、また終わったと思ったら、もう忘却の彼方にあった某保険が見事に働いて大逆転。痺れたー!
    老弁護士も惚れ惚れする仕切りで、大勝利を収めた2人は共に女と幸せになりましたとさ。
    めでたしめでたし。
    個人的には犬の記述に泣けましたよ…そう、あいつらは健気なんだよ…

  • 続編も読まなければ。

  • 銃についての描写が詳細で、正直読み飛ばす部分が多々ありました。
    思ってた以上に戦争ものでした。

    ラストの法廷対決の場面は良かったです。

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著者プロフィール

Stephen Hunter
スティーヴン・ハンター

1946年ミズーリ州カンザスシティ生まれ。
68年ノースウェスタン大学卒業。
71年ボルティモア・サン紙に入社。
書評担当などを経て映画批評担当になる。
96年ワシントン・ポスト紙に転じ、
映画批評部門のチーフとなる。
2003年ピューリッツアー賞(批評部門)を受賞。

「2022年 『囚われのスナイパー(下)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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