最後のイタコ

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著者 : 松田広子
  • 扶桑社 (2013年7月22日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (188ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784594068592

最後のイタコの感想・レビュー・書評

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  • 『モヒカン族の最後』のようなタイトルに驚いて手にとった本。
    もともとイタコに興味を持っていましたが、まさかイタコの本が出ているとは。
    しかもイタコ本人が出しているとは思いませんでした。

    恐山で死者の口寄せをするイタコ。
    霊媒巫女のような存在ですが、実はいつも恐山にいるわけではなく、普段は青森県南部地方や津軽地方に暮らしており、例祭の時だけ山に登るんだそうです。

    確かに、以前恐山に行った時には、イタコは一人もいませんでした。
    1980年代には、300人ほどいたというイタコですが、高齢化が進んで現在は10名以下。
    最年少が40代2名で、その一名が著者、つまり最後のイタコなのだそうです。

    死者と交流をするという盲目のイタコは、子供の頃には恐ろしく近寄りがたいイメージがありましたが、実は津軽地方では、死者の霊を呼び出すだけではなく、家族にトラブルが起きたらイタコに相談する、カウンセラーのような役割を果たしているとのこと。
    普段のイタコは、占いやお祓いをしたりするよろず相談所で、人々の実生活に深く根ざしている職業だそうです。

    イタコの発祥は、明治時代の後期頃ではないかとされているようです。
    「日中戦争」「日露戦争」で肉親を失った家族が、亡き死者に会うために各地の霊場にお山参りや観音霊場巡り、四国八十八箇所遍路を行ったのがそのきっかけだったとのこと。
    思ったよりも近年でした。

    著者は、一般家庭に生まれたものの、自分で希望してイタコの道に入ったため、家族は驚いたそうです。
    昔は盲目で仕事が無い女性が修行をしたと聞きますが、そういった人だけではないのですね。
    十代の頃はヤンキーだったという著者。
    ヤンキー上がりのイタコなんて、驚きです。

    結婚、出産、離婚を経て現在は2児の母であるとのこと。
    バンド活動が趣味だったとのこと。
    想像していたよりもずいぶん人間らしいイタコです。
    イタコデビューしたのは19歳。それから初めて恐山へ登ったということで、恐山での仕事を知らないままイタコになったことにびっくりしました。

    イタコの使う霊媒仏具も紹介されており、興味深く読みました。
    見たこともない独創的な数珠。普通の仏教からはかなり違っています。

    恐山円通寺の南直哉院代のことも書かれていました。
    以前読んだ、彼の『禅とハードル』はとても興味深いもので、著者の文章からは、南院代がイタコたちの良き理解者であることがわかります。

    仕事の資質上、繊細で感受性が鋭い人が多いというイタコ。
    デビューしたての頃は、客の思いの強さに圧倒され、プレッシャーを感じていたそうです。
    霊よりも、生身の人の「気」が強いこともあるということでしょう。

    かなり破天荒な半生を歩んできた著者ながら、イタコの修行には非常に真剣に取り組んでいる様子が伝わってきます。
    言葉の使い方一つで、人の人生を狂わせることにもなりかねないという責任感を持って、臨んでいるそうです。
    恐山のイタコにジョン・レノンやプレスリーを呼んでもらったという話を聞いたことがありますが、その人と縁のある霊しか降ろせないため、歴史上の人物や有名人、外国人は無理だそうです。

    死後の世界のような荒涼とした恐山ですが、そこで恐山ウエディングをしたカップルがいたという話には驚きました。
    男女が親に口寄せで結婚報告したそうです。

    科学的な根拠のない仕事だと思う反面で、青森の親戚がイタコに口寄せをしてもらったことを思い出したり、先の東日本大震災の被災者が恐山を大勢訪れているという話を聞くと、彼女たちは残された遺族にとって、希望をつなぐ大切な存在なのだと感じました。
    後継者難だというイタコの世界。数十年後にも果たして彼女たちの秘儀が続いているのか、気になりながら本を閉じました。

  • 最後のイタコになるかもしれない松田広子さんですが、最後にならないようにしたいとのこと。そんなにいなくなっているんですね‥‥昔は盲いた女性が12,3でならされていた者だったとのこと。今は盲学校など社会福祉が普及し、彼女のように健常者が望んでなるもの‥‥しかし家族には反対された。イタコを常に身近に頼っていた家でさえ。まあ、歴史的事情を知っていればなおのこと当然か。

  • 【図書館】イタコは常に恐山にいるわけではないらしい。口寄せばかりが仕事なわけでもないらしい。出版時点で40代のおふたりが最年少のイタコとなるとか、筆者が言う通り、絶滅危惧種だ。イタコが現れたのは明治後半になってくらいではないかということだけど、6代で消えてしまうかもしれないというのはさみしいものがある。どんな方がいらしても、きちんとその方が信仰する神々に助けていただけるように、という思いにぐっときた。海外の方へ口寄せされることもあるんだな。

  • 現役の若いイタコ

    による どうしてイタコになったのか

    イタコの生活はどういうものか書かれた本。


    この著者は 本当にイタコになりたかったことがわかる。

    シャーマニズムは これからの日本でも残るのであろうか。

  • 現役で活動している中で最年少のイタコによる、イタコについての本。少し前の民俗学の本に載っているイタコとはまた違う、「今」のイタコの姿や、イタコから見たイタコの活動や人生観が分かる。民俗学資料としても興味深いけど、一人の女性の生き方としても興味深い。

  •  心霊というよりは、シャーマン寄りだった。ユタみたいなものか?(と言ってもユタもあまり知らないけれどね)

     死者に寄りすぎず、あくまでも今向き合っている相談者が前を向いて生きていけるようにアドバイスする姿勢は美しい。というか、松田さんの立ち姿の写真が美しい。ほんとにきれい。
     悩んだときには会いに行きたいものです。会うだけで心が洗われそうだ。

  • 幼少の頃からイタコになりたいと願い、高卒後に本格的修業をして一本立ち。口寄せだけでなく祭事(オシラさま遊び)など地域・各戸の行事、呪文等々、東北地域の生活に根付いてきた存在。
    松田広子杖が「最後のイタコ」にならないよう願う。

  • イタコの世界を紹介 青森・八戸の松田さんが出版 - 本のニュース | BOOK.asahi.com
    http://book.asahi.com/booknews/update/2013080500001.html

    扶桑社のPR
    「現役かつ最年少のイタコが 初めて語る半生と不思議な世界

    南部イタコの6世代目で“最後のイタコ”と呼ばれる1人の女性の数奇な運命、そしてイタコやオシラ様といった、青森の民間に今も根付く神秘的世界に触れる一冊。」

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