薄明鬼語―西村賢太対談集

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  • 扶桑社
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  • Amazon.co.jp ・本 (197ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784594070472

感想・レビュー・書評

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    対談相手みなさん大物だし面白いわー

  •  『西村賢太対話集』(2012)につづく、2冊目の対談集である。

     今回の対談相手は、田中慎弥・木内昇(のぼり)・本谷有希子の小説家陣と、六角精児(俳優)、テリー伊藤、マツコデラックス、ダイアモンド☆ユカイ、水道橋博士……という面々。
     『西村賢太対話集』の対談相手が全員作家(高田文夫のみ放送作家)で、「文学対談」という趣だったのに対し、本書はもっと多彩な内容になっている。

     小説家が相手の3編についても、堅い文学論にはならず、けっこう笑える。
     それでも、西村が(ほかのことはともかく)小説を書くことについてだけは誠実であることが、行間から伝わってくる。

     田中慎弥との対談で、田中の「なんで作家になったのかとか、どうやったら作家になれるのかと聞かれてもわからない」という言葉に対して、西村は次のように応じる。

    《西村 良い答え方がありますよ。「作家になりたいひとは作家になれません。小説を書きたいひとだけが作家になれるんです」と言えばいい。これは意外と真理を突いていますな。やっぱり損得抜きに書きたいという意欲が、根底にあってのことだから。》

     また、ダイアモンド☆ユカイとの対談での、次のやりとりも印象的だ。

    《ユカイ ずっと私小説を書き続けていて、そこに行き詰まったりしないんですか。
    西村 とっくに行き詰まって、いまやもうスカスカの状態です(笑)。でも、口幅ったいですけれども、スカスカのところから絞り出すのが職業作家なんです。他に書いてるヤツらも、限界はとっくに超えてると思うんです。そこを絞り出せるかどうかがプロとアマチュアの違いなんでしょうな。》

     ほかには、本谷有希子の天然っぷりがスゴイ。
     西村に「アル中なんですか?」と率直すぎる問いをぶつけたり、「西村さんは、そう遠くないうちに死んじゃうかもしれませんね」と言ったり……。

     たしかに、随筆に垣間見える暴飲暴食ぶり、1日に100本はタバコを吸うという度外れたヘビースモーカーぶり、それにあの体型から、傍目にも心配になる。しかし、それを対談で言うか(笑)?

  • 西村賢太はかなり用心深いから、こんな対談では全く本心をさらけ出すことなく、あくまで求められるキャラクターを演じているだけのような気がする。小説ならば、まぁコントみたいなもんだから、面白いけど、対談になると、もの足んないなぁ…本当に思ってること、ちょっとも出てない。

  • 私小説を書く作家の対談集。 芥川賞・直木賞のカレなりの考え方、別の受賞者との対談 映画化された自身の作品の酷評、どれもこれも歯に衣を着せぬ物言い 
    芥川賞の作品も 賛否両論別れていたのでまだ読んでいませんが 怖い物みたさで読んでみようかと思う。

  • 2015/09/03-09/08
    対談というとプライベートな内容が多く見られるが、本著は巨頭対談のような雰囲気を醸し出している。読後のゆったり感や充実感 爽快感がある。久しぶりの一押し。

  • ある書店に行くとどうしても西村賢太さんの本を探して買ってしまうという病気。
    対談にも「賢太語」が入り込み、面白い。

  • 無頼派私小説家、西村賢太の対談集。相手は同じ芥川賞受賞者の田中慎弥などの作家たちに加えて、タレントのテリー伊藤、マツコ・デラックス、ダイヤモンドユカイなど脈絡のない幅広さ。

    西村氏の対談は、相手を転がして言葉を引き出すのではなく、自身の性癖や収入を暴言混じりにしゃべりまくり、相手に「この人よりマシか」と油断を与えて恥部を語ってもらうというスタイル。自爆対談とでも名付けるべきか。おかげで、西村氏が語る小説家としての決意、意地ばかりが印象に残る。テリー伊藤との対談なんて、西村氏が映画「苦役列車」の悪口を言いたいためだけにセッティングされたようなものだ。

    収入を披露し、風俗通いを隠さないいつもどおりの西村賢太だった。この人はブレない。私小説の主人公と自分自身の関係性に悩みつつも、それが快感になっているという発言を聞くと、この人の人生は小説を書くことで成立しているのかもしれない。

  • 小説と違って、対談相手に気を使い、相手の立場や思想をはかり、真面目に対応する氏の一面が見れる。
    それが面白いと感じるか、守りに入ってつまらないと解釈するかは読み手の感受性に委ねられてよいのだろう。

  • 初めて著者の対談集を読んだ。去年のレギュラー番組降板についての記述が興味深い。

  • 西村賢太氏と著名人の対談集。
    そのお相手が、同じく芥川賞受賞時の発言で話題を搔っ攫った田中慎弥氏だったり、西村氏の風俗発言により同時直木賞受賞したのにスポットライトを浴び損ねた木内昇氏、演劇界と小説界で注目の本谷有希子氏(個人的にファンなので本谷さんで読むのを決めた)、六角精児さん、テリー伊藤さん、マツコデラックス、ダイアモンド☆ユカイ、水道橋博士。。。何かと問題児というか、風雲児というか、変わってる、話題性ある方達とのくろーい対談。面白くないわけがないじゃない!!

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著者プロフィール

西村賢太(1967・7・12~2022・2・5)
小説家。東京都江戸川区生まれ。中卒。『暗渠の宿』で野間新人文芸賞、『苦役列車』で芥川賞を受賞。著書に『どうで死ぬ身の一踊り』『二度はゆけぬ町の地図』『小銭をかぞえる』『随筆集一私小説書きの弁』『人もいない春』『寒灯・腐泥の果実』『西村賢太対話集』『随筆集一私小説書きの日乗』『棺に跨がる』『形影相弔・歪んだ忌日』『けがれなき酒のへど 西村賢太自選短篇集』『薄明鬼語 西村賢太対談集』『随筆集一私小説書きの独語』『やまいだれの歌』『下手に居丈高』『無銭横町』『夢魔去りぬ』『風来鬼語 西村賢太対談集3』『蠕動で渉れ、汚泥の川を』『芝公園六角堂跡』『夜更けの川に落葉は流れて』『藤澤清造追影』『小説集 羅針盤は壊れても』など。新潮文庫版『根津権現裏』『藤澤清造短篇集』角川文庫版『田中英光傑作選 オリンポスの果実/さようなら他』を編集、校訂し解題を執筆。



「2022年 『根津権現前より 藤澤清造随筆集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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