許せないという病 (扶桑社新書)

著者 :
  • 扶桑社
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感想 : 5
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  • Amazon.co.jp ・本 (175ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784594074074

感想・レビュー・書評

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  • 『他人を攻撃せずにはいられない人』という本でヒットを飛ばした(私は読んでないので知らない)、精神科医片田珠美さんの本。前書きに、激しい祖母と母からの虐待とその「許せなさ」からこの本を書いた、とあり、その切実さに引き込まれて手に取った。

    誰かに対して「許せない」怒りを抱いている人に向けて書かれた一般書である。

    一般書だけに、平易な言葉で書かれており、すぐに読める。

    だけどだけど…その分内容は、細やかさに欠け、一般論やイメージを土台に端的に言い切る断定型で、うーん…パリでラカンを学んでこれなのか…と失望。
    この調子で患者さんにアドバイスもしてるみたいだけど大丈夫なんだろうか…

    男性は、女性は、と言い切ったり、STAP細胞の小保方さんのことを、直接何を知っているわけでもないだろうに空想虚言症だと言い切ったり。
うーん…

    対象喪失の乗り越え方としてキュブラー・ロスの死の受容5段階説を持ち出すのも、グリーフケアの世界ではもはや5段階説を取り上げる人はいないわけで、情報がかなり古い時代で止まっているというか…(まぁ日本人はキュブラー・ロスが好きだよね…)

    この本で述べられていることも、具体的な調査や研究に基づいているのではなく、あくまでも「私はこう思う」っていうだけで、根拠はないみたいだし…。

    この本を読んで、役に立った、という人がいるなら、その体験を私は否定しないし、良かったと思う。
    だけど、もし本当に、「許せない」思いを抱えて苦しんでいるなら、もっと穏やかであなたにあった方法があると思う。この本でなくても…。

著者プロフィール

1961年生まれ。大阪大学医学部卒業、京都大学大学院人間・環境学研究科博士課程修了。京都大学博士(人間・環境学)。専門は精神医学、精神分析。フランス政府給費留学生としてパリ第八大学でラカン派の精神分析を学びDEA(専門研究課程修了証書)取得。精神科医として臨床に携わりつつ、精神分析的視点から欲望の構造について研究。日生病院神経科医長、人間環境大学助教授を経て、現在、神戸親和女子大学教授。著書に『オレステス・コ
ンプレックス—青年の心の闇へ』『17歳のこころ—その闇と病理』(共にNHK出版)『分裂病の精神病理と治療7—経過と予後』(共著、星和書店)など、訳書に『フロイト&ラカン事典』(共訳、弘文堂)などがある。

「2005年 『攻撃と殺人の精神分析』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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