日本会議の研究 (扶桑社新書)

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著者 : 菅野完
  • 扶桑社 (2016年4月30日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (302ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784594074760

日本会議の研究 (扶桑社新書)の感想・レビュー・書評

  • 【久保田和男先生】
    ベストセラーであり、大宅壮一ノンフィクション大賞の候補作である。「日本会議」とは現政権の支持団体として大きな影響を及ぼしている右派団体とされている。大阪の某幼稚園の校長もこの団体のメンバーであった。この事件が勃発する一年前に出版されたこの本の222頁には、某幼稚園がなぜ、「愛国教育」を行っていたのか、「日本会議」の活動の中で紹介している。私がこの本読みながら、著者の執拗な探究心に感心した。ポイントは、右翼団体としての日本会議が、とある巨大宗教団体の分派が、成長してものであること。その分派は、70年安保における、左派学生に対する対抗勢力として出発した人々が中心となっていること。かれらが、左派学生がとったビラ配り、街宣活動、セクト主義などを学んで、右派を束ねる巨大な組織に発展してきたことが理解出来る。本書の特徴は、その時期エリート然としていた左派学生に対する怨念として、この右派団体の活動が継続しているという整理である。これは、やや一面的な見方ではないかという読後感も得たが、人間社会の歴史の中ではありがちなことである。最後に一人の黒幕(ラスボス)をつきとめるという内容構成をとっているが、これは、読者をわくわくさせるものである。

  • 昨年来の評判の本書をようやく読んだ。
    著者はジャーナリストではなく元会社員とのことだが、埋もれていた情報を丁寧に掘り起こしていることにまずは感銘した。
    メディアに「保守系の支持者」という言葉が登場し、何故にこのような人々の意向が大切なのかと思っていたが、その「支持者」達が垣間見えた気がする。
    一方で、本書はよくある陰謀論のようでもあるし、著者自体にイデオローグがあろう。どこまで真実の研究であるのかは、判断がつかなかった。

  • 徹底した取材にもとづいて、安倍首相の権力基盤の源泉となっている日本会議(生長の家原理主義のネットワーク)の実態を炙り出している傑作。テーマが極めて政治的であるため、客観性を担保するための著者の1次文献に対するこだわりは執念といっても良いほどだ。

    本書で目からウロコが落ちたのは、「ある意味安倍晋三は『小選挙区制の申し子』といえなくもない」という主張だ。

    第一次安倍政権を誕生させる流れを作ったのは、自民党の中で長年尊重されてきた「総幹分離原則」を無視して同じ派閥から安倍晋三を幹事長に抜擢した当時の小泉首相である。それを可能にしたのは、公認権をはじめとする党内の人事権を執行部が独占する小選挙区制特有の仕組みである。小選挙区制は政権交代を可能とする二大政党制を想定して導入されたものだが、同時にそれまでの自民党の各派閥の影響力の低下という副作用をもたらした。「自民党をぶっ壊す」(壊し屋の象徴の一つとしてX-Japan好きも公言した)というキャッチフレーズもあったが、それを十二分に活用して首相の座をつかんだのが小泉氏だ。

    小泉首相の時代の政治がもたらした帰結は別として、小泉氏は演説がうまく、カリスマがあった。靖国参拝など総裁選の公約を果たしていることからも、一定の保守派の組織票はあったとは思うが、小泉氏の権力の源泉はその無党派層を中心とする国民的人気であろう。しかし、安倍晋三にはそれもない。それゆえに日本会議や「生長の家原理主義者ネットワーク」をはじめとする「一群の人々」が安倍の周りに群がり、右翼団体の常套手段である「上部工作」が効きやすい状況ができたという著者の主張は説得力がある。

    本書によって、「特定の特殊な思想を奉じる決して可視化されない人々が、その正体を明かさず国政の一大事に口出ししようとしている」由々しき事態に一石が投じられた。政治活動には時間とカネがかかるが、日本会議は人口ボリュームのある保守高齢者を押さえ、そしてそれを徹底して効率的に動員し、政治的影響力を最大化している。日本の民主主義の健全性を担保するためには、彼らの主張というよりは「運動手法」への対抗手段を考えないと、日本があらぬ方向に持っていかれる危険性があると思う。

  • 森友学園問題で垣間見えた日本会議の存在。安倍政権の閣僚の多くが所属する浸透度。その成り立ちから一群の中心人物像、活動実態を独自の膨大な調査で解き明かしていく。改憲の源流であり、非民主的な思想の実現に向け、民主的な活動を長年続けて力を蓄えていく過程は皮肉な現象であり、目立たない部分の積み重ねで、後戻りできない全体を構築する手法は危うさを感じる。劣化したマスコミでは捉えきれない対象として、著者は警鐘を鳴らしている。

  • 今更ながら、話題の本をやっと読んだ。

    現閣僚の8割がこの関連団体に所属するとされ影響力が大きいだろうというのに、メディアでは断片しか報道されない。その団体の成り立ちや活動を、刊行物や証言等のエビデンスをとりながら、ファクトを積み上げていくことで論証していく。
    現政権の動きの背景が少しわかった気になる。


    読書メモ

    1章 日本会議とは何か
    皇室中心、改憲、靖国参拝、愛国教育、自衛隊海外派遣
    宗教団体の多様性

    2章 歴史
    日本を守る会 生長の家
    生長の家の学徒→民族派学生運動→日本青年協議会→日本会議の事務局
    村上正邦
    靖国神社国家護持法案の失敗
    靖国問題の端緒は、政治と宗教

    3章 憲法
    生長の家の路線は改憲でなく反憲
    最高裁長官が日本会議の会長へ

    4章 草の根
    地方発の草の根運動であるかのように擬態する。事務能力の高さ
    2015/11/10 日本会議が主導する「美しい日本の憲法を作る国民の会」主催 武道館一万人大会
    日本政策研究センター
    全日本学生文化会議

    5章 一群の人々
    伊藤哲夫 日本政策研究センター代表 安倍総理のブレーン 生長の家が政治活動を停止したために日本政策研究センターを設立
    百地章 日本大教授 憲法学者 静岡大学卒業
    高橋史朗 明星大学教授 日本青年協議会を脱退表明後も幹部状態
    第3のライン 生長の家政治運動

    6章 淵源
    安藤巖 長崎大学正常化運動 長崎大学学生協議会→全国学生協議会→日本青年協議会
    鈴木邦男 早稲田大学学生連盟
    理想世界100万部運動

  • 2017年2月21日購入。
    2017年3月13日読了。

  • 謎解きのような展開に少しの興奮感を抱きながら読み進めることができた。
    舞台が実社会というのも大きな要素。
    改めてメデイアで得られる情報は、
    木の葉の一枚一枚でしかないことを痛感した。
    本書で少し幹の情報に触れることができたように思う。

  • [日本の黒幕?]社会や政治の保守化・右傾化の理由として,日本会議という「知られざる」組織の存在とその影響の可能性を指摘した作品。著者は,サラリーマンとして勤務するかたわらに執筆活動を開始した菅野完。


    いろいろと言われている作品ですが,日本会議という組織があり,脈々と戦後にいわゆる保守運動が続けられてきたということを指摘した意義はあると思います。他方,以下のとおり「仮説を検証するため」でなく,「仮説を立証するため」に書かれた本であることは読者の注意を引いて良いかと。私は現在エジプトに住んでいて,誤解を恐れずに言えば,そこでよく耳にする「アメリカとイスラエルに中東は支配されている」という議論と似たものを感じました。

    〜「安倍政権の反動ぶりも,路上で巻き起こるヘイトの嵐も,『社会全体の右傾化』によってもたらされたものではなく,実は,ごくごく一握りの一部の人々が長年にわたって続けてきた『市民運動』の結実なのではないか?」本書の目的はこれらの仮説を立証するところにある。〜

    すべてを説明するものは何物をも説明し得ないのではないかと☆5つ

  • 今流行りなんで読んでみた。中々抑制が効いてる文章だと思う。

  • 日本会議について分析した本。
    率直な感想は、よくここまで調べたなぁ、ということです。
    学生運動をそのまま続けているという視点ほ面白いと思いました。ただ、この人達が日本の政治を動かしていると考えると、気持ち悪いと感じました。

  • 販売差止の仮処分をうけ一部訂正したベストセラー本
    但し、青木理の「日本会議の正体」の方がアマゾンの評価はより高いようだ

    本書の目的は下記の仮説を立証すること。だという
    「安倍政権の反動ぶりも、路上で巻き起こるヘイトの嵐も、社会全体の右傾化によってもたらされたものではなく、実はごく一握りの一部の人が長年にわたって続けてきた『市民運動』の結実なのではないか?」

    論調や文脈が疑問 信憑性が疑われる

    あの「塚本幼稚園」も取り上げられている

    著者は作家でもジャーナリストでもない一般サラリーマンだったそうだが・・・

  • 最後の部分はちょっと話が出来過ぎな気がして、読後感は『緋色の研究』などに近い。

  •  
    ── 菅野 完《日本会議の研究 20160430 扶桑社新書》
    http://booklog.jp/users/awalibrary/archives/1/4594074766
     
    …… ベストセラーの新書「日本会議の研究」(菅野完(たもつ)氏著)
    で名誉を傷つけられたとして、同書で言及された男性が出版元の扶桑社
    に販売差し止めを求めて申し立てた仮処分で、東京地裁は6日、差し止
    めを認める決定をした。ベストセラー書籍の販売差し止めは異例。
     
     決定によると、同書は平成28年5月発行。男性が所属する宗教法人
    の機関誌の発行部数を拡大する運動を進めた結果、「自殺者も出た」な
    どと指摘していた。
     
     関 述之裁判長は決定で、記述が「男性の社会的評価を低下させる」
    と判断。自殺者が出たという部分については、菅野氏の説明以外に客観
    的な資料がなく、男性に取材していないことを菅野氏が認めたことなど
    から、「真実でない可能性がある」とした。
     
     その上で、該当部分を削除しない限り、販売などを差し止めるととも
    に、扶桑社にある在庫を地裁の執行官に引き渡すよう命じた。扶桑社は
    「一部削除を求められたことは誠に遺憾」とコメントしている。
    http://www.sankei.com/affairs/news/170106/afr1701060025-n1.html
     
    【森友学園問題】籠池泰典氏 緊急独占インタビュー!
     
     あの会見で語れなかったこと。
    https://hbol.jp/133139(20170312 25:05)
     籠池 泰典氏緊急独占インタビューby菅野 完 https://hbol.jp/133177
     
     菅野 完=桜井 誠+有吉 弘行/2(のようなキャラクター)
     聞きてが上着の前ボタンを開いているのに、相手は開いていない。
     通例は、長幼の序にかかわらず、インタビュアーが閉める。
     
    …… 稲田の父は教育者で、古くから面識があり、そのお嬢さんも存じ
    あげていた。結婚されてからは、ご夫婦に裁判の弁護をお願いしている。
     最後に会ったのは政調会長の頃で、知らないと言われるのは心外だ。
     
     与太郎の経験では、当事者の経歴を対照年表にまとめておく。肝心の
    ときには思いちがいを指摘する必要もある。相手に事情がありそうなら、
    その場では指摘せず、なぜ違えたかを、繰返しテープで推測する。
     
     相手がすらすら語る内容よりも、言いよどんだ部分に糸口があるのだ。
    …… 教員の名簿や、寄付金の明細なが流出するのは、つぶしを入れて
    きたようで、疑わしい。
     
     結論として、この25分の前に、長男と10時間も(何を)語ったのか?
     
    <PRE>
     籠池 泰典 森友学園理事長 1953‥‥ 高松 /別称=康博 or 靖憲
     菅野 完 ノンフィクション 1974‥‥ 奈良 /Sugano, Tamotsu
    </PRE>
     
    ── 菅野 完《日本会議をめぐる四つの対話 20161211 ケイアンドケイプレス》
    http://booklog.jp/users/awalibrary/archives/1/4906674682
     
    (20170316)
     

  • まず。筆者は左翼だという事。左翼側から見た安倍政権はこんな感じなんだと。今ホットな(?)稲田朋美防衛相と塚本幼稚園が出ていて、野党や新聞、テレビでやたらと叩かれている理由がわかった。言葉の端々から安倍政権イヤイヤが出ていて、あ。嫌いなんだなぁ(笑)と思った。「安倍政治を許さない」でしたっけ?そんな感じ。なかなか面白かったです。

  • この本だけで判断するのは難しい。
    ここでは日本会議の成り立ちと事実関係をおさえるのみにとどまる。他の関係する本を読みこまないと判断できない。
    作者の経歴から、かなりの程度を差し引いて読むのが必要と思われる。

  • 執念の取材は敬服するが、主張はどこにあるかが全く分からない。日本会議に対する、ぼんやりと敵意のようなものはにおうものの、膨大な調査の末、訴えたかったのは何だったのだろう。今や時の人化した籠池理事長も登場するので、アップトゥデイト感は楽しめるのだが。

  • 様々な批判を浴びつつも、政治的に安定勢力となっている安倍自民党。
    安倍首相はじめ、多くの政治家が日本会議なる団体と繋がりがあることはよく知られていると思う。
    また、日本会議関係者に対し、国が(政治家の力利用したように思えるが)便宜供与して要るような姿も散見される。

    その、日本会議の設立の歴史、思想信条、そして新興宗教団体との繋がりなど、多区の角度から分析している、
    それも、過去の歴史ではなく、今進行中の歴史として。
    私はどうも好きになれないが、題名通り日本会議という秘密結社のような団体を学ぶためには、コンパクトにまとめられた良い本なのではないかと思う。
    日本が何かわけのわからない団体に乗っ取られないためにも、勉強はしておくべきだと思う。

  • 「日本会議」という名前だけは聞いたことがあったけれど、その実態がよく分からなかった。
    学生運動に端を発してできた団体、宗教団体から派生した団体が、「日本会議」を支えており、実質的な権力を持った実態である。
    なんとなくざっくりとは分かったけれども、彼らの憲法に対する考え方などの価値観が全く理解できないため、どうしてそこまでするのかがよく分からない。
    日本会議の成り立ちは分かっても、中の人の成り立ちが分からない。もちろん(本書に登場するように)個々人の生い立ちの中で、右傾化していったのであろうが、それは時代錯誤で非民主的だ。
    しかし、そんな彼らの草の根運動が結実しようとしている。これはとても恐ろしいことである。

  • 「どこまで本当なのだろう?」と思いながら、ページを繰った本である。しかし著者の文献の渉猟度合いや、取材のやり方などから、それなりの信憑性はあるであろうと推察される。
    著者は新左翼と対比しながら日本会議を検討している。いわゆる「左派・インテリ」は署名運動や政治家への働きかけを「ばかばかしい」として唾棄してしまった、と著者は論ずる。しかし日本会議に伍している活動家は、その署名運動や政治家への働きかけを必死にやっている。皮肉なことにそれは、極めて「民主主義的」なやり方である。地方議会や議員に、国政に関わるような質問状や陳情を送っているのは、日本会議が関わっていると彼は断ずる。たしかに地元の市議会でも、そのような請願があるように思えるのも、事実だ。彼らに反対したい勢力が何をすべきかは、答えは出ていよう。

  • 天皇皇后両陛下の御車列が通る沿道には、
    いつも日の丸の小旗を持った群衆が埋め尽くされている。
    あの小旗は誰が用意して作成して配布しているのか
    いつも疑問だったんだけど、なるほど、
    「日本会議/日本青年協議会」なのか。

    おそらく「日本会議/日本青年協議会」の実態を
    ここまで明らかにした本は初めてではないか。
    やはり宗教というのは力を持っているなあ。
    面白く読み終えた。

    この彼らの秘密主義的な体質は一体何なのだろう。
    自らが表に出ない方が運動を進めるうえで
    有利に働くと戦略的に判断しているんだろうけど。

    天皇陛下はこのような活動をどのように思われているのだろう。
    そして、創価学会が支持母体の公明党は
    よくこういった後ろ盾のある自民党と
    未だに連立与党を維持しているなあという印象を持った。
    自民党の単独過半数も達成し、
    公明党の存在感がどんどんなくなっている。

  • 活動母体がその素顔を晒していない日本会議。今日まで尻尾を出さなかった彼らは、90年代後半から猫の目のように変わり続ける政権の周辺で、10年近くロビー活動を展開した某リース会社の元経営者以上に、不気味な存在ではないだろうか。

    また、宗教的動機は金銭的動機にも匹敵する力を秘めているという事を改めて再確認させられた。

  • 地裁で出版差し止め 2017.1.6

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