日本会議の研究 (扶桑社新書)

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  • 扶桑社
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  • Amazon.co.jp ・本 (302ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784594074760

感想・レビュー・書評

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  • 『愛国と信仰の構造 全体主義はよみがえるのか』『憲法改正の真実』を読んだあと、販売中止騒動にまでなった話題の本書を読む。
    こつこつ資料をあたり、関係者に話を聞く。それを整理し、推論を立て検証するうちに見えてくる事実は驚きだ。安倍晋三と日本会議の繋がり。元を辿れば、日本会議とはカルト化した学生運動の延長だったのかと、愕然とする。調べ始めたのは2008年、第一次安倍政権の崩壊直後だったという。世の中が少しずつおかしくなっていたこと、こうして振り返ってみると、その頃から兆候は確かにあったのだ。暴走する現政権は明らかに異常だが、参院選を前に人々は気が付き、声を上げ始めているようにも思う。
    諦めてはいけない。

  • 日本会議側から発行停止を求められたことでも話題の書。この作品は、まず「日本会議」という団体について専門的に扱ったおそらくはじめての書であるということにおおいに価値がある。かねてから指摘されていた「生長の家」や学生運動との関係も叮嚀に調べ上げ、この団体の実体をあきらかにしてゆく。前から日本会議という団体についてはいろいろと知りたいことが多かっただけに、読んでいて非常に興味深かった。また、とくに安東巖にかんする記述は重要であろう。これまでに安倍首相のブレインとして報じられたことがある伊藤哲夫などと比べ、安東の名前は聞いたことがなかったし、おそらくほかの文献にも名前が登場したことはなかったのではないか。そういう人物についても、さまざまな取材をもとにその実像を解き明かしてゆく。よくぞここまで調べてくれた、と著者には拍手を送りたい。ただ、著者はジャーナリスト・ライターとしてはまだ経験が浅いこともあり、ところどころ粗い部分も目立つ。そもそも、本書は大半が文献を漁ることに頼っていて、ジャーナリズムの基本である人物への取材があまりできていない。椛島有三については取材を申し込んだが梨の礫であるという記述があり、もしかしたらほかの人物もそうなのかもしれないが、もっと直接取材してほしかった。百地章は判例などに対して新聞にコメントを寄せることがあり、また大学の研究者という公的な立場にあることから、いっさいを取材拒否するとも思えないし、かりに拒否された場合でも、「この件について本人に取材を申し込んだが、回答を得られなかった」などの記述をちゃんとしておくことで、文章の印象はだいぶ違う。現段階では、たんにお勉強のできるお坊ちゃんの文章の域を出ていない。真のジャーナリストに脱皮するためには、そのあたりをもうすこし追求する必要があるし、そこができていれば、本書に対して★★★★★評価を与えることもできていたであろう。今度は青木理らもっと実績があるジャーナリストによる類書の刊行が予定されているので、そちらにかんしても期待したい。

  • 現在の安倍政権の閣僚の大半が日本会議のメンバーというからよほど強大な組織を想像するとまったく違うので、かつての「生長の家」に端を発した宗教的情熱に支えられたごく限られた人員がえんえんと学生運動華やかなりし70年代からうまずたゆまず活動を続けてきたのであり、市民運動的な地方自治体への働きかけ、若いメンバーの育成などをずっと続け、市民社会が民主主義をせせら笑い地道な運動をバカにし続けたあげく無力化し、まったく非民主的な主張をしているこの小規模な団体が憲法改正を視野に入れつつあるという恐ろしい皮肉が膨大な調査を経て炙り出されている。
    継続は力なりというのはいいことでなくでも成立するらしい。

  • 出版差し止めの申し入れ、というニュースで本書の存在を知り手に取りました。実はそれまで日本会議という名前さえ知りませんでした。急激に改憲が政治日程に入っている状況が理解出来ずになんとなくの違和感を覚えるだけでしたが、そのモヤモヤの源泉をハッキリ特定している本です。ハッキリはするのですがスッキリしないのは、民主主義は活動している人のものであって、傍観している人のものではないという、改めての気づきと、人の途切れない活動を支えるエネルギーは宗教体験から生まれるものである、という今更の気づきにたじろいでいるからだと思います…

  • 昨今の右傾化は安倍政権に端を発するものではなく、日本会議という謎めいた宗教団体によるものだった。

    テレビや新聞では普段あまり登場しない日本会議がいかに今日の日本に影響を与えているか本書を読めばよくわかる。なぜ日本会議が報道されないかは想像するほかないが、このような本が出版されることで少しでも日本会議の存在を知る人が増えてほしい。

    安倍氏は日本会議の傀儡だというと語弊があるが、その思想は日本会議の受け売りだ。もともとが岸信介の孫だけに親和性は非常に高かっただろう。
    宗教団体「生長の家」や、60年代の学生運動の時代に左翼の反動として民族派学生が組織した「日本学生文化会議」などなど数々の団体が登場し、日本会議の歴史が紡がれる。
    椛島有三はもとより、高橋史朗、百地章、村上正邦、安東巖らがどのように日本会議と関わってきたのか、どのようにつながっているのかが詳細な調査によって明らかにされた。
    本書の一番重要な部分は安東巖という人物に関する記述である。生長の家で宗教的体験をえた彼がこの団体を操ってきた事実はどの機関も報道していない。まだまだ裏がありそうな人物だ。
    安東もそうだが日本会議は謎に満ちている。本書の続編が待たれる。

  • 「日本会議」研究の嚆矢。文献調査、インタビューと、よく調査されていると思う。輪郭の不明だった怪しい団体がようやく姿を現してきた。

  • 中央公論新社 新書大賞2017 3位

  • 「日本会議」というタカ派団体の存在を知るも、その詳細がよくわからず、今更ながら簡単な本を読んでみた。

    内容にやや偏りがあるも、おおよそ日本会議の実態、由来、また森友学園との繋がり等を知ることができた。

    自身はこの団体の思想/信念をまったく理解することができないし断固支持しないが、こういった信念/思想の価値観の持ち方については子供時代の生活環境や家族の影響によるところが1つに大きいのかなと思った。

    現在、日本会議に参加する自民党議員は250人強、憲法改正に賛成するか/しないか、戦争を完全に否定しないか/するか、個人がしっかり自分自身で責任をもって情報を集め、考え、そして判断することが何よりも重要かなと。民主主義を舐めてはいけない。

  • 推察でなく調査結果が書いてあり、ふんわりした理解のみの人向けてよいかも
    2016年の参議院選は終わってしまったが。

  • 日本会議がどういう組織化を解明した本。たしかに日本会議について理解することはできたものの、論調に悪意があり、意見はすべて左翼思想に基づき客観性がない。
    主張や著作などの内容の勝負が必要。

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