拾った女 (扶桑社文庫)

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制作 : 浜野 アキオ 
  • 扶桑社 (2016年7月2日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (335ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784594075071

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拾った女 (扶桑社文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 米国のクライム・ノヴェル界の大家ウィルフォードが著したノワール文学の傑作で、舞台は1950年代のサンフランシスコ。時代を感じさせない雰囲気で実に読みやすい。ストーリーはいたって単純。その日暮らしの男性と依存症の女性が、ぐだぐだな日々を過ごすというもの。女性は寝てるか酩酊してるかのどちらかで、そんな彼女のために男性は日雇いで酒代を稼ぐ。どうしようもない自堕落な生活が描かれるが、どういうわけだかこれが面白くて仕方がない。破滅に向かっているのに、軽いノリで流れていくから悲壮感がまるでないのだ。ここまでの展開はミステリではない。なのにミステリ小説を読んでるのと同じ感覚の面白さと吸引力。

    中盤で一気に転調し、ストーリーは思わぬ方向に転がり出す。ここでまず意見が分かれそうな感じだが、私はウェルカムでした。後半にちょいちょい違和感を感じ、終盤で一瞬ダレるも、ラスト二行で背筋が伸びた。予想外の曲球をまともに受けて、しばし事態がのみこめない。これは再読したくなる。違和感の原因がわかってスッキリするもあまり喜べない。なぜならここから本当の物語が始まったからだ。救いようのない悲恋、絶望的な男女の心の闇──これはやっぱりノワールだわ。正直、最後の二行は目にしたくなかったかも。

    余談だが、読書中何度も空腹感に襲われ、当時の通貨価値がわからないので何かにつけ「安すぎる…」と唖然としてしまった。

  • 想像していた軽いノリでない雰囲気だと感じ始めたのは三分の一くらい読んだあたりか。破綻しそうでしないプロットを読み進めていくのがフラついているような感覚で、必ずしも心地よいとは言えないが、最後の2行で絶句。この作品は単純なノワールではない。

  • バーで拾った小柄なブロンド女と堕ちる話、で男も女もめんどくさいし、やりきれないちっとも楽しくない話なんだけど、これが読ませる。陳腐な展開かと思いきや、ちょいちょい予想を裏切ってきて、微妙にジャンルが変わっていく感じがおもしろい。なんといってもラスト二行の衝撃!なのだけれど、これだって、無くても話はキレイに完結してるわけで、凝ってるなあと唸った。

  • このミスで4位に評価されている本書を読んでみると、これがミステリー?と疑問符一つ。帯に書かれた惹句にはノワールと書かれている。これがノワール?疑問符二つ目。

    カフェにブロンドの美しい女がふらりと入ってくる。酔っぱらった女はハンドバッグをどこかに置き忘れており、バスターミナルのロッカーの鍵以外何も持っていない。カフェで働くハリーはその美しい女をホテルに泊まらせ、別れる。
    翌日から、2人の生活が始まる。お互いの純粋な愛に支えられた2人の生活は、酒と無収入の上に立っているため、どこかままごとのような危うさが伴う。その危うさは物語の転換に現れる。意外な結末に物語は盛り上がるのではなく、フェイドアウトする。

    ただし、本作の初出は1955年だ。女はブロンドで美しい。時代背景を考えると、ハリーの出自が明かされる最後2行で全体の印象が、がらりと変わる。

  • 夜の匂い、愛の形、血生臭いに、破滅。美女との出会いから、生き方と向き合い堕ちていく。ノワール小説の傑作。私の思い描く、アメリカの古き時代の描写が線密。日常、特に料理やお酒のページだけで、舌がヒリヒリする。読み物としての素晴らしさだけでも満足だと思ったラストページ。たった2行でミステリーとしての姿が浮かび上がり、頭がクラクラする。今では絶対に表現できない時代ならではのミスリードを堪能しました。
    イニシエーションラブぐらいの破壊力ありです。

  •  この物語は、著者がある仕掛けを施している。最後の2行で頭がグランとする。でも、それはいわゆるどんでん返しというほどのあからさまな仕掛けではなく、読み手にもう一つ傷跡を残すというか、物語をさらに切なく、そして深いものに変える役割を担っている。まあ、再読したくなるのは間違いないと思う。
     あるカフェで働くハリーの物語。日銭を稼いではアルコールで消えてしまう、その日暮らしのような生活を送っているハリーの元に、目を見張るような美女ヘレンが訪れる。そこから物語が始まります。
     ヘレンと暮らすことになったハリー。ハリーもそうだが、ヘレンはさらに輪をかけてのアル中で、ヘレンが持っていた200ドルもあっという間に底をついてしまう。そんな2人はいつしか死への渇望をするようになっていき・・・。というような話なのだが、不器用にもヘレンへの愛を全うするハリーがいたたまれなくない。
     それにしても、著者はズルいなあと思った。最後の2行は効果的だったが、それに対してのヒントというか、表現は本来ならもっとあるべき筈なのに、完全に意図して消されていたなあと思えた。

  • 人並みの生活から堕ちてしまった男女の悲しい恋物語。主人公のハリーからの視点で語られるのが、驚きのラストにつながる重要なポイント。二人ともアンコール依存に陥ってるとの設定だがより女の方が重症で、ハリーは彼女の酒浸りの生活を維持してやろうと涙ぐましい努力をしてやるが、治療してやろうという方向にはいかない。自分にその力はないと自覚してるし、そこまでして生きる価値のある世界ではないということか。映画「リービングラスベガス」を思い出した。

  • なるほど、ハリーの一人称でこそ成立する小説。
    クールだった。(クールじゃなきゃノワールじゃないよなあ。)

    ウィルフォードのマイアミ物はあまり好きじゃなかったような記憶がうっすらあったのだが。

    解説がちょっとわかりづらかった。「本書と同じ1950年代に発表された某作」と言われても、ピンとこない私のようなぼんくらもいるのだから、ズバリ「某作」名を出してもらいたい。

    それにしても私の「危険なやつら」はどこへ行ってしまったか。探さねば。

  • 意図通りか、おもわず最初に戻る。
    時代背景を考えると、結構問題作?

  • 10月17日読了。図書館。

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拾った女 (扶桑社文庫)の作品紹介

幻の傑作ノワール、登場
ローレンス・ブロック絶賛!

哀しみ色の街で
破滅へとひた走る愛――。

「直球ど真ん中のノワールと見せかけて、
実は読者の手元で変化する曲球」――若島正

「チャールズ・ウィルフォードより優れた
クライム・ノヴェルなんて誰にも書けない」
――エルモア・レナード

「ディヴィッド・グーディスのロマンティシズム、
ホレス・マッコイの手になる疎外された除け者たちの肖像、
チャールズ・ジャクソンが「失われた週末」で描きだした
酒浸りの人生。本書はその鮮やかな融合だ」
――ウディ・ハウト (『Pulp Culture』『Neon Noir』著者)



サンフランシスコ、夜。小柄でブロンドの
美しい女がカフェに入ってきた。コーヒー
を飲んだあと、自分は文無しのうえハンド
バッグをどこかでなくしたという。店で働
くハリーは、ヘレンと名乗る酔いどれの女
を連れ出し、街のホテルに泊まらせてやる。
翌日、金を返しにやって来たヘレンと再会
したハリーは、衝動的に仕事をやめヘレン
と夜の街へ。そのまま同棲を始めた二人だ
ったが、彼らの胸中に常につきまとってい
たのは、死への抗いがたい誘いだった。巨
匠初期の傑作遂に登場!〈解説・杉江松恋〉

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