夫のちんぽが入らない

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著者 : こだま
  • 扶桑社 (2017年1月18日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (195ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784594075897

夫のちんぽが入らないの感想・レビュー・書評

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  • 衝撃的なタイトル。
    ブクログの談話室でこのエッセイの存在を知り、読みたいな、と思っていたらある日行った本屋で平積みになっていた。
    ちょっと買うのを躊躇したが、読みたい欲に負けて購入。
    しばらく本棚に積んであったが今日ようやく読めた。

    初出は同人誌のエッセイ。
    それに大幅に加筆を加えたもの。

    冒頭の地味で引っ込みじあんなこだまさんのガールミーツボーイな展開には心踊った。
    しかし、すぐ不穏な空気に。
    『彼のちんぽが入らない』のだ。
    何度挑戦しても入らない。

    それがどれくらいよるべなくせつないことか。

    たぶん「入る」人たちには分からないだろう。
    私にも分からない。
    人が軽々と「フツーに」できていることが自分にはできない。
    それは私にも分かる。

    幼い頃から不全感を抱えてきたらしいこだまさんはまた新しい重い荷物を抱えることになる。

    しかも人に言えないものを。

    やがてふたりは荷物を抱えたまま認めあい結婚し、二人とも教師になった。

    そこでも、問題が起こり...。

    一気読みでした。重苦しい内容とやや生真面目なお人柄がかいまみられる文章と、たぶん「問題」から距離をとること、時間をおくことからこそできたであろうユーモアの数々。
    「なぜ大仁田で無血なのだ。大仁田こそ流血すべきだろう」
    には笑った。
    でも若い人には通じないかも。
    人を笑わせることで感じる充足感と安心。
    もしかしたらこだまさんは「大人しくて生真面目」というのは本人と周囲による思い込みで本当は明るくてサービス精神旺盛な人なのかもしれない、と思った。裏表かな。

    このエッセイを書いた動機も「同人誌仲間に認められるため」「ウケるため」と書いているのにも好感を持った。

    「恥部を知られてもいい」という信頼できる人たちができたんだなあ。
    良かったなあ。

    こうして本になってたくさんの人に読まれて、読んだ人の心にナニカを投げ込んだ。
    「フツーってなんだ?」「フツーで誰か苦しめてないか?」

    その結果のベストセラー。

    最後にこう締め括られていた。

    「私の声、届いてますか」

  • 学校に通って卒業して就職して、結婚して子どもを持つ、いわゆる普通の暮らしが当たり前で、それができない人は「欠陥品」。そんな価値観が21世紀の現代もどこかにまだ残っているように思うことがある。石を投げられることはなくとも、道の真ん中を堂々と歩けないような、そんな感じ。だから結婚しないんじゃなくてできない、子どもを持たないんじゃなくてできない、そういう捉え方をされてしまって苦しんでいる人がたくさんいるのだと思う。

    夫のちんぽが入らない、本当に衝撃的なタイトルで、タイトルを聞いてから手に取るまでにかなり時間がかかってしまった。でも、読んでよかった。人生は人それぞれ、価値観も、身体も心も、家族のあり方も、人それぞれ。目の前の人の考え方や生き方を否定することなく最大限尊重できる人でありたい。他人に対しても、自分に対しても。

  • ネットで初めて見た時のタイトルの衝撃。
    本屋に勤める身としては、お客さんにこのタイトル言わせるわけにいくめぇ、とPOPを書いていてふと気づく。・・・・生まれて初めて書きました、このワード・・・・しかもサインペン。
    そして即完売。

    コミックエッセイみたいに軽めに書いてあるのかと思ったら、この「入らない」ことより他の悩みが重くて。よく生きてきたなこの人、この夫婦、と思ってしまった。「この人がいいんです」と言ってくれる旦那様。「入れられなくてもいいんです、愛し合ってますから」と言ってくれる旦那様。美談。
    という感じで終わるのかと。全然違った。

    私の友人も教師になって心を壊して、久しぶりに会ったら2~3倍に体は膨れ、言動もおかしくなっていた。優しくて、真面目な子だった。
    心も体もボロボロな奥さん。ご主人もそうとう苦しかったろう。「他の人のは入った」ことはご主人知ってしまったんだろうか。

    どの悩みも、なぜすぐ病院に行かない。
    何も解決してないし。
    「私も同じ悩みを抱えているんです」という女性がもし読んでも、痛すぎる表現にまた引っ込み、プラスになることはないかも。

  • 夫婦のあれこれを楽しく買いてある本かな?と思って購入。
    ぜんぜん…重〜い気持ちになりました。

    夫婦はできればSEXやボディコミュニケーション(寄り添って眠るでも良いし手を繋いで歩くでも)がある方が仲良く暮らしていけると考える私にとって(もちろん、絶対ではないし、違っても仲の良い夫婦はたくさんいると思う)、この夫婦の、『入れる』『入らない』『他の人と』という行為に、とても気持ちが悪くなった。

    精神的な事で入らないのなら、なおのこと、違う形で寄り添える夫婦でいられなかったのか…な。

    けれど、本には表せない、私には分かり得ない、いろんなことがあるんだろうな…

  • 世の中には色々な夫婦がいる
    その中でもかなり稀なちんぽが入らないという現象
    それをきっかけに伝えたい言葉が積み重なる
    当たり前が当たり前でない人はたくさんいて、当たり前と思っている人はそれを難なく口にする
    それを受け止める側の気持ちはわからない
    私にもある
    そして逆に言ってしまっていることもある
    言葉も人も難しい
    何事からも逃げて、関わりたくないと思う日もある
    それでも、どんな風になっても一緒にいるという選択ができる夫婦は強いなと思った
    うちはそんな夫婦になるのだろうか
    なりたいと思うのか
    色々考えさせられた

  • 確かにちんぽが入らないある夫婦の、性生活が成り立たない話でもあるが、いわゆる普通に働くとか普通な家族に「入らない」、いや「入れない」話でもある。
    「普通」なんてものはないのだがみんなのその共同幻想みたいな形があると勝手に思い込んでいる。僕らはそこから逸脱することに外れることを恐れている。主人公であるこだまさんとその夫はそのことからある意味では逃避する。できないことはできる人やことへ代替行為に転換するしかない、そういうふたりの二十年にわたる話なのだが、読むことでなにかに悩んでたり病んでしまった、病んでいる人たちの癒しというか救いになるだろうし、その側面は間違いなくあると思う。
    雪だるま式にもっと広がり売れていく一冊になると思う。読みながら『統合失調症がやってきた』を思い出したりした。

    ぼくらはこうならねばいけない、世の中はそうなっているみたいなことに惑い踊らされて、冷たいナイフが知らぬまに背中に突きつけられている。だから、その枠からはみ出さないようにして自己保全に向かう。しかし、その刃先は背中に当たってるだけで差す気はないのかもしれないし、駆け出してしまえば刃先は届かないかもしれないし、やっぱり追い付かれて突き刺されるのかもしれない。それはすべてのことが関わるのでみんな同じ結果にはならないのだが。
    しかし月日が経って笑える話になってもその当時は笑えないからなんとか生き延びるしかない。このタイトルが今年前半の出版界での大きなトピックになるんだろうな、普通の私小説は今年これにはもう勝てないと思う。

  • このタイトルの本に、こんなに胸を打たれるとは。
    正直言って、辛い。人と身近に接することに苦手な作者がそばにいても大丈夫なただ一人の人と出会えたというのに、身体でつながることができないなんて。
    いや、心がつながっていれば大丈夫、ともいうけれど本当にそうなのか。
    この2人がともに過ごした年月の長さが、その「大丈夫」だと言えるまでの困難さを物語っていると思う。簡単に言えるほど「大丈夫」なものならもっと早くになんらかの結論が出せていたのじゃないか。
    信頼し合い必要としあっているのに言えないことがある。一番大切な人だから一番大事なことがいえなかったりもする。そんなあれこれをようやく乗り越えたのだな、と。
    これはただ単に夫のちんぽが入らない夫婦の話、ではなく自分以外の誰かをきちんとまるごと認める、もしくは共感できなくても受け入れる、その大切さを教えてくれる一冊なのだ。

  • 一気に読めた。コメディかと思ってたけどそうじゃなかった。 作者は色んな(と一言で済ませるのはとても申し訳ないんだけど)葛藤や苦労を経て、居心地のよい場所にやっと落ち着いたらしい。 どうも自分と比べて「ホントにそれは幸せなのか」と言ってしまいそうになるけど、それは傲慢に過ぎるんだろうな。まあ夫婦の性生活ってお互い合わないと難しいよね(+_+) ところでキングと呼ばれる夫のちんぽはどれだけ巨大なのか…

  • 読ませる文章だなぁと思った。猥雑な下ネタなのにどこか神々しくもあり、言葉変だけど意志のある下ネタというか、リアリティのある下ネタというか、むしろ下ネタなんだけど下ネタじゃない単語をVLOOKで充てたいというか。

    切実な問題だなぁと思う一方、もしも普通に入っててできないかったのなら、方法がたくさんある分、もっと苦しかったんだろうな。入らないことがある種逃げ道になっていたんじゃないかなと。

    奥さんが先生ってのは、確かに身につまされる話で、うちと同じ状況。何か不審に思われてたり、言われてたりするんだろうな。こども早く欲しいな。

    子作りを日本の将来のためとまで飛躍して、かつ神格化する人が周りに多いけど、それはこどもを持ってからもしくは妊娠、してからそう言うようになったんだろうし、それってずるくないか。ボランティアに偶然出会った人が、ボランティアしない人なんてちょっと人としてどうなのかって思っちゃうみたいな?そうなってからそうあるべきだって振る舞うのはずるい。

    まあおいといて、不遇な状況にもがき苦しむ中で、自分の人生の使命を見つける、人生の意味を見つけることで幸せになれる、最近読んだ本に書いてあったテーマに関連があってタイムリーだった。

    すっと読めるわりにはテーマ濃くてコスパ高いと思う。

  • 吸い込むように読了。価値観は多様でいい。凄まじい後押し。言葉を飲み込み愛想笑いにかえ押し黙る、なれそうなものでなく、なりたいものに…自分の中の相反する気持ちと闘うこだまさんはわたしの中にもいる。読ませてもらって本当に良かった。

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夫のちんぽが入らないの作品紹介

2014年5月に開催された「文学フリマ」では、同人誌『なし水』を求める人々が異例の大行列を成し、同書は即完売。その中に収録され、大反響を呼んだのが主婦こだまの自伝『夫のちんぽが入らない』だ。

同じ大学に通う自由奔放な青年と交際を始めた18歳の「私」(こだま)。初めて体を重ねようとしたある夜、事件は起きた。彼の性器が全く入らなかったのだ。その後も二人は「入らない」一方で精神的な結びつきを強くしていき、結婚。しかし「いつか入る」という願いは叶わぬまま、「私」はさらなる悲劇の渦に飲み込まれていく……。

交際してから約20年、「入らない」女性がこれまでの自分と向き合い、ドライかつユーモア溢れる筆致で綴った“愛と堕落"の半生。“衝撃の実話"が大幅加筆修正のうえ、完全版としてついに書籍化!

いきなりだが、夫のちんぽが入らない。本気で言っている。交際期間も含めて二十余年、この「ちんぽが入らない」問題は、私たちをじわじわと苦しめてきた。周囲の人間に話したことはない。こんなこと軽々しく言えやしない。
何も知らない母は「結婚して何年も経つのに子供ができないのはおかしい。一度病院で診てもらいなさい。そういう夫婦は珍しくないし、恥ずかしいことじゃないんだから」と言う。けれど、私は「ちんぽが入らないのです」と嘆く夫婦をいまだかつて見たことがない。医師は私に言うのだろうか。「ちんぽが入らない? 奥さん、よくあることですよ」と。そんなことを相談するくらいなら、押し黙ったまま老いていきたい。子供もいらない。ちんぽが入らない私たちは、兄妹のように、あるいは植物のように、ひっそりと生きていくことを選んだ。(本文より抜粋)




こだま

夫のちんぽが入らないのKindle版

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