科学が教える、子育て成功への道

  • 扶桑社
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  • Amazon.co.jp ・本 (379ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784594077822

感想・レビュー・書評

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  • タイトルが少しだけ胡散臭いですが、本当にいい本です。

    著者は、これからの時代は、知識埋め込み型の教育ではなく、6Cs(Collaboration・Communication・Content・Critical Thinking・Creative Innovation・Confidence)を伸ばしていくことが求められていくそうです。そして、それぞれの能力について、どのようにして能力を伸ばしていけばよいのかが書かれており、今すぐ実践したいと思せてくれるプランがたくさん詰まっています。

    細かい話ですが、個人的には、6Csは科学的に導かれたものらしいのですが、そのあたりの記載(科学的根拠)が弱く、本当に6Csが必要十分なのか今一つピンときませんでした。例えば、情熱・興味(Passion・Interest)なども、必要な要素なような気がします。(もしかしたら、6Csのどこかに含まれているのかも知れません。)とはいえ、とても細かい話なので、6Csが必要十分であろうと多少漏れがあろうとも、この本の魅力が薄まるわけではありません。

    あと、レファレンスがない。。(ウェブサイトにあるらしいが、それも見つけられない。。)色々、調べてみたいのに、残念。

    学生時代に塾講師をしていた時に、よく「うちの子が勉強しなくて…」という悩みを(お客さんである両親から)よく聞いていました。そのたびに思っていたのが、「オタクの子供が勉強しないのは、オタク自身が勉強しないからでっせ」と心の中で思っていたのですが(もちろん口には出せない)、その考えに(おそらく)一致する記述があったので、一部抜粋します。

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    子供は学校だけでコンテンツを学ぶわけではない。このことをよく覚えておこう。子どもは学校外で多くの物事を学ぶ。あなたと薬局やスーパーマーケットに買い物に行った時の会話を通じて。あなたと電車やバスに乗っている時。こうした全ての瞬間に子供は学んでいる。いつでもどこでも、子供は世界について理解を深めることができるのだ。そんなチャンスを活かして問いかけてみよう。そうすれば子供は多くのことを学び取るだろう。学校外でも学びを面白がる子供は学校でも学びを楽しんでいる。子供が過ごす時間の中で学校が占める割合は二〇%に過ぎない。大半を占める学校外の学び環境を豊かにするために、私達は、子供達にとっての良き学びのモデルとなり、また子供達と一緒になって学びに取り組んでゆこう。
    子供から出た質問には正直に答え、学びに熱中する人のモデルになろう。これこそ大人ができる子供達へのこの上ない贈り物と言えよう。―(中略)―一緒に語り合って、想像を膨らませたり、インターネットで調べたり、近くの図書館に行って本を探してみたり、答えを見つけるために色々やってみる。子供にどう学んだらよいか、自分がモデルとなって見せることが何よりも大事なことである。私たちが学び続ける存在であることを示して初めて、子供達も学び続ける存在として成長してゆく。
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    親を見れば、子が分かる。
    子を見れば親が分かる。
    必要以上に学校や塾に子供の教育を頼り切ることなく、自分も当事者の一人として、子育てに携わりたいものです。(偉そうに言うもののの、中々できていませんが。)
    自分自身への戒めの意味も込めて。

  • 子育てをするようになり、何が子どもにとって好いことで何が悪影響を与えるのかというのも気になるようになったが、自分の幼少時代とは全く異なるこの先の世界において、この子が迷ったり辛い思いをしたりすることが少しでも無くなるようにするには、どのように子供と向き合っていけばいいのだろうか、と考えるようになった。

    そんな中で出会った本書。著者は「深く考え、自ら創造し、行動する人になるために必要なスキル」として、Content(読み書き計算)、Collaboration(仲間とアイデアを出し合う)、Communication(発見をまとめる)、Critical Thinking(冷静な見極め)、Creativity(新しいアイデアの創造)、Confidence(困難を乗り切る自信)の6Csが必要になると主張している。

    この中で、従来の学校教育で評価されるのはContentのみ。この先、頭にどんなに事実を詰め込んでも、ウェブ上で検索すれば簡単に答えに辿り着けるため、成功には結びつかない。大事なのは大量の情報を仕分けし、優先順位をつけ、活用していくことである、と。そのために必要なのが6Csである、という論。

    1章から4章までは「成功」の定義や現在の学校教育の迷走、子どもの潜在能力等についての話。5章から10章までは6Csが一つずつ扱われている。ここでは各Cの熟達の程度が4段階にレベル分けされており、今、自分や自分の子どもがどのレベルにあるのかをチェックできるようになっている。11章はまとめ。

    6Csの詳しい説明は省くが、面白いのは子どもの成功への道が、大人にとっても成功する道であり、この6Csは大人が成長していくためにも子どもと同じように適用することができる、という点。例えばCritical Thinkingは、「見かけをそのまま信じる(Level1)⇒私の考えを絶対に正しいと信じる(Level2)⇒どんな意見も正解である(Level3)⇒根拠づけて上手に疑う(Level4)と発展していき、これは大人の情報処理能力にも当然通じる。

    著者は6Csを「何度も同じプロセスを経て洗練され」、「あるスキルがほかのスキルの成長を助け」、「お互いに関わり合いながら発達し」、「学ぶことで常に伸ばし続けることができ」、「教師や親ではなく学習者に焦点が置かれた」、「学校外の様々な文脈で活用できる」スキルとしている。この点で、生涯学習であると言える。

    子供がどんな環境に置かれても成功できるようにしてあげるのは素晴らしいじゃないか、その学びのプロセスに関わることで自分たち大人もせいちょうできるなんてさらに素晴らしいじゃないか、ということを著者は言いたいのだろう。

    障害をかけて学ぶこと。学校教育とはまた別に、人とかかわり続けるためにスキルを磨くこと。
    そういう点で、「子育て」をしていない人にとっても学びの多い本である。

  • 一回読んだだけじゃ到底理解できない。表紙とタイトルからは想像できないくらい密度高い。

著者プロフィール

ペンシルバニア大学でPh.D取得。テンプル大学教授。ブルッキングス研究所シニアフェロー。ロバータと共著の『Einstein Never Used Flash Cards』は世界中で翻訳され、2003年に出版された最も優れた心理学書に贈られるBooks for BetterLife Awardを受賞。卓越した研究業績だけではなく、認知心理学・発達心理学の基礎的な研究を教育に活かし、社会に貢献するために様々な重要なプロジェクトに関わり、世界から注目されている。『ニューヨークタイムズ』などアメリカ全国紙での幼児教育・幼児発達についてのスポークスパーソンとしても活躍している。

「2017年 『科学が教える、子育て成功への道』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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