やさしいねこ

著者 :
  • 扶桑社
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感想 : 17
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  • Amazon.co.jp ・本 (111ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784594078348

作品紹介・あらすじ

まわりの猫にいじめられ続けた、“弱虫”ぽーの物語。

ある日、著者の太田康介氏は自宅近くでブサイクな野良猫を見かけました。殺処分や事故死など、増えすぎてこれ以上不幸な猫を増やさないようにと、太田氏はその野良猫にTNR(捕獲、不妊手術、元に戻す)を実行。一代限りの“地域猫"として見守っていきます。

しっぽに特徴があったので「ぽー」と名づけられたその猫は、他の猫に交じって餌を食べには来ますが、他の猫が食べ終わるのを陰でじっと待っている遠慮がちな猫でした。

その体はいつも汚れ、傷ついていました。実は、ぽーは“町内最弱"で、まわりの猫たちからいじめられ続けていたのです。太田氏はそれを見ていたたまれず、ぽーを家猫として迎えました。

すると、今度は家の中の猫にもいじめられるぽー。それでもぽーは、少しずつ先住猫たちの心を開いていきました。さらには新たに保護した子猫の世話も始め、太田家にはなくてはならない存在となっていったのです。

深谷かほる氏の漫画『夜廻り猫』(講談社)で描かれて注目を浴びた、このやさしい猫「ぽー」の物語を綴った写真エッセイ。ぽーを描いた深谷氏の漫画も2本収録。

感想・レビュー・書評

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  • 涙が止まらなかった。争いの嫌いな最弱のニャンコ、ポー。他の猫に遠慮して、ごはんを食べるのもままならない。見兼ねて、家猫になれたものの、、、、やさしい猫はしあわせだったかな?
    健気な猫のお話です。

  • 写真家の著者が、地域猫に関わり始めた時、気になった野良猫。
    気立ての優しい猫との交流を描きます。
    写真が多くリアルで、あたたかな気持ちが伝わる内容に、ほっこり。

    ケンカが弱く町内最弱で、食べ物をあげてもほかの猫に遠慮してなかなか近寄れないほど気が弱い。
    しっぽに特徴があるので、ぽーと名付け、呼ぶと振り返るようになりました。
    手術をした後で一度地域に戻したら、また捕獲用のケージにかかってしまったりして。もう入らなくていいのに(笑)
    いじめられるのを見かねて、家の子として引き取ることに。
    そうしたら‥?

    先住猫には遠慮して、仲良くしたくてもなかなか近づけない。
    でも、だんだん馴染んで行きます。
    そして、後に引き取った猫たちの世話をする優しい性格。
    なんて、いい子なんでしょう!

    ぽーの柄がうちにいた猫と似ている!ので、図書館で手に取りました。
    見た目がそっくりで、性格もちょっと似ています。
    若い頃の写真だと、ちょうど同じような警戒する目をしたのもありました。
    野良の肝っ玉おっかさん猫に仕込まれたので、町内最弱というわけではなかったんですが。
    割合早くからうちの庭で育ったせいか、おっとりしたところがありました。
    そして、とってもジェントルマンで優しかったのです。うっかり尻尾を踏んでも怒らないほどで、間違えたからに決まっていると思ってるようでした。
    恋人猫が出来たら連れてきて、大事そうに、会わせてくれました。
    こういう柄は優しい性格なのかしら?
    思い出は尽きません。

  • 期待したほどでは。

  • 一匹の地域猫(後に飼猫)にフォーカスしてこんな風に綴られた写真集って、珍しい気がする。文章も読みごたえがあって、写真集というより、写真絵本な感じ。
    イエネコは、ペットとして猫に「弱さ」を求めたヒトが創り出した生き物だ。弱いぽーはヒトに愛されるかわりに猫の世界では生きていけない。
    その点において、ぽーは、自身ではなく、ヒトを幸福にするために生きたんだろうと思うのです。だからこそこんなにたくさんのヒトがぽーを愛しく思うのではないでしょうか。

  • 最初から過去形なのが少し寂しかった。ぽーは幸せだったのかな?幸せだったんだろうね

  • 情けない顔の、近所でも最弱の猫ぽー。
    とにかく気が弱い。
    なんだかみじめで、いじめられるのか傷もたえない。
    なんだかなあと、苦笑いで読み始めたけど、、。
    ぽーはいいこだ。ほんとにいいこ。やさしいこ。
    気が弱くたっていいじゃないか。
    最後まで読んだら、涙があふれた。

  • この本の主役「ぼー」が、昔うちの近所にいてとても大好きだった猫にとてもよく似ている。

    その猫を思い浮かべながら読んだので読み進めていくと思い出だダブってつい涙ぐんでしまう。

    写真も文章もとても素晴らしい本でした。

  • 図書館の猫の日企画で猫関連の本を借りると猫しおりがもらえるということだったので、借りてみた。
    表紙のぽーの表情は、本編でも何枚も見ることができるのだが、本当にやさしくてやさしくて。
    そして、すでに去勢手術を終え放たれたのに、別の猫を捕獲するための罠に、再びぽーが捕獲されてしまった場面には笑った。
    結局、ぽーは太田氏の家族になる。ふくふく丸いぽーが、年老いて、病気になり痩せてゆく姿にはいろいろ考えさせられた。

    最後の
    『ぽー、ぽー。
    「・・・・・・何?」
    いや、何でもないよ。
    ちょっと呼んでみたかっただけ・・・・・・。』

    という文章、そして、元気に外猫をやっていた時のぽーが名前を呼ばれて振り向いている写真には泣かされた。太田氏がぽーを自分の家族にすることにためらいがあったのは、既に猫を飼っていて、全部を保護はできないという理由の他に、自分が飼ってしまうと、もう外に出ることはできなくなる、自由を奪ってしまう、という迷いだったのだろうな。
    でも、ぽーは幸せだったと思う。

  • あるところにとっても弱虫ののらねこがいました。
    まわりのねこにいじめられていつも傷だらけ。
    かおもぶさいくです。
    おまけにちょっぴりどんくさい。
    ほかのねこがごはんを食べているあいだもじっと食べ終わるのをまっていて自分はのこりごはんを食べるのです。
    そんなねこを「やさしいね」といって気にしてくれるひとがあらわれました。
    しゃしんかの太田さんです。
    太田さんはねこに「ぽー」となづけました。

    太田さんは『地域猫活動』...野良猫に去勢、避妊手術を施した後、元の場所に戻し、一代限りの猫として地域の人に温かく見守ってもらう活動...をされている方。
    そんな太田さんが一匹ののらねこに恋をした(笑)
    気になって気になってどうしようもなくなり、野良猫から地域猫へ、最後は自分の家の猫へ。
    人によっては単なる弱っちい猫、と呼ぶと思う。
    でも太田さんはそんなぽーのやさしさを見抜き、尊いものとして書いて、撮っている。
    そこがスゴいな、と思った。

    漫画『夜廻り猫』にも出演したぽー。
    今作にも漫画が2本載っております。

    ぽーに泣かされたので、夜廻り猫さん、今夜来てください(笑)

    • nejidonさん
      5552さん、こんにちは(^^♪
      ああ、いいですねぇ・・
      この本、買う予定がありながらいまだに入手していないのです。
      確か太田さんは今...
      5552さん、こんにちは(^^♪
      ああ、いいですねぇ・・
      この本、買う予定がありながらいまだに入手していないのです。
      確か太田さんは今も定期的に被災地に出向いて、残された犬猫たちに食べ物をあげていると聞きました。
      本の購入代金が少しでもその足しになるなら安いものですよね。

      地域猫活動は、周囲に理解者がいないと難しいです。もう、何度挫折しかけたことか。
      でもやはり猫の可愛さに負ける(笑)・・太田さんの気持ち、すごく分かりますね!
      2018/07/27
    • 5552さん
      nejidonさん、こんばんは♪
      うう、この本、中古で買いました...。
      でも、本を買って、その著者にいくらかでも貢献する、というのは、...
      nejidonさん、こんばんは♪
      うう、この本、中古で買いました...。
      でも、本を買って、その著者にいくらかでも貢献する、というのは、著者の方とのつながりがちょっとだけ近くになるようで素敵ですね。
      いとうせいこうさんの「『国境なき医師団』を見に行く」という本も、売り上げの一部が『国境なき医師団』に寄付されるということなので、図書館で借りたのを若干後悔しています(^-^;

      地域猫活動は近所の方が一時期やっていて、猫に引っ掛かれて結構な怪我をしてしまい、家族の反対にあって泣く泣くやめた、という話を聞きました。大変なのですね...。
      太田さんは奥様が一番の理解者らしく、ぽーの首輪に名前と電話番号を夜なべして縫った、というエピソードが載っていてホロリとしました。
      幸せになった猫の話はいいですよね(^-^)
      2018/07/27
  • ぽーちゃんのように優しい子は周りの人や猫の心を和ませ、こちらの気持ちも優しくしてくれる。サバイバルな毎日はスリリングかもしれないけれど、ぽーちゃんには静かな暮らしが合っている。太田さんご夫妻と仲間の猫たちと一緒の温かい暮らしはきっと幸せだったと思う。

    今はもういない、かつて我が家にいた猫を家族にした事を、愛猫にとっては幸せだったのかなと考える事がある。応えは聞けないままだったけれど、幸せだったと感じてくれていたならいいなと思う。私はとても幸せだったから。

    どんなに可愛いと思い、猫のためだからと何をしたところで、それは少しでも長く一緒にいたいと願う人間の勝手な気持ち。人が出来る事などほんの僅かで、猫にもらう幸せな時間の方がずっと多い。

    最初の猫が亡くなった時、こんなに泣くくらいならもう猫とは暮らすまいと思ったが、何かの縁かまた猫と一緒に幸せに暮らしている。猫たちはどの子もみんな優しいから。

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著者プロフィール

太田康介(おおた やすすけ)1958年9月23日生まれ。滋賀県出身。フォトグラファーアシスタントを経て、編集プロダクションにカメラマンとして入社。1991年よりフリーに。日本写真家協会(JPS)会員。報道カメラマンとしてボスニア・ヘルツェゴビナやアフガニスタン、カンボジア、北朝鮮などを撮影。東日本大震災後は、原発周辺に取り残された家畜やペットの写真を撮るとともに、飼い主のいない猫のTNR(地域猫化)と給餌活動を続けている。著書に『のこされた動物たち』『待ちつづける動物たち』(飛鳥新社)『しろさびとまっちゃん』(KADOKAWA メディアファクトリー)『うちのとらまる』(辰巳出版)『おじさんと河原猫』(扶桑社)など

「2020年 『やさしいねこ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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