21世紀メディア論 (放送大学大学院教材)

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著者 : 水越伸
  • 放送大学教育振興会 (2011年3月発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (286ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784595139703

21世紀メディア論 (放送大学大学院教材)の感想・レビュー・書評

  • 【97年時の「メディア論」のポイント】p32
    ①印刷術からコンピュータまでの情報技術史
    ②歴史社会的構成体としてのメディア
    ③メディアと関わる人間像の変化への注目
    ④国民国家の発展とグローバル情報化のなかのメディア
    ⑤未来を切り拓く媒介としてのメディア

    ★【「21世紀メディア論」のポイント】p38
    ①日常生活実践をこまやかに見つめ、対象化する
    ②技術中心主義にならず、技術と関わり続ける
    ③グローカルに拡大する格差に絶えず目を凝らす
    ④分析的、批判的でありつつ、実践的、能動的でいる
    ⑤メディアを歴史的にとらえ、その未来をデザインする

    ①について。
    さまざまな言説が溢れかえるなか、言説の皮膜を剥ぎとって当たり前のものごとであるメディアを捉えることは、取りも直さず研究者自身のアイデンティティや立ち位置を絶えず批判的に捉え直す営みに結びついている。

    現代の進化論では、先カンブリア紀に爆発的ともいえる勢いで、多種多様な種が発生したことが明らかになってきている。「カンブリア爆発」と呼ばれるこの現象によって発生した種は、現在の地球上に棲む生物よりもさらに多様であったらしい。こうした知見から、生物は単純なものから複雑なものへ、時間を経るごとに直線的に進化してきたというこれまでの考え方が大きく転換しつつある。
    Cf. グールドはこのような新たな進化観を「デシメイション(非運多数死)」と多様化というモデルで説明する。『ワンダフル・ライフ』1993
    →過去に構想されたか、あるいは実際に存在したものの、後に廃れたり忘却されたメディアの可能的様態。
    19世紀末から20世紀初頭に電気をめぐって欧米各地で同時多発的に生じていた現象は、「電気情報化爆発(あるいは電気メディア爆発)」と呼ぶことができる。p51

    【ソシオ・メディア論の歴史的補助線】p68
    ①メディアは時間をかけて社会的に生成される
    活版印刷術の実用化のあと、約3世紀をかけて新聞や書物はヨーロッパ社会に定着した。無線技術は19世紀末に実用化され、世界大戦を経て研究開発が体系化され、1920年代の大衆消費社会のなかに投げ込まれたことでいくつもの偶発的な要素が結びつき、ラジオ放送というメディアの社会的様態を採るようになった。無線と同じくらい古い歴史を持つテレビジョンが家庭用メディアとして定着するまでには、70年以上の歳月が必要だった。
    情報技術の進展の早さに較べ、それを受け容れる人間の認知や習慣、社会の規範形成の速度はゆっくりとしている。そのことは21世紀になっても変わらない。
    ②古いメディアの隠喩が新しいメディアを統率する
    eg. 「絵のでるラジオ」→TV
    ③メディアは社会的に定着する過程で独自の社会的様態を形成する
    ④新しいメディアは社会の周縁から出現する
    社会的様態がはっきりしない、新しいメディアに対しては、中心的なメディアから排除の力学が働く。
    ⑤制度的、産業的確立と可能的様態の忘却

    過去のメディアを知らずに現代のメディアを語ることはできない。過去と現在の事象を重ね合わせる想像力がなければ、なにが新しく、なにが変わっていないかの見極めができない。p76

    【日本の20世紀型メディアの特性】p87
    ①きわめて精緻な秩序体系を持っているということ。
    ②日本のマスメディアはこれまで大衆消費文化、すなわち国民メディア文化の鋳型として機能してきた。「日本人=国民=大衆」
    ③東京一極集中とローカリティのあいだで限定的多様性を保ってきた。
    ④とくに戦後日本のマスメディアはアメリカ傘下で独自の深化を遂げてきた。

    【情報技術とメディアの相関】
    メディアは情報技術を内包しながら、政治的、経済的、生活文化的な諸要因の介在によって社会的... 続きを読む

  • 日本のメディア研究はアメリカを追随するのではなく、独自路線で研究スタイルを固めていった。
    メディアは生態系か?技術進歩や資本だけでメディアはできるのか?

  • メディア研究の困難性と広がり、深さ、源となる点を確認。ビオトープという概念だけが、どうもメディアを論じるのに、いま一つ適していないように感じる。それ以外の箇所は、刺激的だった。

    気になった記述。
    ・メディアの働きは、「伝達」と「共有」の複合。
    ・メディアとしてのケータイ研究の難しさ(※量子力学で言う不確定性原理に近い)
    ・メディア論は、批判的で実践的なスタンスが求められる。
    ・古いメディアの隠喩が新しいメディアを統率する。
    ・新聞統合のプロセス(※権力は巧みだ。都道府県に一紙をうまく残すとは)
    ・メディアは社会的に生成する。
    ・メディア論はマスコミ的なあり方だけでなく、生態系をなすようなありかたを含みつつある。
    ・共同体的なコミュニケーションにもケータイは可能性を持っているのではないか。
    ・韓流はアジアで最後の方に日本ではブームが来た。
    ・外国人に限らず一般人びとは、最初から他者に向けて語りたい物語などほとんどもっておらず、あるのは歴史から娯楽に至るマスメディアがもたらす物語ばかりだと言うことだ。

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