プリティ・ガールズ 下 (ハーパーBOOKS)

  • ハーパーコリンズ・ ジャパン
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感想 : 23
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  • Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784596550101

感想・レビュー・書評

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  • オチはまあまあ予想がついた。
    人は誰しも複数の面を持っているが、ポールの場合はクレアに見せていた面と、猟奇犯罪者の面のどっちが本物だったのだろうか?
    最初の頃は周りに頼ることばかりしかできなかったクレアが、自分で考えて行動できるようになったのは成長したと思う。
    結論を言うのなら、家族愛について扱った作品。
    個人的には、認識を捻じ曲げるほどのポールの洗脳?愛情?が恐ろしい。
    周囲も彼女自身も騙されていて、自分だけが本性を知っているのに信じてもらえないのは恐ろしいと思う。
    薬物中毒になったのも分からなくはない。

  • 下巻は冒頭からまさかの展開。この小説は結局サスペンス。ミステリー要素は、ほぼなかった気がします。拷問のシーンは本当に嫌になります。また、決して爽快感は得られません。最後も解決してから、無駄に長かったですし。そういう意味では、正直物足りない話だったと思います。上巻から下巻の頭まで良かっただけに残念。

  • 家族という自分の一部にも近い存在が唐突に失われ、かつ気持ちが整理できないほどに真実を奪われることで、残された家族それぞれが壊れていった。
    真実を求める中で、夫というもう一人の一番身近なはずの存在を実は全く理解できていなかったことに気づく。
    しかもその真実は相互に密接に絡み合っていた。


    この作者は、身近な存在が抱える秘密を描くのが好き。

  • ブクログから献本されたもの。
    可愛らしいタイトルとは正反対の内容だ。
    衝撃的で、読み進めるのが辛い場面が連続する。
    その辛い場面とは猟奇ポルノ。
    乳房を剥ぎ取ったり、焼ごてをあてたり、そうして少しずつ命を奪い、尊厳を剥いでいく。
    そして、死んでしまったのち、あるいは死ぬ直前に女性として最もおぞましい苦痛を与えられるのだ。
    想像するのが苦痛。
    こんなものを、愛する夫が所持していたとしたら?

    本書はバラバラにされた家族の物語だ。
    美しい自慢の娘。
    その子が誘拐された末、尊厳など微塵も残っていない状態で両親の元へ戻ってきたとしたら、私たちは彼女が味わった苦痛を知りたいと思うだろうか。
    私なら知りたくない。
    知ってしまうことで、私がしてあげられる最後のことを。蜘蛛の糸を切ってしまいそうだから。

    仲の良かった三人姉妹をばらけさせ、父を自殺に追い込んだのは一体誰だ?
    「いい子」になり、存在を消すことで自分を守ってきたクレア。
    元ジャンキーのリディア。
    この二人が再び姉妹として手をつなぎ、真実に近づいていく様子はワクワクする。
    それと同時に消えたジュリアがどこに行ったのかを知りたくない気もして恐々としていた。
    「生きていて」が絶望的だとしても、そう信じ続けてしまう家族の弱さ。
    それは愛ゆえの弱さだ。
    諦めてしまったら、恐れていることが現実になってしまいそうで怖いのだ。
    大丈夫、大丈夫、言い聞かせ続けるのは、彼らを心から愛しているからだ。

    結末はハッピーエンドとは言い切れない。
    けれども、起きてしまった悲しい現実に対しては最善の方法であり、それが救いだと感じる。

    それにしても、「普通」だと信じていたものがそうで亡くなった時、私たちはそこから立ち直る術をどれほど持ち合わせているだろうか。
    想定以上のことが起きてしまった時、必要なのは絶望に飲み込まれ、地に伏せることではない。
    もちろんそれは簡単なことではない。
    困難を伴うものだ。
    しかしそれでも立ち上がろうとすることで、現実と対決でき打ち勝てるのだ。
    それが自分自身の救いになり、大切な人を守る強さになりうるのだ。

  • 後半になってやっと理解できたのは、これは猟奇ミステリーなどではなく、姉妹と家族の物語ということです。

    ある日突然娘を失って崩壊してしまった家族が、20年以上の歳月を経て、再び危機に曝され、残されたなけなしの勇気を振り絞って立ち向かう、そういうお話。
    そういう視点で思い返せばよく練られていて読後感も悪くないと感じました。
    ただ、文章から脳内へのビジュアル変換がうまくできないというか、テンポよくすんなり入ってくる部分とそうでない部分があり、なかなか時間がかかりました。
    これは翻訳もののせいなのかそれともアメリカの生活習慣やライフスタイルを知らないせいなのかは判然としません。
    あとで「あ、あれはどうなったの?」と読み返す部分もしばしばで集中して一気読みとはいきませんでしたね。
    あとがきに作者のユーモアが溢れていて素敵な作家さんだなと思いました。
    どうやら娘がいなくなる最後の一日を描いた「彼女が消えた日」という短編も存在するようで、そちらと会わせて読むともっといろいろ感じられるのかもしれません。
    読んでみたい。

  • これで去年の感想も最後。
    年末って本当にドタバタしますね。


    ここから感想

    物語自体は面白かった。
    上巻で亡くなった夫の秘密を知り、驚きと戸惑いに混乱する妻とはじまり、下巻でも意外な展開もあり楽しませる。
    残念なことは、翻訳がおかしいのか作家の文章自体がおかしいのかわからないけれど、とにかく読みにくい。感じ方はそれぞれなので、違和感なく読めるかたも多いのだと思うけれど、わたしには合わなかった。

    物語と直接関係あるようなないようなことが、気になったことのひとつとしてある。
    それは、日本とアメリカの違い。
    物語中、裕福な家庭の妻である主人公が、傷害事件で保護観察中という設定になっているのだが、裕福な家庭の奥さんと犯罪者ということがすんなり結びつかない。
    日本でも勿論裕福だろうが貧しかろうが犯罪を犯すひとは犯すのだけれど、日本なら物語の主人公、それも気の毒な妻の位置に前科者という設定は余り想像できない。
    主人公が傷害事件を起こすにはそれなりに理由もあり、物語にも関わってくると言えるのだけれど、多分日本なら警察に捕まるレベルの暴力には至らないのではと思う。

    また、逮捕歴があるひとが少なくないとか麻薬が身近に溢れているとか、保護観察中の人物の足首にGPS装置を取り付けるといったことなどに、アメリカってそうなんだと驚く。
    婦女や幼女暴行犯といった再犯性の高い加害者にGPSは理解できるし、日本でも導入してもいいのではとも思うけれど、初犯である傷害事件の加害者にもGPSってやり過ぎじゃないかと思う。そんなに犯罪者全ての行動を把握する労力のほうが勿体無いというか。
    アメリカには犯罪者に人権などないのかもしれない。
    日本のように犯罪者の人権を護ることに躍起になって、被害者ほったらかしというのも如何なものかと思うけれど。

    女性に暴力を加えることによって性的興奮を得る犯人が出てくるため、痛々しい描写があり、そういったものを不快とされるかたは読まないほうが良いと思う。
    逆に、そういった描写が好物なかたには物足りないだろうと思う。

    この作家さんは、今アメリカでは注目の女流作家さんらしいので、他の作品にも興味はあるが、また読みにくかったらどうしようという不安もある。
    良くも悪くもドキドキする。

  • 下巻。マイクル・コナリー、ギリアン・フリン、テス・ジェリッツェンの賛辞が踊る本の帯が虚しい。混迷極まるストーリー、死んだはずのポール…まるでこじつけたような理由と凄惨な描写がミステリーとしてのリアリティを台無しにしている。まるでB級映画の如し。

    また、翻訳も酷く、非常に読み難い。期待して読んだのだが…

  • ブクログの献本に応募して当選した作品。
    Karin Slaughterが2015年に発表した長編小説。上巻ではちょくちょく視点が変わって時系列なんかもバラバラで話を追いかけるのに必死だったけど、下巻はかなりスピーディーでスリリングな展開が多く面白かったです。ラストは途中まで読んで察しがついた通りだったのだけど、上巻でバラ撒いた伏線なんかをそれなりに上手くまとめてあって良かったと思います。まぁ、とにかくとてもアメリカらしい作品だったというのが一番の感想です。前日譚の「彼女が消えた日」も読まないといけないかな。

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