レディ・エミリーの事件帖 折れたアポロ像の鼻 (ハーパーBOOKS)

  • ハーパーコリンズ・ ジャパン
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  • Amazon.co.jp ・本 (528ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784596550132

感想・レビュー・書評

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  • ミステリの展開と結末はかなり早い段階で予想ができる。(そして予想通りである。) それ故読みやすかったとも言える。
    シリーズ1作目ということを考えると仕方がないのかもしれないけど、あれもこれもと詰め込みすぎて全てが表面的すぎるような印象。
    主人公のエミリーがなぜ全方位的に愛されるのか。財産でも外見でもない魅力がこの先描かれることを願って、自作も読んでみるよ。

  • 折れたアポロ像の鼻はいつ出てくるのかな?と思いながら、ストーリーの単調さに読了までに時間がかかってしまいました。中盤を過た頃には展開が読めてしまいますが、終盤は一気に読み切り次作への期待へ。長いですが内容はライトノベル的かなと。

    訳者のあとがきより。本国ではシリーズが(2016年1月時点で)10冊以上刊行されているそうです。

  • 事件自体や犯人は典型的なので、かなり早い段階から見当がつく。
    エミリーが幼くて世間知らずなのに、大金持ちだし一人暮らしだしで、強引でつじつまの合わない推理を持ち出しても、誰にも止められない。親友のアイヴィーが心配して止めるんだけど、アイヴィーとコリン、この本の中でいちばんマトモなこと言ってる二人を主人公は遠ざけるんだよねぇ。謎を引き伸ばしたい作者のご都合主義にしか思えず、かえって主人公エミリーの魅力を下げていて、残念。
    古代ギリシャ文化や美術については、エミリーの片言の感想がちりばめてあるわりに、説明そのものは薄くて、ものたりなかった。
    この作品のいちばんの魅力は、19世紀の上流階級の女性の生活が分かるところだろう。特に、未亡人であるマナーは特殊でめんどくさくて、おもしろかった。

  • ロマンス色がやや強い(?)ヒストリカル・コージーミステリー。主人公は未亡人。夫が亡くなったあとに初めて夫への愛情に気づくというのが切ない。でも気のない相手にも何度もキスを許すあたり、主人公に共感がもてない。犯人はいかにも怪しげだし、夫の親友の任務も予想通りで最後まで驚きがなかった。

  • ブクログの献本企画でいただいた書籍。

    1800年代後半の雰囲気が良く出ている。美術ミステリの要素はあるがそれほど薀蓄と贋作技術についての詳細がないところが少し残念であるが、それなりに面白かった。
    エミリーの思い込みと強引な推理には眉をひそめるが、それも作者の狙いであるのではないかと思い、読み進めていけばキャラクタの造詣と思えてくるので、最後は気にならなくなった。ただし、長さの割には、比較的あっさりした謎解きであり、バランスが悪いように感じたが、著者のシリーズ1作目であることを考慮すると、仕方ない面もあるのかと思う。2作目以降で古代美術への更なる知識への傾倒、そしてより深い謎やサスペンスを期待したい。

  • コージーを幾つか読んできたがどの作品もそれぞれ個性的で面白かった。しかし本作は…。事件の進展と平行して描かれる主人公の亡夫に対する思慕が分量的に多すぎて(しかもくどいだけで深みは無い)グズグズ進む感じ。登場人物の個性も魅力も乏しく名前がなかなか覚えられないこともあり、最後まで読むのがたいへんでした。原書は二桁に及ぶ巻数が出ていて人気シリーズなのだろうと思うけれど、残念ながらこれ一冊でリタイアします。

  • 献本にていただきました。ありがとうございます。
    普通の探偵物をイメージして読むと、かなり違います。
    全体的に、コバルトっぽい雰囲気をイメージしていただくと近いかも。うるさい母親にうんざりだけど、社交界を捨てたいわけじゃない。夫の死とともに自由を求めるそんなヴィクトリア時代の乙女心から始まり、亡き夫への恋心あり、女子トークあり…というレディ・エミリーの冒険心あふれるヒストリカルミステリーです。
    一人称”私”視点の物語。観察眼が鋭いと褒めたいところだが、なかなか鈍い娘で…いつになったら事件が始まるのかと、前半の歩みが遅く感じますが、中盤以降は一気読み。
    物語の合間にある、亡き夫の日記が切なくほろ苦く、無自覚だった夫の気持ちに今更気づく戸惑いから始まって、成長するヒロインがとても良かった。
    物語にルノアールが登場するなど、史実を上手く絡めている部分も注目。フィクションと史実との関係などまとめて巻末に作者の言葉があるのは嬉しい。
    シリーズとして10冊以上出ている人気シリーズということで、今回微妙だったコリンがもっといい男になるのだろうと活躍を期待。
    http://books117117.blog110.fc2.com/blog-entry-4989.html

  • ブクログの献本でいただきました。
    本の値段を見てびっくりしました。
    ブクログさん ありがとうございます。
    -----------------
    ″19世紀の倫敦が舞台“
    この一文に惹かれないミステリファンは
    いないでしょう。

    探偵役はアイリーン・アドラーのような女性なのか
    はたまたハドソン夫人…?
    貴婦人が紅茶を飲みながら甘ったるい推理をする
    ようなのは勘弁かなあと思って読み始めたけど、
    最初の数ページでいい意味で裏切られる。

    ヒロインはいわゆる独身をこじらせたような女性。
    なんだかSATCにでも出てきそう。
    ちょっと刺々しいヒロインだけど、これなら
    大丈夫そう、と読み進めて行ったけど…。

    肝心のミステリ部分は、はっきり言って
    「どーでもいい」。
    女友達との小競り合いや亡き夫への思慕と後悔、
    メンズ達とのロマンス、美術品やイリアス云々の
    方が楽しめる。
    何十年も前に親しんだコバルコ文庫のようだなーと
    思いながら雰囲気をだらだらと楽しんでいる内に
    TheEnd。
    なんだかのどかで読後感はほのぼのあったか。

    ちなみにフィリップが初めてエミリーに会ったと
    日記に書いてあった日付は1887年4月21日。
    ホームズはその頃、ライゲートの大地主事件に
    携わっていたようで。
    うーん 同じ時代のお話とは全く思えない…!!

  • 結婚後すぐに夫を亡くし、豪奢な屋敷で喪に服す若き貴婦人エミリー。
    口うるさい母親から逃れるために結婚し、夫にはさほど興味もなく他人同然に知らなかったために亡き夫フィリップを悼む気持ちになれない事を後ろめたく感じていた。
    ところが、フィリップの親友・コリンの話から自分が夫に深く愛されていた事を知り衝撃を受け、
    今更ながら彼に興味を抱きはじめ、生前愛した美術品を眺め、遺された日記を読むことを楽しみにするように―
    そんなある日、夫の蒐集品のひとつアポロの胸像をメイトが壊してしまい―折れたアポロ像の鼻からは、美術品に関わる謎と夫の黒い秘密が…
    エミリー、最初の事件。


    あらすじから想像していた話とは違ったよ…
    エミリーは母親から逃れたかったとは言え、その先の人生に関わる夫となる人にそんな無関心で大丈夫か?と。
    ヒロインはあまり強い個性もなく、嫌いでもないけど特に魅力は感じないかな-
    周りの友人、使用人たちのほうが愉快かと。
    人物と衣装の描写も物足りない-
    意外とこの時代の女性は自由だったのね-ルールはあれど、ギリシャやアフリカにも長期旅行できたというのが驚き。
    ヒロインも財力ありきで頻繁にパリを訪れ、そこから更に遠方へ行ってるし。
    実在の人物が登場しているのも楽しい-ルノアールに肖像画を描いて贈って貰えるとか素敵だわ-
    まぁ今や巨匠もその時点ではパトロン求めてる芸術家のひとり、だけど。
    シリーズ長く続いてるようですが、次が気になるほどでは無いです…

  • 口うるさい母から逃れる為に19世紀当時の貴族階級のしきたりに則って、愛も無く取り合えず結婚してしまう主人公ですが、間もなく夫が亡くなり服喪中に次第に夫を恋い慕うようになるという設定は面白かったです。だれが黒幕かは雰囲気や流れでわかりやすいです。亡き夫の親友コリンを疑っていたのに疑いが晴れた途端恋愛モードになるのは私には唐突に感じられたのと、深い付き合いも無いのに亡き夫はエミリーのどんな所に惹かれたのか今一つ疑問です。結婚にガツカツしてない素っ気無いところがよかったのかな。

  • おもしろかった!
    続きが気になって、一気に読んだ!!
    陰謀とかけひきと恋愛と。

    ブクログの献本応募で当たったのでレビュー。
    少し厚めの文庫。500ページちょい。

    主人公エミリーは結婚してすぐ未亡人。
    服喪期間や半服喪期間があるなんて知らなかったな。

    親の束縛から逃れるために愛も知らずした結婚。
    夫(フィリップ)の死後に夫に恋するなんて、なんだか切ないけど。
    彼の日記が合間にはさんであって、よかったな。

    エミリーをとりまくロンドンでの生活やパリ旅行、
    社交界の話、女友達や求愛者の話とともに
    美術品やホメロスの『イリアス』の話がたくさん。
    イリアスを読んだことないけど、読んだことある人なら
    引用文がわかるのかな。
    ちょっと読んでみたいような衝動にかられる。


    200ページあたりで、アポロ像の鼻が折れてから事件が。
    夫は誠実か不誠実か。死んでいるのか、実は生き残っているのか。
    夫の友人コリンは信じられるか、信じられないか。
    誰が黒幕なのか。

    エミリーと一緒になってハラハラしながら、
    喜んだり、悲しんだり、疑ったり、信じたり。
    感情の起伏が激しかったなー。
    でも読んでよかった。おもしろかった。
    シリーズの続きが出るのか気になるところ。

    最後にブクログさん、献本ありがとうございます。

  • タイトルからして、実に面白そうではないか。
    ぜひ手に取って読んでみたいものである。
    是が非でも。

  • 長い!!そして思ってたのと違う!事件はさっさと起こって、解決に勤しむ・・・的な感じだと勘違いしてました。
    とにかく事件が起こるまでが長い!ギリシャやその時代の読み物・詩のことや美術品に関する薀蓄がながーーーい。あとがきにもあるけれど、作者が好きなんだそうです。だとしてももう少しけずれなかったのか。途中で挫折しそうになりました。
    ハーレクイン的な三角関係もありつつ、わたしはなにを読んでるんだろう状態でした。
    後半は怒涛の展開でしたが、悪者はわりと前に、こいつかなってわかっていました。表紙だけが好みでした。

  • 運悪くこの作品を読み始めてしまった男性、
    とくに未婚者は、
    主人公のあまりに現実的な、利己的な結婚生活に幻滅するのは仕方がないと思う。

    でも、我慢して読み進めてもらえば、
    亡き夫に恋をしていく姿に許してもらえるのではないか。
    ヴィクトリア朝の貴族の女性には、
    社会的自由はあまり与えられていなったことも加味してほしい。

    そのヴィクトリア朝の習慣・文化に挑戦していく様子もおもしろかった。
    ミステリーとしても、結構面白かったと思うのだけど。

  • 貴族のエミリーは、結婚してすぐに夫を亡くしてしまう。とはいえ、彼女は結婚を急かす母親から逃れたくて結婚を決めただけだった。夫を全く愛していなかったので、悲しみは無いものの、喪には服さないといけない。
    夫の事を少しは知ろうと色々調べているうちに、夫に魅力を感じるようになるものの、泥棒に入られたり不可解なメッセージを見つけたり。夫の死に秘密を感じたエミリーは、友達の協力を得て調べだします。

    話のテンポがよく、ストーリーもおもしろいので長いんだけどあっという間に読めました。エミリーは、貴婦人としての誇りを持ちながらもそれにとらわれない考えも持っています。でも、時々思い込みで突っ走って頭から疑って、相手の言い分をきかなかったり、ちょっとイラッとさせられることもありました。

  • 期待せずに読み始めたら予想外の面白さ!帯だったかに「ジェーンオースチンが書いたダ・ヴィンチ・コード」みたいなことが書いてあったような気がするけど、うんうん、そうかもしれない。でも彼女特有のきまじめさはないかなぁ。そこはそれ、やはり現代の作家さんだものね。
    シリーズが進んでいくにつれて登場人物の考え方や人間関係が変わっていったらもっと楽しいだろうなと思う。

  • シリーズ第一弾。
    コージー、になるのかな、軽くて温かくて、安心して読めるミステリー。
    犯人や仕掛けなど、確かにそれほどひねりがあるわけではなく、わかりやすくはあるのだけど、それでも十分に楽しくページをめくり続けられたのは、作者の力量。
    エミリーの好奇心や向学心がふくらむ過程にわくわくさせられたのも良かったね。
    ある意味、何度か読み返すのって、こういう軽いミステリーだったりするんだよなあ。

  • ブクログ贈呈本。

    自分からはチョイスしないであろう作品だったが、装丁から想像していたよりも 面白かった。
    新婚すぐにだんな様をなくした若い未亡人エミリーのお話。
    古代美術、古典ギリシャ文学などからめ、
    無くなったご主人の謎、疑惑を解き明かしていく。

    ときおり物語の合い間にはさんであるフィリップの日記がいいですね。

    ラブ要素が強いけれど面白く読めました。

  • 19世紀ロンドン、ヴィクトリア朝の社交界。結婚後半年で未亡人となり、資産と自由を手にし、社交の義務からも解放された若く美しいレディ。古典美術に目覚め、勉強を始め、夫を再発見し、盗難美術品の謎を解決する。

    これから始まるであろう様々な冒険談、どう続くんだろうかと楽しみです。帯に「ジェーンオースチンが書いたダ・ヴィンチ・コードとありましたけど、読み終えて初めて意味が理解できました。ダウントンアビーです。

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