氷結 上 (ハーパーBOOKS M ミ 1-1)

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  • Amazon.co.jp ・本 (394ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784596550392

作品紹介・あらすじ

雪と氷に閉ざされたピレネー山脈。標高2千メートルの水力発電所で、皮を剥がれ吊るされた首なし死体が見つかった。殺されたのは発電所所有者でフランス政財界に通じる大富豪、ロンバール家の愛馬。上層部から馬殺し解決の特命を受けた警部セルヴァズは、美貌の女性憲兵隊大尉ジーグラーを相棒に捜査を始めるが、現場からある猟奇殺人鬼のDNAが採取され、事件は不気味な様相を呈すことに――

感想・レビュー・書評

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  • ひと昔前のニュアンスにおいての「フレンチ・ミステリ」ではない。
    そもそも舞台はパリではなく、スペイン国境に近いピレネー山脈の麓である。気候や地域性の描写から、なんとなく東北を連想した。冷たい雪、寂れた町、陰鬱で猟奇的な殺人事件…肌ざわりで言えば「北欧ミステリ」が近いだろうか。そんな中、不倫がライトに語られるあたりはフランスらしい(偏見)。
    犯人は明かされるが、具体的な犯行手順(いわゆるネタ)は明かされないので、微妙に「んなこと可能なんかねえ…」感はなくもない。そのへんにはこだわらずフワッと読んでね、ということか。
    それやこれやで「あっと驚く」というよりは、雰囲気を愉しむ物語だと言えるだろう。

    2019/6/24~6/25読了

  • フランスミステリー。感想は下巻で。

    あらすじ
    ピレネー山脈の水力発電所で、吊された死体(馬)が見つかる。大富豪のサラブレッドだったため、警察と憲兵隊で合同捜査に。現場の近くには、凶悪犯を収容する研究所があり、そこには新人心理学者が赴任してきた…。

  • 下巻!

  • 下巻にまとめて記載

  • 氷(=glacé、原題)に閉じ込められたような山中の発電所で起きる猟奇的な犯罪と凶悪な殺人者たちを収容している精神病院が結びつけられていく冒頭の展開に期待が高まるが、この手の物語の約束事である第二、第三の事件が発生して緊張感が増すかと思いきや、それほどでもなくて話を引っ張りすぎているようで、クライマックスに向かうはずの下巻に早く移りたくなった。

  • 上下一括感想
    下巻にて

    夏に冷たそうなタイトルだから、

    でも、涼しさ味わってる間がないほど、
    どんどん話が進みます。

    このまま下巻へ突入。

  • 私には初めてのシリーズ。
    なにやらレクター博士的な人物が登場したり、登場人物それぞれのキャラが立っていたりと下巻への期待が膨らむ内容。

    ただ、登場する方々の名前が日本人には馴染みのないものばかりで覚えにくい! いや、歳のせいか?

  • 訳がわからない意味不明の事件。

    事件描写と登場人物の背景が専らであるが、
    少しまどろっこしさがあるかな~。

    この後の展開に期待!

  •  フランスの売れっ子作家と聴き、興味深く読み始めたが、幕開けが奇妙かつ派手な事件、その舞台となるのが冬のピレネーの山村、とアクロバティックで一気に引き込まれる大スケール&アクション・ミステリーであった。これがデビュー作ならフレンチ・ミステリーのスターダムに一気に輝いたというのも容易に頷ける。

     連続する猟奇殺人にしても、山麓の村にある重罪犯を集めた研究所の存在にしても、相当に不気味である。腕利き警部マルタン・セルヴァスの活躍の中に挿入されるのが、その不気味な研究所にやってくる女性心理学者ディアーヌ・ベルクの章である。事件と並行して存在感を増す連続猟奇殺人犯と研究所の存在が、気になって仕方ない。

     注目される連続殺人犯は、ジュリアン・ハルトマン。死体を残さないが、40人以上の女性の不審死の容疑者とみなされる。またシリアルキラーでありながら元検事、という特異な知的犯罪者の容貌を持つところなど、心を操る知的犯罪者としての側面から、どうしてもハンニバル・レクターを連想させる。この作者、よくぞ勇気ある勝負に出たものだ。

     しかし彼を考慮に入れずとも、ロープウェイの山頂駅で最初に発見される皮をはがされた首なし馬の
    死体という劇場型バイオレンスに始まる連続猟奇事件のミステリとして十分にサービス性が満点なのだ。二体目の殺人も、渓谷に発見されるが、劇場型であるところ、まるで横溝正史か? と懐かしささえ覚える。

     派手な事件に、複雑に絡む人間関係。裏側に潜む真実はかなり深い部分に、そして時間軸を掘り下げてゆくことで真相は近づく。多くのミスリードの向こうに見えてくる真実。つまり語り口、プロットともに優秀な作品だからこそ、優れたエンターテインメントとしての完成度を誇る。ミステリーにとどまらぬ大自然を使った昔懐かしい冒険小説的魅力も兼ね備えているところがもしかしたら、最大の魅力なのかもしれない。

     それにしても巻末解説においてこの作家の作品を、しかもセルヴァス警部のシリーズを、ぼくは既に
    読んでいた。そして楽しんだということに気づいてしまった。シリーズ三作目の『魔女の組曲』! そう、これは一気読みの面白さであったが、セルヴァス警部としての個性は目立たなかった。運動神経オンチで、銃の扱いも乗り物も苦手。恰好悪いが事件の真っただ中に突入してしまうこの中年刑事は、本作では、とても存在感濃厚である。『魔女の組曲』は、ストーリーと被害者のほうが目立ち過ぎて、警部は救世主ではあるのに、狂言回し的な地味な役柄なのであった。

     それにしてもストーリーテリング最高の作家に出会えました。とりあえず、フレンチ版ジェフリー・ディーヴァーと呼んでおこう。

  • フランス、ピレネー山脈近くの村での惨劇。場面の切り替えが早く、無駄がない文章なので緊迫感が半端ない。早く下巻を読まなきゃ。

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