6時27分発の電車に乗って、僕は本を読む (ハーパーコリンズ・フィクション)

  • ハーパーコリンズ・ ジャパン
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  • Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784596552068

作品紹介・あらすじ

本を愛するすべての人へ。

フランスで26万部突破、
36カ国で刊行のベストセラー小説

彼は今日も朗読する――死にゆく本を“天国”へ送るため。

パリ郊外の断裁工場で働くギレンは、
本を〝死〟へ追いやる毎日にジレンマを抱えている。
生き延びたページを持ち帰っては翌朝の通勤電車で朗読して〝往生〟させるのが日課だが、
憂鬱な日々はある朝、持ち主不明の日記を拾った時から変わり始める――。

読後きっと、いつもの景色が違って見える。
人生の葛藤と悲哀、希望を描いたベストセラー小説。

感想・レビュー・書評

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  • 本の断裁工場で働くギレン。
    ショッピングモールのトイレで働くジュリー。
    誰もがやりたいと望むようなものではないが、誰かがやらなくてはいけない大事な仕事。その仕事に取り組む日々は華やかで明るいものにはなりにくいだろう。何かを生み出す仕事には、未来へと向かう希望が感じられるけれど、何かを壊し捨てる仕事はそうではない。

    以上、訳者あとがきより抜粋。

    これは、パリの日常を舞台にしたラヴストーリーです。
    ギレンは地味で目立たない青年にみえますが、小さなものや(たとえば飼っている金魚)友人を大切にする、心優しき青年です。
    ギレンは、毎朝、通勤電車の中で本の朗読をしています。
    ジュリーという見知らぬ、28歳の女性が落としたジュリーの日記の入っているUSBメモリーを拾い、それをギレンのファンだという老姉妹に頼まれた老人ホームで朗読するようになります。老人たちからは拍手喝采がおこります。
    ジュリーの日記は主にトイレの清掃の仕事についてのあれこれで、ジュリーはちょっと皮肉屋ですが、明るくて活発な女性だということがわかります。
    そして、ギレンは見知らぬジュリーをなんとか探し出そうと動き始めます。

    途中からギレンに「頑張れ」と声援を送りたくなりました。
    ギレンとジュリーの出逢いは風変りにみえるかもしれないけれど、とても素敵だと思いました。
    二人の未来に幸あれと思いました。

    • まことさん
      タイトルの本という言葉に魅かれて読んだのですが「世界36カ国で刊行のベストセラー」だそうです。作家さんはヘミングウェイ賞も受賞されているそう...
      タイトルの本という言葉に魅かれて読んだのですが「世界36カ国で刊行のベストセラー」だそうです。作家さんはヘミングウェイ賞も受賞されているそうです。
      内容もよかったですよ(^^♪
      2019/08/06
    • くるたんさん
      まことさん♪
      こんにちは♪

      まことさんのレビューから手に取りました♪
      素敵な作品でした(*≧∀≦*)
      最後の手紙がものすごく良かったです♪...
      まことさん♪
      こんにちは♪

      まことさんのレビューから手に取りました♪
      素敵な作品でした(*≧∀≦*)
      最後の手紙がものすごく良かったです♪
      ほんとうに二人の幸せな未来を願いたくなりますね♪
      2019/08/24
  • じんわり静かに沁みてくる、素敵な物語だった。

    ちょっとした言い回し、言葉の紡ぎ方がすごく好みでとにかく読んでいて心地よい。

    毎日をギリギリ正常値で生きているような一人の青年の物語は決して楽しいとは言えない労働、日課のような朝の通勤電車での朗読、と…ただ単調な毎日が綴られていくだけ。


    だけれど、電車で本を朗読することに込められた思い、彼なりの本への思いが次第に姿をあらわす。そして彼の友人への想いを知った時には思わず涙腺が緩むほど…。

    そしてそんな彼の日常が一つの落し物との出会いから変わり始める。

    それはまるで花茶がゆっくり花開いていくのをゆっくり眺める感じ。

    きっかけはいつだってすぐそばにあるのかもしれない。

    文字が繋ぐ縁、言葉に宿る心…そんなことを感じさせてくれたラストがたまらなく良かった。



    こちらのサイトでなければ出会えなかった作品。
    出会いに感謝です。

    • まことさん
      くるたんさん♪
      私もこの作品は偶然、知っただけなのですが、そう言っていただけると嬉しくなります♪
      ギレンはいつも、本の破壊とう仕事をして...
      くるたんさん♪
      私もこの作品は偶然、知っただけなのですが、そう言っていただけると嬉しくなります♪
      ギレンはいつも、本の破壊とう仕事をしているから、逆に本をとても大切にしているのかもしれないですね。
      ジュリーも人の嫌がる仕事をしている女性だし、本当に幸せになって欲しいです。
      2019/08/24
    • くるたんさん
      ほんとうに…。
      誰かがやらなければいけない大事な仕事。そこにも感謝の目を向けたいです♪
      ほんとうに…。
      誰かがやらなければいけない大事な仕事。そこにも感謝の目を向けたいです♪
      2019/08/24
    • くるたんさん
      kanegonさん♪
      うん、良かったですよーー♪♪
      パリの街、雰囲気を知り尽くしてるkanegonさん♪はもっともっと味わえそうですよ(⁎˃...
      kanegonさん♪
      うん、良かったですよーー♪♪
      パリの街、雰囲気を知り尽くしてるkanegonさん♪はもっともっと味わえそうですよ(⁎˃ᴗ˂⁎)
      図書館本だったけど装丁素敵だし、私も購入して手元に置きたいぐらいです(⁎˃ᴗ˂⁎)
      2019/08/25
  • ブク友さんのレビューで知り、美しい表紙の写真と想像力を掻き立てるタイトルに惹かれた
    地元の図書館には無く、Amazonで手に入れ、ずっと寝かせていたが、図書館が閉館になり、読む本がなくなってしまい、満を持して開いた

    この中には、いろんな形の本や文章が登場した
    役目を終えたり、売れ残ったりして工場で断裁される本、断裁機のツェアシュート500に飲み込まれる間際に飛び散って生き残り、ギレンが電車の中で朗読する数ページの紙片、ギレンの数少ない友達のイヴォンが朗詠する戯曲、ギレンの心を掴んだ赤いメモリースティックに保存された70編の文章、そしてジュリーに自分の思いの丈を打ち明けたギレンの手紙

    その中でも、ギレンがジュリーに宛てた直筆の手紙は最高だった
    ずっと日本の作家さんの本ばかり読んでいたせいか、なかなか手強い。表現を味わい読めばいいのだが、どうしても回りくどい(ごめんなさい)と感じてしまう
    翻訳本特有の表現はやはり苦手だなと思いながら読んでいたが、最後化粧室接客係のジュリーに会いに行き、手紙を出すあたりから、(本当に最後の数ページになって) 一気に胸が踊った
    この最後の感動のために、それまでの少々退屈な文章はあったのかもしれない


  • ギレンと同じ電車に乗り合わせてみたい。
    きっと今見てる景色が少しだけ変わる気がする。

  • これまたこのサイトで知ったフランスの作品。
    この手の作品はまず自分から読もうと思うことはないので、レビュアーさん方に感謝。

    本のリサイクル処理工場で働いているギレンは、前日に機械に取り残された本のページを拾って翌朝通勤電車内でそのページを朗読するという生活を送っている。
    そんなギレンがある日、電車のホームで二人の老婆に声を掛けられたことから型に嵌った生活が少しずつ変わっていく。


    上司に怒鳴られながらやり過ごす工場の仕事、毎朝吐き気を感じながら通勤するという、最初はいわゆるプロレタリア系の苦しい話なのかと思っていた。
    工場内の事故で両足を失った元同僚の『足』を探すために吐いた嘘、電車内で偶然見つけたUSBメモリ内に記憶された小説とその持ち主探し…。
    これらの行方がどんな結末を呼ぶのかとハラハラしながら読んでいたが、意外な方向だった。

    誰もが何かしら抱いているコンプレックス、仕事への不満や鬱屈、将来への不安、判で押したような毎日への閉塞感。
    それらが老婆たちに声を掛けられ、老人ホームでも朗読をするようになってからは少しずつギレンの世界が開けていく。

    また自分の『足』が見つかる電話を待つだけ、そしてギレンがやってくるのを待つだけだった元同僚のジュゼッペにも新しいやり甲斐が見つかるし、守衛の詩人・イヴォンも守衛内で詩を詠うだけではない、新しい場所が見つかる。
    それからUSBメモリの持ち主にも。
    USBメモリの持ち主からの物語もなかなか魅力的だった。こちらを中心にしても良かったかも知れない。

    フランスの作品というとどうもオシャレでとっつきにくいイメージがあったが、訳者さんの技量の所為もあってか読みやすかった。
    毎朝電車内で様々なページの朗読をするという、ちょっとびっくりな日課で近寄りがたい人なのかと思ったらそうでもなく、どんな街の片隅にでもいそうな青年が彼なりの方法で様々な人と寄り添い受け入れられていく過程はホッと出来た。

    読み終えれば爽やかな物語だった。
    毎朝電車で乗り合わせるたくさんの乗客たちそれぞれに、それぞれの人生、物語がある。

  • 本の裁断工場で働く青年”ギレン”の日常と恋が描かれた小説。表紙の美しさ、タイトルに惹かれて手に取りました。フランスではベストセラーになったそうです。

    本を裁断する仕事に胸を痛め、毎朝助かったページを朗読する心優しいギレン。不器用だけど、善良で個性的で愛らしい人達が活躍するストーリーは、映画「アメリ」や「リトル・ヴォイス」を連想させます。

    彼らのユニークさに最初は戸惑いがありましたが、仕事や人間関係の煩わしさに共感する部分があったり、どことなくファンタジックなのも手伝って、気づいたら応援していました。ギレンの行動は、その殆どが優しさからなので、幸せを掴んで欲しくなるのです。

    華やかさは無いけれど真面目で優しい人達に、スポットライトがあたる物語で、明るい気持ちになりとてもよかったです。

  • 題名と、表紙の写真の美しさに惹かれて買いました。
    何度もじっくりと咀嚼して味わいたいような、そんな言葉がいくつも散りばめられた、素敵な小説でした。

    主人公はじめ、登場人物は皆、どこかにコンプレックスを抱えていて、一風変わった個性の持ち主ばかりなのですが、読んでいるうちにじわじわと愛着が湧いてくるというか…。

    ギレンやジュリーの思いの中に、自分と共通するものを発見しては、共感しじんわりと温かいものが込み上げました。
    読み終わったあと、とても爽やかな気持ちになる小説です。

  • じんわり、ゆっくりと心が温まる物語。
    哀しくもあり、腹だたしくもあり、おかしくもあり、愛おしくもある。
    綺麗な表紙に惹かれて手に取ったけれど、想像していた以上に素敵な作品でした。

  • 日常のような、非日常のような…
    普通ではないところのある登場人物たち。
    先が予想できず、どうなるのかが気になって、通勤電車の中で読了。
    独特な雰囲気のある、不思議な話だった。

  • ファンタジーの様な雰囲気がいしいしんじの「トリツカレ男」に通じる暖かさを醸し出していた。ジュリーの日記の一節が胸に残る。「人は見た目で物事を判断する、中略、だから今は、他人から変に思われないよう、自分を装う」疲れた時の大人の為の童話の様だった。

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