- Amazon.co.jp ・本 (426ページ)
- / ISBN・EAN: 9784620105796
感想・レビュー・書評
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いきなり法文から入り、太平洋戦争後に書かれた男の手紙から始まる。旧仮名遣い、旧字。
あとから振り返れば、確かに冒頭に持ってくるのが理解が早いなとは思ったけれど、いきなり、事件なのか何なのかもわからない、朴訥な男のつぶやきめいた旧字の手紙を数ページに渡って……
この作者、読者への導入の気遣いというものが一切無く、ついてこられない奴はいらない、って切り捨てるタイプだな。と思った。
しかも合田は後半まで出てこず……
誘拐のあたりから疾走感があってよかったけれど、むしろ合田は刑事が出てくると鬱屈しそうだから、今はいらないって思うほどに誘拐のあたりはおもしろかったけれど、とっつきにくかった。
しかしこの誘拐あたりからの疾走感は、『照柿』では得られなかった感覚。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
高村薫さんの作品を初めて読んだ。
最初はあまり進まなかったが、途中から話の展開に引き込まれ、時間がたつのも忘れて読み耽ってしまった! -
個々に抱える鬱屈や問題から、自己を解き放つにはどうすれば良いのだろう。なにか突破口のようなものはないのか。
「レディ・ジョーカー」の誕生の要因は誰しもが抱えている身近なものであり、その一線を越えるかどうかは理性に掛かっているのではないだろうか。
人物たちの人生の履歴が、また別な人物の履歴と重なり合う時のストーリーの恐ろしさ。
棲んでいる世界が一見違う筈なのに、厭なリンクを次々と織り成すさまは圧倒的だ。
読後の感想としては、ワクワク感はない。沼の深くへ徐々に沈んでゆく感覚ばかりあった。
娯楽に留まらぬ、見事な社会派傑作小説。 -
内容が濃く、読むのにすごい時間がかかった。
だけど面白かった。
久しぶりに重厚なストーリーを読み、あーこんな小説って最近読んでなかったなと思った。
犯人側・ビール会社側・警察側・新聞社側の社益の違いとその動きや、それに対応した登場人物の心理描写が交互に描かれていて今現在すべてを知っているのは自分だけなんだ。
という事実の独占感が味わえた。小説の醍醐味か。
最初の昔の字の長文の手紙から始まる物語はかなりきつかったがそれが終わればどんどん引き込まれる。
読み飛ばしても問題はない。
とにかく結末がきになる。 -
WOWOWでドラマ化されるので積読本を読み始める。マークスの山で出て来た合田が出て来た、しかし本庁から所轄署に異動しており何かドジを踏んだようだ、それは前作の照柿を読まねば分からないようだ。物語は食品企業恐喝事件だが、この作者の特有の粘着質な詳細な説明描写がまどろこしく、ついつい飛ばし読みになる。これらの布石が全てラストにスッキリ解決されるのだろうか、今まで作品を見る限り疑問に思う。下巻に続く。
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長い!そして複雑!集中して読まないと置いてかれ、会社、警察、新聞社、総会屋の組織毎に次々出てくる登場人物に混乱する。トーンは重くみっしり読み応えがあり、中盤近くで点から線になり動きが出てき面白くなってきた。下巻へ続く。
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文庫を先に読んだので、比較の為に読了。うろ覚えですが、レディ・ジョーカーグループの犯行の具体的な相談の部分とか文庫では結構削られてるような気が。個人的には削った方がその後のスリルが楽しめるので文庫の方が良かったかなぁ。あと半田からみた合田さんが明るい表現が使われてるような、特に駅前でばったり会った時。下巻は随分改稿があったようなのでどう違うのか楽しみ。
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難しい。
一ページ目から難しい。
一蹴されてしまいそうだったが、何とか踏ん張り淡々と進む物語を読んだ。
上巻の終わりは先の展開が気になるようになっており、ここでも挫けそうだったが下巻を読んだ。 -
読み応えもあり面白かった。六月くらいに読むといいかな。グリコ森永事件をベースとした小説、と言って良いのかな