レディ・ジョーカー〈下〉

著者 :
  • 毎日新聞出版
3.77
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本棚登録 : 1388
感想 : 146
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  • Amazon.co.jp ・本 (443ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784620105802

感想・レビュー・書評

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  • ・・・面白かった・・・
    マークス、照柿に続いてついにここまで来たか。という感じです。
    企業に対する2方面の脅迫が複雑に絡み合い、サスペンスとしての面白さは秀逸だと思いました。
     それから合田刑事や加納検事の苦悩の根幹・・組織人としての葛藤は、リアルすぎて吐き気がするほどです。
     BL的な描写に拒否感を持つ人もいるでしょうが、歯車の一つとしての自己矛盾を抱え、かつ正義でありたい自身の中から色々なものを捨てざるをえない二人の男が、互いを救いにしているという点で私は非常に「救い」を感じました。
     これが女性なら救いにならない。いや、同じ戦場に立ってる女性なら違うかもしれませんが。
     
     「救い」といえば、ラストのヨウちゃんとレディもある意味「救い」でした。
     犯罪に手を染めて行くレディ・ジョーカーのメンバーの気持ちも痛い程理解できてしまう本作は、面白くて、怖くて、切ない話しです。

     マークスの山の時も思ったのですが、高村氏の筆は読んでいてすごく鮮明にその情景が浮かんできます。
     マークスの山のクライマックスの、北岳の壮大な描写に心が震えましたが、レディ・ジョーカーラストの、新郷村の風景の寂寥感・・この犯罪叙事詩のラストに、よくぞこの風景を持ってきた、という思いで一杯です。

     いつもながら、文章力ないのでこんな感想しか書けないのが悔しいです。

  • 「集団に属する小じんは一体どのように生きていけばいいのか」
    読んでいる間、そう自分に問いかけずにはいられなかった。
    あまりにも巨大化してしまった現代社会の複雑に絡み合った暗闇はまるでインフルエンザの感染経路のようだ。そこに生き、その不条理さや歪みを飲み込み、時に反発し、時には全てを投げ出す人々の喘ぎ声や存在そのものを緻密な文体で描く本書に答えの一角が潜んでいるのではないかと思う。
    犯罪過程そのものが目的であり、それを媒体に変化していく人々の心の闇の叙事詩は確かに真実味を帯びているものだった。

  • 上巻に同じ

  • 前半は舞台背景や人物紹介、世界観の構築のために長々としていて、正直飽き始めたのは間違いない。

    中盤以降は、あえて読者の視界を、その時その時の登場人物と同じ角度から見せることで、スピード感・スリル感・混乱などがダイレクトに飛び込んできて、ついつい手が進む。

    史実をここまで、上手く肉付けして長編に仕上げた著者に感銘を受けた。

  • 骨太の文章。
    広範囲によく調べられた内容。
    そこに職を全うするものの苦悩・喜びが
    溢れている。

  • 人生は大きなババ抜き。ジョーカーひいたら負け。それは運まかせ。神様のいうとおり。

  • 話はたしかにおもしろいが、描き込みが多すぎて辟易とする。こういうのを情報小説というのか(衒学とは違う)。とにかく長過ぎ。ここまで描き込まないとリアリティーが生まれないとでも思っているのだろうか。

  • 上巻に続き長かった。警察、マスコミ、企業、諸々のそれぞれの視点が細かい描写をふまえてめまぐるしく動くので、図書館期限の2週間で毎日少しずつという読書スタイルでありながら慌てて読むには合ってなかったかも。小説慣れすると、こういったタイプの小説はすごく面白くなると思うけど、初心者の僕にはまだ無理でした。それにしても、作者さんすごい知識量。

  • 上巻にて。

  • よかったなぁ。
    登場人物全員が頭の中でくっきりと像を結ぶ。
    本著に登場する全ての人々がとにかく良かった。

    著者の作品は、とにかく登場人物が良いです。

    私や、私の周りにいる人は、いわいる「一般人」と呼べる類の人種ですが、一人ひとりと話してみると、とても個性豊かで、それぞれにドラマのある味わい深い人生を送っています。

    高村作品のそういう視点でじっくりと濃ゆいまでに描かれた登場人物達がとても素敵です。
    飛び道具みたいなへんてこなキャラを登場させて人目を引こうと足掻いている三流作家とは激しく全然全く違う。

    素晴らしい作家で素晴らしい作品でした。

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著者プロフィール

●高村薫……1953年、大阪に生まれ。国際基督教大学を卒業。商社勤務をへて、1990年『黄金を抱いて翔べ』で第3回日本推理サスペンス大賞を受賞。93年『リヴィエラを撃て』(新潮文庫)で日本推理作家協会賞、『マークスの山』(講談社文庫)で直木賞を受賞。著書に『レディ・ジョーカー』『神の火』『照柿』(以上、新潮文庫)などがある。

「2014年 『日本人の度量 3・11で「生まれ直す」ための覚悟』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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