手紙

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著者 : 東野圭吾
  • 毎日新聞社 (2003年3月1日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (357ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784620106670

手紙の感想・レビュー・書評

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  • 遠い親戚なら、知らんぷりで我関せずでもいられるのかも知れないが、実の兄が、自分の為に起こした、しかも殺人であるならば、それからの人生がどのようなものになるのかは、想像に難くない。

    本人の心の中でさえ、嵐が吹き荒れているのに、周りの対応がまた、人生を生きづらくさせてゆく。殺人にどんな理由があろうと、殺人は殺人であり、近しくなればその理由も知る事が出来るだろうが、少し近しい程度では、その心中まで考える余裕もないし、考える必要も感じず、ただ距離をとって近づかないようにする事が、一番楽な方法なのかもしれない。
    ただそれは、差別にほかならない。
    差別のない世の中は美しいだろうか。差別のない世の中になる事は可能だろうか。自分が差別している事に気づかなければ、差別などなくならないのではないだろうか。きっと気付かずに差別している人がたくさんいるから、差別はなくならないのではないだろうか。

    弟の為に殺人を犯した兄への気持ちが変化してゆくのはしょうがない。塀の中にいる兄には、弟の状況は想像するしか出来ないものであるから、弟が苦労しているかも知れないという事は想像できたとしても、その辛さを実際に知る事はできない。たった一人の肉親とのつながりは手紙しかない訳で、兄にとって手紙を書き続ける事が塀の中で十数年を過ごすためのモチベーションになっていたのかもしれない。弟がその手紙で苦しめられていることなど想像もせずに。

    運が悪かっただけなのかもしれないが、運が悪かったというそれだけで、人は良いのに苦労ばかりしているような人はいる。どういう生き方が正しいのかなんてことは、死ぬ時になっても分からないのかもしれない。

    兄が出所した後、この兄弟に何か変化は起きるのか、何も変わらないのか、どんな人生になってゆくのか、知りたい気がする。

  • とっても切ないお話だった。
    兄弟の絆、きっても切れない血縁関係に翻弄させられる
    そんな姿を思い浮かべては、涙がながれた。
    本人がこんなにも頑張っていても、不条理にも夢が壊されていく。
    こちらまで、苦しく、い居た堪れない思いでいながら 次へ次へとあっと 言う間に読了していた。
    社会とはそうしたものなのだ。・・と色々考えさせられた一冊でもあった。
    ただ、白石由美子さんの存在が唯一救いに思えた。

  • 弟の学費を稼ぐために強盗を働き、結果殺人まで犯してしまった兄。そんな服役中の兄を持つがために、周りから色眼鏡で見られることが続いている弟。
    犯罪者家族と、それを取り巻く残酷な運命の物語。

    何とも言えない話でした。
    実際に、こういうことは起こっているだろうと思います。弟の立場になれば、気の毒だと思うし、同情もしますが、公園ママたちの立場になれば、自分の子ともを守るために、同じことをしてしまうだろうなとも思うし。
     
    兄から弟への手紙に、のんびり服役しているかのような、そんな姿を想像してしまい、ずっと違和感を感じていましたが、被害者遺族への手紙のところで、それだけではなかったという事実が分かり、始めて納得しました。

    加害者と、その家族を、決して美化しないストーリーが、リアルでしっくりきます。
    弟の兄への複雑な気持ちや愛情、兄の弟への贖罪の情が、最後のシーンで痛いほど伝わり、グッときました。

    感動とは違いますが、心に残る本でした。

  • 東野圭吾ばかりが何故売れる?

    娘の大学の学園祭でミステリ研の機関誌を買ったら、オマケに古本を一冊どうぞということで、これをもらった。読んでなお謎は深まる。

  • 何が本当の答えかわからない、もがいている主人公とともにかんがえさせられた。

  • 弟の進学資金のために強盗殺人を犯した兄。
    他界した両親のかわりになろうと懸命に働いたが、身体を壊してしまい、盗みに入ることしか兄には思いつかなかった。

    兄の事件により、大学進学をあきらめ就職した弟。
    生活がうまくいきそうになるたびに足を引っ張るのは兄が犯罪者であるという事実。
    弟はバイト先で、バンドで、恋愛で、就職先で、”身内が強盗殺人犯だから”つらい思いをし続ける。

    刑務所から届く兄からの手紙の、のんきな言葉に弟は苛立つ。
    弟を支えるひとも、つらくあたるひとも、距離を置くひともいた。
    彼はそれらを受け入れ、努力し、自力で大学まで卒業する。

    月日が経ち、”強盗殺人犯が身内にいる”という迫害は自分の娘にまで襲いかかる。そして弟は兄と縁を切ることを決心する。

    被害者の家で、読んだ手紙で知った兄の想い。

    --------------------------------------------

    加害者の身内に罪はあるのか。法的に見ても罪はもちろんない。
    しかし、そこにあるのは絶対的な差別と迫害。

    作中で書かれているように、
    罪を犯すということは自分だけじゃなくて、身内まで巻き込んで社会的に死ぬということなのだ。
    自殺ではなく、身内を巻き込んだ無理心中。

    負の連鎖は続く。
    罪を償うとはどういうことなのか。
    悲劇を背負い続ける苦しみ。自分の家族に悲劇を背負わせる悲しみ。

    それが想像できたら罪を犯さないんだろうけど。イマジン。

  • やっぱり東野圭吾はすごい、と思わせられる一冊。
    ページをめくる手が止まらず、心に訴えてくる内容。

  • 映画を先に見ました

    読みながら、何度も泣きました

  • 罪を犯した当人ではなく、その家族が歩むことになる道(人生)の厳しさ・・・。
    これも重いテーマですね。

    強盗殺人罪で服役中の兄から月に一度送られてくる手紙。それを受け取る弟の心境がだんだんと変化していくのが切なかったです。

    罰を受けるのは犯罪者本人だけではない。そして、差別はなくならない。
    「罪」というものの重さを、改めて考えさせられました。

  • 事件の加害者家族の立場について考えさせられる作品。
    自分の犯した罪でもないのに、差別を受けて、当たり前の生活を送る権利を失ってしまった直貴は社会の理不尽さを痛烈に感じている。
    剛志の犯行動機が同情するものだったので、物語後半まで、なおさら直貴の境遇がかわいそうに思えます。

    平野の「差別は当然」「今受けている苦難もひっくるめて兄の犯した罪」という言葉は、とても重たく衝撃的で、罪を償うとは何かという事について考えさせられます。

    重大な犯罪が起きると、テレビのニュースやワイドショーでは、マスコミが加害者の身内を追い回してインタビューをしたり、両親が泣きながら謝罪したりしている光景を見ます。
    犯罪を犯した本人でもないのにあんな目に遭うなんて…と思う自分もいましたが、この本を読んで少し考えが変わりました。というか、もう少し大きな視野で捉えられるようになりました。

    自分だけの問題ではなく、家族や大切な人の人生まで狂わせる、これ以上ない苦難を与え続けるという事が多少なりと頭をよぎれば、それが犯罪の抑止力になるのかもしれません。

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