- Amazon.co.jp ・本 (298ページ)
- / ISBN・EAN: 9784620106786
作品紹介・あらすじ
他国を侵さぬ自立不羈の国。田横こそ天下の王となるべきだ。中国の人口を半減させ、なおやまぬ楚漢の激闘。虐殺をくりかえす項羽と裏切りを重ねる劉邦。ひとり信義を守る斉の田横は天下の衆望を一身に担いつつあった。英雄たちの挽歌、感動の最終巻。
感想・レビュー・書評
-
二回目の読書。田横。
詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
どうにも読みずらく時間がかかった。 この人の作品では「晏子」「介子推」は読みやすく、「孟嘗君」「楽毅」そしてこの本が読みずらかった。 時代としては春秋時代が舞台なのがOKで、戦国時代ものがNG。 時代背景が主人公の主張に同調しているから読みやすく、浮いている時代がNGなのか。 もちろん私の感情がそう感じているだけなのかもしれないが。
-
宮城谷さんの描く英雄像は晏子を除いて理解出来た試しがない。
-
ラストを、日本人的だなぁ、と感じた私は、中華を誤解しているのだろうか。<br>
たぶん、日本人を描いた作品であれば、何も違和感はなかったと思うし、この人の作品であれば、それもアリだったとは思うんだけれども。宮城谷昌光の描く中国ではない、という気がしてしまったラストでした。「死んで滅びず」みたいな発想は、実は日本人固有のもの(そんなものがあるか、という突っ込みはなしで…)じゃなくて、『史記』に昵近した日本人がそこから育んだものなんだろうか、とも考えてみる。納得はし難いけれども。<br>
項羽と劉邦を描こうとしながら、中心に田横を据えるという発想は、やはり宮城谷昌光、だと思う。けれども、中心に据えた以上はきちんと中心に置いたまま描いて欲しかった、というのが正直なところで、作品前半で話の中心がフラフラとぶれ続けたことが残念。歴史の中心点をややずらす、というのはこの作家の得意な描き方だと思っていたので。以前の作品では、必要なときに必要な解説を加えて、尚作品のテンポを落とさない上手さが感じられたのだけど、今作前半ではそれがなかった。後半に来て回復したように感じられたので、これが連載小説の怖さだろうか。 -
香乱記の最終巻を読み終えました。感想ですが、正直この巻での読みどころは、田横が兄たちの思想を想い、洛陽直前で自殺する場面のみでした。
香乱記では、項羽や劉邦を人格的に低くとして、田氏兄弟の歴史的評価を覆そうと作者は、したかったと思います。しかし、夏姫春秋のようにはうまくいかず、贔屓の引き倒しになってしまった気がします。
ですが楚漢春秋に於いて語られることの少ない、斉という国の動きを知ることが出来たので、そういう意味では良い作品だったのかなと思います。