魂萌え !

著者 :
  • 毎日新聞社
3.37
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本棚登録 : 1007
感想 : 197
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  • Amazon.co.jp ・本 (477ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784620106908

感想・レビュー・書評

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  • 定年退職し、
    「これから二人で静かに暮らそうね」
    と言っていた矢先、
    突然、夫が亡くなった。

    ずっと専業主婦だった主人公は戸惑う。
    事あるごとに集まって話していた学生時代からの主婦仲間3人、
    夫が通っていたという蕎麦工房の主人。
    夫の携帯に電話をかけてきた女性。
    「おれはバンドをやってビッグになるんだ」と言って
    アメリカに行ってしまい、音沙汰なしの息子。
    一緒に暮らしている娘。

    夫の死により、新たに分かる事実や物の見方。
    これまで、社会を夫と言う名の「フィルター」を通して
    見ていた主婦である主人公は自分がいかに守られていたのかを
    痛感する。

    遺産相続・息子夫婦(いつの間にか入籍していた)との同居。
    あらゆる問題が噴出して、主人公の心をかき乱す。

    1人になって主人公が考えたこととは・・・。

    う~ん。
    救われない話。

    老いることが嫌になってしまいそうな
    妙に現実感のある描き方だった。
    そういう意味では成功している本。

    でもあまり人好きする視点ではないかも。
    特に専業主婦の方の心には、
    「他人事ではない現実味」を感じてしまうのではないだろうか。

  • 感想は。。。正直 あんまりないな
    元々推理小説が好きだから 
    こういう本は ほとんど読まなくて。。。
    でも 話題になってた本だったので
    読んでみたくて 購入したんだけど。。。

    読んでても 主人公と私の年齢がかけ離れてるせいか
    共感できる部分も 考えさせられる部分も
    ほとんどなかった

    私の読解力不足?
    何が伝えたかったのか。。。分からない
    最後は 流し読みしちゃった(^^ゞ

  • 図書館で手にとって一気に読んでしまった。本作は毎日新聞に連載されていたもの。私が桐野作品を読んだのはまだ2作目。1作目は讀賣新聞土曜日朝刊に連載されていた「優しいおとな」だったから、どちらもメジャー新聞連載という制約はあったはず。桐野作品というと、勝手に救いがたい話というイメージを持っていたが、これは破局も救いがたい叫びも無く終わる。けれど、死は誰にでも訪れる内容なので、読みながら、自分や自分の父母の場合はどうだったか、考えていた。

  • なんとなく平凡な
    誰にでもありうる日常

    夫が心臓発作で急死
    どう生きていけばいいのか
    路頭に迷う60歳の専業主婦

    夫が死んでしまった後に知る
    愛人の存在

    アメリカに行ったきり
    自分勝手で
    相続や同でのことばかり気にする長男
    気ままに生きているようにみえる女友達

    夫が死んだ事で出会う人たち

    はじめて自分の心で考え
    物事を決めていくような
    今までと違う人生

    プチ家出
    不倫も経験

    夫の死で生じる
    心の迷いが
    克明に伝わる

    自分の意思で
    考え、迷い、決定する
    それが自分の人生を生きること

    生きるということは
    魂が萌える

    すっばらしく
    揺れ動く心の内を表してる
    タイトルだと思う
    「魂萌え!」

  • 年齢近いせいもあって、感情移入して読んでました
    でも、ホシみっつ

  • 発売直後に読んだ作品。

    桐野さん著作の中でも雰囲気が他の作品と大きく異なりますが、すごく
    好きな作品です。

    いつも読んでいて気持ちの深いところを探られるような気分になることが
    多い桐野作品ですが、この作品は人間の業を色濃く描きながらもすごく
    カラッとした爽快感とも呼べそうな雰囲気が作品全体に流れていたのを
    覚えています。

    また、機会があったら買い戻して読みたい一作です。

  • あらすじだけ説明しちゃうと昼ドラみたいな話だけど、重要なのは主人公が59歳であること。
    その年齢で人生が大きく変わることとか、裏切りに気づくこととか、大事なもの失うこととか。
    それから愛人が若い娘じゃなく主人公と同年代であることも、女性から見るととっても重要…

    主人公の第2の人生の生き様が逞しくて、もともと専業主婦で世間知らずの女性が、ジタバタしながら変わっていく姿は、心から応援してしまう。
    おもしろいーー!って作品ではないけど、じわじわ良い。読んでよかったと思うお話でした。

  • とにかく読みながらいろんなことを考えてしまった。で、考えることがどれも後ろ向きだったから気持ちが暗くなってしまった。年を重ねることの楽しさってきっとあるんだろうなって思う。それを見付けて年を重ねていきたいとも思う。でも今はそれが分からない。自分の25年後の姿なんて想像も出来ないけどきっといつかはなってしまうわけで、その時私は寂しさと戦ってるなんてイヤだなーと思った。夫に話の内容を簡単に説明して2人で息子が独立した後どちらかが死んでしまったらと言う話をした。2人して「イヤだよねー」と言い合った。こう思うのは年寄りは孤独だとどこかで思っているからなんだろうな。でも私の祖母は楽しそうだったなーと考えると少し気持ちが軽くなる。実際に60歳を前にしてみたら今考えているよりも楽しいのかもしれない。敏子も夫が亡くなったことで強くもなったし。でも今はまだ年を重ねることに恐怖を覚えてしまう。

  • もっと歳をとってから読んだら、印象が変わると思う。女性はいつまでたっても強い。

  • 関口敏子(59歳)、夫隆之(63歳)と二人平穏に暮らしていたはずの生活が、夫の死により崩れていく。

    夫の愛人、息子と娘、友人との関係、そして新たに出会う人達、敏子のまわりの環境が変わっていく。

    夫を亡くすという一つの変化が、様々な変化を呼び起こす。
    今まで見えていなかったもの、見ていなかったものが見えてくる。

    タイトルが、「魂燃え」ではなく「萌え!」であることに納得の内容でした。

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著者プロフィール

1951年金沢市生まれ。1993年『顔に降りかかる雨』で「江戸川乱歩賞」、98年『OUT』で「日本推理作家協会賞」、99年『柔らかな頬』で「直木賞」、03年『グロテスク』で「泉鏡花文学賞」、04年『残虐記』で「柴田錬三郎賞」、05年『魂萌え!』で「婦人公論文芸賞」、08年『東京島』で「谷崎潤一郎賞」、09年『女神記』で「紫式部文学賞」、10年・11年『ナニカアル』で、「島清恋愛文学賞」「読売文学賞」をW受賞する。15年「紫綬褒章」を受章、21年「早稲田大学坪内逍遥大賞」を受賞。23年『燕は戻ってこない』で、「毎日芸術賞」「吉川英治文学賞」の2賞を受賞する。日本ペンクラブ会長を務める。

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