- Amazon.co.jp ・本 (477ページ)
- / ISBN・EAN: 9784620106908
感想・レビュー・書評
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ささやかな<日常>に、豊饒な世界を描き出した、再生と希望の物語。夫婦ふたりで平穏な生活を送っていた関口敏子、59歳。63歳の夫・隆之が心臓麻痺で急死し、その人生は一変した。8年ぶりにあらわれ強引に同居を迫る長男・彰之。長女・美保を巻き込み持ちあがる相続問題。しかし、なによりも敏子の心を乱し、惑わせるのは、夫の遺した衝撃的な「秘密」だった。
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要は何事も気の持ちよう、魂は若くあれ、ってことなのかな。殊更特殊な物語というわけではなく、普通にそこらへんに転がっていそうな臨場感がありあり。とはいえ平凡で面白くない、ということはまったくないんだよなあ。
これはこの作品のヒロインと同じ年齢くらいになってから、もう一度読みたい気がするぞ。 -
いろいろあるけど、頑張ろう!という気にさせてくれる作品。いくつになっても力強く生きていこう。
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平凡な主婦が、死んだ夫の秘密を知り、これからは自分も…と一歩踏み出す。
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いろんな人を読んでみようシリーズ。桐野夏生。
ちょっと読み終わらないかと思って必死になって読んだ…
出てくる人たちが自分勝手すぎて
なんだかなぁ……何事も準備って必要だよね。という。
渡る世間は鬼ばかり、ならぬ身勝手ばかりだよ。
最後は「あれ、ここで終わるんだ」って感じでした。 -
不明。桐野夏生は無条件で好きだけど、ちょっと毛色の違った。日常のなかにひそむものをあぶりだすような。でもこの人の書く女性はみんなかっこいい芯があるなあ。
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文庫の(上)は、学校の図書館で借りたものだったから地元の図書館で、すぐ借りることのできたこっちの方を借りました。
結論から言うとね、正直終わり方は、「えっ?ここで終わるの!?」って終わりかただった。
蕎麦の会の帰りに、塚本から「ぷら〜た」に寄稿された文を指して、「これ、あなたが書いたものでしょう」とカフェで伝えられる場面。
そこで「確かにあなたの経験って、小説みたいだもの」「そんなことありません。どこにでもある話じゃないですか。」
窓の外を見ると、濡れた路面が、ネオンを反射して光った。
で終わり。
ネオンの反射って、ふと文庫(上)の最後の文章、野田が勤めていたカプセルホテルを後にして、敏子が振りかえったときホテルのネオンの光が一瞬消えて辺りが
暗くなったこれと相反してる感じがするんだよね。
アマゾンのレビューもちらっと読んだけど、結構終わり方が気になる。続きが知りたかっていう意見も多いけど、私はこういう終わり方も好き。
桐野さんはあえて答えを示さないんだよ。
これからどう生きるかは良くも悪くも、自分で見つけて選択して決めていくもので決して提示されるものではないからーって感じがした。あの終わりかたは。
最後で塚本が指摘する、投稿された記事の雑誌『ぷら〜た』にも、敏子の記事が投稿されていて、それにまだ回答はついていなかったでしょう。
『編集注:この記事に意見・回答などある場合は編集部まで)』みたいにされてたし。あれもあえてでしょ。
あとね、人間くさいの。
蕎麦の会で敏子は自分と隆之(夫)との関係・夫への気持ちを独白してすっきりしたかもしれないけど、きっとこれからも隆之と昭子の関係も含め、隆之のことをふと思い出しては
色んな葛藤があったり、気持ちがぐるぐるしたりすると思うんだよね。
かと思えば、どこかで納得したような爽やかな気持ちで1日を過ごすこともあると思う。
そういう色んな気持ちが波のように、また敏子にくるでしょう。喜怒哀楽が。
頭でわかってても気持ちが整理つかない。
それでも楽しいこともあるし、腹立つこともある。
そういう人間くささを感じさせる終わりかたでもあって、私は好きだな。
50数年も生きてるんだもの。一言で表せる人生でもすべてが白黒ついて理路整然としてる人生でもないしね。
あ〜人間との付き合いって面倒だわ^^;とも思う。それ程この著者の表現が上手い。
あと、敏子の、一度決めたけれどあ〜やっぱりこれでよかったのかしら別の選択も・・と時間が経てばまた同じところをぐるぐるする気持ちもあ〜こういうのあるよね、
って感じだしそこもまた上手い。
ただ、終わりはネオンの光が光っていた。
やっぱり自分次第って、希望は持ちたいよね。エールでもあるよ。 -
新聞連載だけあって、読みやすかった。
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誰もが、誰かに自分の話を聞いてもらいたい。
ずーっと、ずーっと気の済むまで話を聞いて欲しい!
と心の中で叫んでいるのだろう。
でも、そういう都合のいい存在はいないのだ。
みんなそれぞれ人生があり、自分のことで手一杯。
だから人は孤独だ。
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あらすじと、装丁の華々しさのギャップに前から気になっていた本。
爽快な話だと思っていたけれど、ずっと暗くて現実的な内容だった。
敏子さん苦しみぬいてるし…華々しい開花、というよりは、
ゆるやかな蠕動の話。
でも確かに、そこには魂萌え!がある、なぁ。
これから長い時間を一人で過ごさなければならないんだ、
自分のことは自分で決めるんだ、と決意して、
たくさんの煩悶や困難に泣いたり苦しんだりしながら突き当たっていく敏子さんは、
境遇は違えど共感した。
一人で生きていかなくちゃ、って気持ちが同じだったんだ。