- Amazon.co.jp ・本 (189ページ)
- / ISBN・EAN: 9784620107110
感想・レビュー・書評
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主人公はからだが弱く、おっとりやさんの独身アラフォー女性、蕗子さん。
両親とも亡くなり寄る辺ない身の上の、なんとも頼りない彼女だが、
子供の頃からの親友や、会社の同僚は気の置けない優しい人たちで、
何かと彼女を気に掛けてくれる。
そんななぜか放っておけない蕗子さんは、
やはり父親似で、めぐらし屋の仕事はきっと性に合ってるに違いない。
上品な文章で、特に話し言葉が美しく、女性が書いているような印象を受けた。
病弱な蕗子さんの体調の描写が多く、重苦しくなりがちな部分もあるが、
全体で見れば彼女の人の良さが前に出て、のんびりおだやかなお話。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ストーリー自体は大きく動くことはなく、ゆるやかな雰囲気の日常の話。
白昼夢みたいな想像が広がって、どことなく浮遊感がある感じの文章。私も身体が弱いので、不調が日常の主人公に共感。 -
予想より、はるかに話は動きません。
それが、よさとも言えるかもしれませんが。
文章の流れは、趣があって大好きです。 -
好きか嫌いかで言ったら好きな方ではありますが。
作中の気圧が低い(雨だったりどんより曇りな感じと、主人公の低血圧っぷり)ので、元気な時で良かった。
しかしその割にはふんわりした優しい感じ抜けた感じもあって不思議な読後感。
とくにはっきり何か問題や事件があってそれが解決するような話ではないので、もやもやする人はするかな。
まだ1冊しか読んでないけど、脳内の「よしもとばなな・川上弘美・小川洋子」ラインに仮置きしとく。
装幀 / 有山 達也
初出 / 『毎日新聞』日曜版2006年4月2日~9月24日 -
味わい深い文章がいいです。とても。味わい深い、などという月並みな言葉でこの良さを表すこと自体、自分をふがいなく感じるほどに。よどみない、息の長い一文一文が、その長さを感じさせない心地よさをもって沁みいります。
この本に出逢えた幸運に感謝。 -
疎遠になっていた父の遺品整理に訪れたアパート。そこで見つけた「めぐらし屋」と書かれたノート。偶然かかってきた電話を取ると「めぐらし屋」あての依頼だった。父を知る人を訪ね、今まで知らなかった父の一面を知る。特にドラマがある訳ではない。けれど流れるような文章がとても綺麗で温かい。初めて読んだ作家さんですが、もう少し、この文章を楽しんでみたいと思いました。
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女性作家の方が文体が合って読みやすい事が多いのだけど、堀江さんは別。じんわり沁みてくる、静かでいい文章だと思う。
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毎日新聞社。
堀江さんの日本語はうつくしいなあ、まず主人公の蕗子さんという名前がうつくしい。
ただ、おわりがちょっと、尻切れとんぼなのが残念。 -
濡れたハンカチカバンにしまう時どうしてる?
の下りがいやに印象に残った。
そうやってカバンの他のものも濡れちゃったりするんだよね、喩話だけじゃないよとな。
ストーリー的にはなんでもないっちゃないけど所々で言葉使いが素敵。