横道世之介

著者 :
  • 毎日新聞社
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  • Amazon.co.jp ・本 (432ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784620107431

感想・レビュー・書評

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  • 進学のために、上京した横道世之介がその日持っていたのは自分の名前の由来が『好色一代男』ってことと蒲団くらい。

    けれど入学式で初めて言葉を交わした男に巻き込まれて興味もなかったサンバサークルに入ってしまうわ、先輩に紹介された高額自給のバイトで高級娼婦と呼ばれる女性に出会い、心惹かれてジタバタするわ、友人に誘われて教習所に通い、お嬢様な彼女のマイペースにのせられてしまうわ…

    どこかすこんと抜けていて、のらくらした男なのだけれど、出会った人との日々が積み重なっていく。

    そして、いつの間にやらすべてが懐かしく思い出される日々に変わっている。いろんな人の思い出の中ににふっと現れる世之介。なんだかんだで魅力的な男だと思う。
    「そういえば最近会ってないけど元気かな」と今という時間を一気に過去にしてしまう潔い小説。

  • 好きすぎて一言では書けない。
    今まで読んだ本のなかでベスト3に入るくらい特別な一冊。
    それくらいリアルな世界でリアルな世之介を生み出してくれたよっしゅうに感謝感謝。
    なだけに、途中のとある箇所で、もう、くず折れるくらいのショックを受けました。。。
    詠美さんの学問と同じ手法で、私は詠美さんを心からお慕いしているけれど、これについては、こっちのほうが何だかすごい衝撃を受けました。

    好きなものほど冷静に何かを書くことが出来ない。
    とりあえずいつも図書館の私ですが、これはあらためて購入した本です。

  • 『2010年 本屋大賞』第3位受賞作。


    “横道世之介。長崎の港町生まれ。その由来は『好色一代男』と思い切ってはみたものの、限りなく埼玉な東京に住む上京したての18歳。嫌みのない図々しさが人を呼び、呼ばれた人の頼みは断れないお人好し。とりたててなんにもないけれど、なんだかいろいろあったような気がしている「ザ・大学生」。どこにでもいそうで、でもサンバを踊るからなかなかいないかもしれない。なんだか、いい奴。”―内容紹介より。

     四月  桜
     五月  ゴールデンウィーク
     六月  梅雨
     七月  海水浴
     八月  帰省
     九月  新学期
     十月  十九歳
     十一月 学祭
     十二月 クリスマス
     一月  正月
     二月  バレンタインデー
     三月  東京


    『悪人』が面白かったので、吉田修一2作目。だけど『悪人』とは全く違うテイストでした。
    物語は、淡々と(っていうか、のほほんと?)進むんだけど、なんだか先が気になって、4日で読了。

    何の先入観もなく読み始めてみたら、タイトルは主人公のフルネーム。
    横道世之介くんの、大学入学からの1年間が、彼と関わった人々の20年後の姿を織り交ぜながら描かれてます。各章のタイトルも効果あるのかもしれないけど、読んでいて、とても季節を感じました。

    世之介の、フワフワ(というかフラフラ?)した感じが、なぜか好感度高。頼りなさげで、ちょっと間抜けなんだけど、憎めない。
    サンバサークルのメンバーってのも、また気になるポイント。


    『世之介と出会ったか出会わなかったで俺の人生が変わったかというと、なにも変わらないと思う。ただ、青春時代に世之介と出会わなかった人がこの世の中には大勢居るかとおもうと、なぜか自分がとても得をした気になる…』―本文より。


    ちなみにこの物語、新大久保で起きた人身事故(日本人カメラマンと韓国人留学生が線路に落ちた人を助けようとホームから線路に飛び込んだ)から着想を得てるようです。

    とても読みやすい一冊。読後感は良。
    「好色一代男」も読んでみたくなった。

    余談だけど、表紙だけ見ると、どっちが作者でどっちがタイトル?って感じ。

  • 読んだ後にやさしい気持ちになりました。懐かしい小ネタや死語がすこし出てきます。(昭和40年~50年代生まれの人)分かる人ならクスッときます。

  • 80年代に大学時代を東京ですごした人はたまらんだろうなあ。
    フロムAだのスカイメイトだの、小道具もなつかしい。
    庶民的でぼーっとした大学生の世之介がだんだん愛おしくなってきます。祥子ちゃんが楽しい。
    しかし吉田修一って、やっぱり器用だよなあ。こういうちょっと明るいテイストのも書けるんだなあ。あまりに器用なんで、本質的なところがつかみきれないところがあるんだけど・・・。
    展開にうっすら予備知識があったので、「あ、きた」という感じだったのですが、まっさらな気持ちで読むと泣いたかも・・・。

  • 注目している監督さんが映画化するということで読みました。
    私の中の監督さんのイメージと横道世之介の世界は何だか似てる気がしました。ただ、どんな映画になるんだろう?楽しみです。
    この本を読んで忘れかけていた、自分の大学時代を思い出しました。誰もが横道世之介のような知り合いがいるんじゃないかな?人と出会うということは、運命だなって感じます。

  • 読み終えた後、もう一度読み返して
    いろんな確認をしたくなる作品

    どこにそんな話があったか、目次には書かれていないので、
    自力で探すのはなかなか大変だけど、
    確認することで、あーそういうことか、と感じることができた。

    普通の日常が描かれた作品だけど、
    文章の構成ですごく惹きつけられた。

    え?っ思うと、別の場面に行ったり来たり。
    最後は、泣きそうになりました。

  • 何の取り柄もないと思われた世之介が才能を開花させたのに、若くしてその生涯を閉じてしまうという悲しい話だったが、全体のながれはリズミカルで読みやすく、あっという間に読み終わってしまった。
    「人生、なにが起こるかわからない」祥子にしても、倉持にしても、加藤にしても、些細なことの積み重ねが人生を大きく変える、ということを表現しているようだった。人との出会いは大切だな~(笑)

  • 最近読んだ本の中で一番はまった気がする。なんと言い表せばいいのかわからないが、とにかく読み進めてしまう。自分のそばに横道世之介がいたら、と考えただけで何故か微笑んでしまう。決して真面目すぎるわけでも純情でもないのに、何故か汚れていないまっすぐな人間に思える。
    最後はうるっときましたね。

  • 横道世之介という人物像がはっきりわからない。周りの人々については、こんな顔してこんな雰囲気の人なんだろなーって想像できたけど、肝心の世之介についてはぼやけてる。もちろん、彼の挙動や考え方についてはいろいろ記されているんだけど、なんかイメージが湧かない。あーうまく説明できない。もう一回読もう(笑)

    来年(?)映画化されるそうで絶対見る!キャストが気になるなぁ…

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著者プロフィール

1968年長崎県生まれ。法政大学経営学部卒業。1997年『最後の息子』で「文學界新人賞」を受賞し、デビュー。2002年『パーク・ライフ』で「芥川賞」を受賞。07年『悪人』で「毎日出版文化賞」、10年『横道世之介』で「柴田錬三郎」、19年『国宝』で「芸術選奨文部科学大臣賞」「中央公論文芸賞」を受賞する。その他著書に、『パレード』『悪人』『さよなら渓谷』『路』『怒り』『森は知っている』『太陽は動かない』『湖の女たち』等がある。

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