ひそやかな花園

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著者 : 角田光代
  • 毎日新聞社 (2010年7月24日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (296ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784620107561

ひそやかな花園の感想・レビュー・書評

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  • すごいミステリーな感じで始まり読む手が止まらず。
    でも途中で謎がわかってくると少し違和感があった。

    男性に原因があって子供ができない場合、精子バンクを使う事が果たしていいのか?
    私は女なので男の気持ちはわからないけども本能というか男という性質上、他人の遺伝子で子供を作ると言う事が男にとっての苦痛なのではないかと思ってしまう。
    子供連れの再婚とかとはまた感覚が別で愛する人が今、他人の精子で子供を産むと言う事を果たして心は受け入れるのかと思ってしまった。
    世の中には受け入れれる人もいるんだろうけど、私が男だったら無理かもしれないな。
    それならいっそ、まったく無関係の子供を引き取って育てる方がずっと心の負担がない気がする。
    その立場にならないとわからないし、私は女だから絶対に理解できないんだけどね。
    ただ子供が欲しいと願う女性の気持ちは痛いほどわかる。
    そんな事を考えながら子供たちのいろいろな気持ちにも共感しつつ読んだ。

  • 一歩踏み出すこと。
    そしてその結果を引き受け、乗り越えてゆくことの大切さ。
    そんなメッセージが込められた本です。

  • 非配偶者間人工授精(AID)で生まれた子どもたちと、生んだ親たちのアイデンティティの物語。恐らくメインテーマは家族の在り方だけれど、私には以下のように響いた。

    AIDで生まれたという特別な環境の子どもを描写しているけれど、そこに描かれる心情はどんな生まれ育ちの人でも同じく持つものだと感じた。自分を空っぽに思う気持ちや、相手との不幸比べを心の中で繰り広げ安堵を探す気持ち、人と違って何かが自分には欠如しているのかと疑う気持ち…ネガティブな気持ちを彼らは特別な出自のせいにする。でもそれは違うと、同じく特別な出自の旧友の存在や発言から気づかされる。
    読者も同じく気づかされる。ネガティブな気持ちを何かのせいにして、身動きが取れなくなっている自分に。AIDを主題としながらも、人間に共通した心の弱さを学ぶことに重きを置くべき作品。

    これを効果的にしているのは、章毎にクローズアップする登場人物を変え、多角的な視野で読者に物語を見せている点だけではなく、その登場人物たちを自分を律している人とそうでない人に、明確に分けている点だろう。それぞれの登場人物みんなに陰と陽が内包されているのではなく、波留は陽寄り、紗有美は陰寄りといったように、人物に役割がある。読者は自分の中の紗有美的な部分を直視させられ、波留の歌に救われる。

    重たいテーマに加え、僻みや意地悪な心も見えどっしりとしているが、ラストは救いに向かって進み、温かみも感じる気持ちの良い作品です。

  • 年に一度、いくつかのファミリーが集まって過ごした幼い頃の記憶をたどり、当時子どもだった男女が集まって、自分たちの出生の謎を解いていく。それは、配偶者との子どもに恵まれず、他人の精子で子どもを産んだ夫婦たちの集まりだった…。
    というストーリー展開そのものよりも、非常にナーバスな問題について考えさせられるところが大きかった。

    日本では違法であることを承知の上で、血のつながった子どもを切望する夫婦の気持ちは、よくわかる。子どもを持つことは、何物にも代えがたいものだと実感しているから。
    でも、それは単に自分の子を持つということ以外に、将来的に深刻な問題が潜んでいる可能性のあることを、夫婦はどこまで理解し覚悟しているのか。
    自分の卵子で妊娠出産を経る母親と、子どもが成長するにつれ、自分の遺伝子をまったく受け継いでいないことを突きつけられる父親と。その精神的なギャップは年々拡大していき、やがて夫婦の関係は崩壊し、子どもへの虐待にまで及ぶ。
    また、最初のうちは正義感に溢れ、人助けの精神を貫いていた医師が、徐々にずさんな形で精子の提供を受け入れていくようになったら。例えば遺伝的な病気や、知らないところでの血のつながりなど、生まれてきた子どもにとっては、取り返しのつかない大きな問題を抱え込むことになる。
    そして、医学的な父親が誰だかわからないことを知った、子どもの気持ちは。

    小説のなかでは、考えうるトラブルをさまざまな角度から提示している。自分たちで選択したものの、腹をくくり切れず、がたがたと崩れていく親たちの姿を見ていると、結局は無い物ねだりをお金で解決した結果なのかとも思えてくる。
    現実として、子を持てないことを悩み苦しむ夫婦も少なくない今日、安易に善し悪しを言うのではなく、難しい問題として考えさせられた一冊だった。

  • 読み終わって、今はちょっと複雑な心境。

    出生の秘密は、親が引き受けた以上、子に伝えるべきなのか、そこにとっても引っかかってしまった感じ。
    今回のような、非配偶者間の人工授精での出産は、親が決めたこと。
    子には、それを選ぶことはできなかったわけで、最後まで、普通に授かった子であったように育てていくことを選ぶ方が良かったのでは、と思ってしまいました。
    また、夏のキャンプも、同じ境遇の親が、悩みを打ち明けられる仲間を持ちたい、と言う気持ちも分からなくもないが、子の立場に立てば、そこも含めて、覚悟を決めるべきで、行うべきではなかったのではないか、とも思ってしまいました。

    遺伝的要因のある病気を持ってしまった波留についても、その必要があったと言えばそうかもしれないが、知ったところで、それを受け入れられるのか、とも思ったり。

    血のつながった子たちが、それと知らずに出会い、恋愛に至ってしまうことがあるかもしれないという怖さ、後半になって、自分の考えになかった可能性をも知り、私個人としては、非配偶者間の人工授精には、否定的な考えに至りました。

    子供を普通に授かり、また、普通に親に育てられた経験しか持たない私には、分かりえない、難しい問題なのだと思います。
    偉そうに語るべきではないですが、自分の記録として残しておきます。

    登場人物の心情は、さすが角田光代さん、手に取るようにわかり、何度か、感情移入してしまうこともありました。

    前向きな形での終わり方に、救われた気持ちにはなりました。

  • 読んだあと、あまりいい気持ちにはなりませんでした。

  •  はじめのうち、短い間隔で軸の人物が変わるので、ペースに慣れるのに時間がかかったけど、とても面白く読めました。子どもを産むということについて考えさせられるおはなしなので、子どもが欲しいとか、妊娠中等…そんな時期を迎えている女性に読んでもらいたい! いつか自分の子どもにも、結婚・出産を考えた時に読んでもらいたいな〜。
     図書館で借りて読んだ本だけど、やっぱり自分でも買いたいと思いまあす!

  • 人工授精の話。結構早い段階でネタバレし、大きな展開もなく、登場人物の感情描写が細かに描かれるタイプなので、ちょっと飽きてしまって読むのがしんどかったです。登場人物に共感できれば面白く読めたのかもしれませんが、なんとなく登場人物全員が主観的というか、自分本位な印象をうけてしまい、入り込めませんでした。うまくまとまったように見えてスタート地点からあまり動いてない感じのラストで微妙な読後感でした。テーマに共感できなかっただけかもしれませんが。。元気のないときには遠慮したい作家さんかもしれません。

  • 生まれてきた経緯や家族のせいではなく、この世に生まれてきた以上、自分で扉を開いていかなければ何も始まらないのだと教えてくれる一冊。

  • まあ面白かった。この人の話は読みやすい。最後、救いのある終わりかたをしたのでよかった。一番ネガティブだったさゆみが、最後に「父」にあててかいた手紙、弾の結婚式ではるが歌ったのが素晴らしかった、こういうことを感じられたのは、自分が生まれてきたおかげだ、と書いていた。昔子どものときにキャンプで同じだった子どもたちが大人になって集い、どういう集まりだったのかを探っていく中で傷つき、そしてそこから一皮むけて前向きになっていく、みたいな話で、ちょっと感動した、一応。

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ひそやかな花園の作品紹介

親と子、夫婦、家族でいることの意味を根源から問いかける。『八日目の蝉』から三年。衝撃と感動に震える、角田光代の最高傑作誕生。

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