葦舟、飛んだ

著者 :
  • 毎日新聞社
3.08
  • (1)
  • (3)
  • (5)
  • (2)
  • (1)
本棚登録 : 42
感想 : 6
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (456ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784620107622

作品紹介・あらすじ

夏のある日。道子がスズメバチに刺されて亡くなった。その死をきっかけに、幼なじみの雪彦、達夫、笑子、昭子、理恵は、約五十年ぶりにつき合いを再開する。ともに小学校時代の謎を探ろうと、「報告ごっこ」をするうちに、戦争時代の暗い影が浮かび上がる。あの優しかったヒロシくんはどこから来てどこに行ってしまったのか。道子がその存在を秘密にしていたロシア人、サーシャ氏の正体は?大連、シベリア、ニューヨーク。物語は国境を越え、時を越え、人類の闇に放たれる。そして最後に見えるものは…。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • すごく遠回りをして、作家が伝えたいことを聞いたような感じだ。もどかしかった。津島さんは、上坪隆著の「水子の譜〜ドキュメント引揚げ孤児と女たち」に触発されてこの小説を書いたということで、とどのつまりはこの本を紹介したかったのだろう。だから、僕は買いましたよ、この本。このテーマの本もいくつか読んでいて、とても興味ある内容だから。はい。

  • 「報告」部分が長くてストーリーがぼやけた
    他人に家族のことを口出しされるのはいやだ

  • ボストンでの爆弾テロのニュースをきいてアメリカが常に戦争状態の中にいる事を再確認させられた。この本は登場人物乃ほとんどが語り部となる面白い手法であるとともに、最初の主な登場人物が第二次世界大戦直後の東京で小学校に通っていた同窓生で、その仲間の一人が急死したときに集まって話しだした戦後の状況にかんしての会話がきっかけとなり自分たちがいかに疎開の事、満州の事、シベリアの事(シベリアは当初はいまほど広い地域ではなく戦争を機に中国との関係もあり海まで拡大されたこと、当時ロシアはアラスカまで領土にしており、財政難からアメリカに売却した事など)いかに自分たちが無知であったかに気付き、おのおのがいろいろ調べ進める事となる。僕もいかに歴史に疎いかに気付かされ恥ずかしくなった。また戦後に被害にあった女性の話も身につまされるもので
    戦争の被害の表面に出ない部分をより多くの人が知る必要も感じた。平和ぼけの日本人(僕も含め)はもう少し戦争の事を知るべきかと。書評を読み買った本だが、大当たりでした。一読の価値あり。

  • 妻であったり友人であったりする道子がスズメバチに刺されて急死。その後集まった同級生が道子さんの秘密を探すという名目でメールしたり集まったり。だいたいは満州からの引き上げをテーマにした反戦もの。
    でもこれだけではつまらなかったと思うが、哲君とクロの一コマなどがいい。

  • 少し冗長に感じられて、途中でどうしても読みすすめなくなってしまった。
    同級生の死をきっかけに、自分たちの小学校の謎、戦争、満州、そういったキーワードで物語が進むのだけれど、どうしてもそのきっかけが弱く感じられて、ストーリーに乗り切れなかった気がする。

    コンディションが変わってから読めば、面白く読めるのかもしれないけれど。

  • 最後の最後が良かったので☆3つになったが、そうじゃなかったら2つの所。

    まず構成が好きになれなかった。一人一人の『報告』という形が鬱陶しくて。自然を装った各メールの文体も痛く感じた。だいたい、何を何の為に報告しているのかも分からなかったし、自衛隊への反感や反戦などのメッセージも所々盛り込まれているのも気に入らなかった。登場人物が多い割には人物描写がはっきりしないので、誰が誰なのかもわからなくなるし、感情移入もできず。

    良かったのは、最後の笑子のお父さんの幻想。なんだかとても美しかったし、だんだんと昇華していく高揚感が良かった。生まれずに亡くなった子供達が宇宙から見ているという空想と描写は小説家ならではだと思ったし、それを読んだ上で表紙絵を見るとなんとも子供を慈しむ気持ちになった。

    全体的に、とても期待して読んだものだっただけに残念。「寵児」とは全く異なる雰囲気で、この作家が歩んだ年月を感じた。

全6件中 1 - 6件を表示

著者プロフィール

津島 佑子(つしま・ゆうこ) 1947年、東京都生まれ。白百合女子大学卒業。78年「寵児」で第17回女流文学賞、83年「黙市」で第10回川端康成文学賞、87年『夜の光に追われて』で第38回読売文学賞、98年『火の山―山猿記』で第34回谷崎潤一郎賞、第51回野間文芸賞、2005年『ナラ・レポート』で第55回芸術選奨文部科学大臣賞、第15回紫式部文学賞、12年『黄金の夢の歌』で第53回毎日芸術賞を受賞。2016年2月18日、逝去。

「2018年 『笑いオオカミ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

津島佑子の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×