三十光年の星たち (下)

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著者 : 宮本輝
  • 毎日新聞社 (2011年3月12日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (296ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784620107684

三十光年の星たち (下)の感想・レビュー・書評

  • 真っ直ぐなこと。それをやり続け守り続け邁進していくこと。
    師と仰げる方に出逢えるのだろうか、独りよがりにならずに、叱られ続け、働き続けることが出来るのだろうか。三十年。自分は何を磨いていくのだろう。私には、見えないものを見ようとする努力が出来るだろうか。

    世の中のありとあらゆる分野において、勝負を決するのは、人間としての深さ、強さ、大きさだ。鍛えられた本物の人物になるには三十年かかる。―略―これから先、三十年のあいだ、そのつどそのつど、悩んだり苦しんだり、師匠を疑って反発したり、ときには恨んだりもするだろう。そしてそのつど、なぜだろうと考えつづけるだろう。そうやって考えつづけて、あるときふっと、ああそうなのかと自分で気づいたこと以外は何の役にもたたないのだ。

    「なぁ、仁志、三人の息子のなかで、仁志がいちばん親孝行だって、お父さんに思ってもらえるようになるんだぞ」
    物語の終盤で、佐伯さんが言った言葉。愛情をとてもとても感じました。

    私には、何もまだまだ分からないし、むしろ分かるわけがないのだろう。だから、毎日、ただ真っ直ぐに真っ直ぐに、積み上げて生き続けなければならないのかもしれない。とにかくとりあえず三十年。

  • 毎日新聞社の朝刊連載小説。
    こんな話を毎朝読んで出社したい!

  • 宮本輝氏の世界観炸裂の作品。
    好きだなー、こういう雰囲気。京都の陶磁器や染色、焼き物などいろんな職人の世界を中心に、一人の青年が師匠から代々受け継がれてきた使命を悟り、不器用ながらも様々な人に支えながら必死に生きていく。
    私も意義とか動機とかゴチャゴチャ考えずに、働いて働いて働きぬいてみようかな。
    2016/10

  • 宮本輝がこの作品で語りたいことはわかった。
    「30年後を見据えてがむしゃらに仕事に勤しめ」
    これは宮本輝自身が後書きでも書いている。

    主人公が今の自分と同年代であることから、
    少しは自己投影して読むことが出来たが、
    ストーリー自体は???なことばかり。

    個人で金貸し業を営み、事業を始めたい女性限定に金を貸す佐伯という男から、あるとき後継者に任命されてしまう主人公の仁志。(←この設定からしてついていけない)

    しかも、しまいには、佐伯の顧客のかつての事業を引き継ぎレストランの店長をやることになり、パスタのソース作りに励むことになる…謎、、、

    最後らへんはやっつけで書いたとしか思えない低クオリティな小説

  • 何の仕事をやっても長続きしない主人公・仁志が、若い頃に妻と2歳の子供を亡くした近所の老人・佐伯平蔵からお金を借りたものの、事業のパートナーが逃げ出した為に事業に失敗。
    そのお金を返すべく、仁志は佐伯の元で働く。

    10年でやっと階段の前に立てるんだ。
    20年でその階段の三分の一のところまで登れる。30年で階段を登りきる。そして、登りきったところから、お前の人生の本当の勝負が始まるんだ。その本当の勝負のための、これからの30年なんだ。そのことを忘れるんじゃない。(佐伯平蔵から仁志に向けて)

    物を見る目というのは、人間を見る目でもある。優れた物の価値を解せない人は、他者をも粗末にするようになっていくのだ。

    驢馬な旅に出ても馬に帰ってくるわけではない。か。まったくとってそのとおりだ。風采のあがらない驢馬のもくもくとくじけない力は、いつか険しい山野を踏破するだろうをどんな人間もなめてはいけないのだ。(仁志)

  • 何かまた読みたい

  • 2014.08.30

    佐伯老人の正体もわかり、仁志はなぜかレストランを経営しすることに。

    ひとつのことを30年間頑張ることが大事というメッセージはわかるけど、その大事なことをあんな風に他人に決められていいのか?という疑問が残った。

  • 面白かったんですが、少し期待し過ぎていました。

  • 宮本輝さんの本を読むたびいつも襟を正して生きなきゃと思わせられるのに、すぐ忘れてダラダラと考えなしに過ごしてしまう私。定期的に宮本輝さんの本を読まなければ。

  • 女性のために事業を興すための資金を無利息、無担保で貸すという事業を引き継いだ仁志。
    そして佐伯がかつて金を貸して成功した月子の「ツッキッコ」というスパゲティ専門店を再開し自分の給料を稼ぐことに。

    月子の秘伝のソースをマスターし、事業の準備を進めるために昼夜を問わず奔走する仁志。

    本気で取り組んだという証を残すために。
    三十年後、その姿を見てもらうために。

  •  いい話だった。30年後の自分を見てくれと思いながら生きるには、目先のことに惑わされず、毎日を積み重ねていくしかない。叱られて

  • 非常に良かった。
    佐伯をはじめとする年配者の言葉の一つ一つに重みがある。
    主人公の仁志は、これまでに職を転々とし、父親から勘当されるなど
    ダメな人間のように見えるが、料理が上手かったり、落語を覚えていたり、
    見よう見まねの灸の技術があったり、実はとても才能にあふれているのでは。これから父親とも良い関係になっていけそうなのが嬉しい。
    とても感動し、心を打たれる作品だと思うが、本当に残念なのが、
    お金を貸した相手を訪ねて話す仕事を、きちんと最後まで描いて欲しかった。
    途中で「ツッキッコ」の仕事がメインになってしまって、最後の一件が気になってたまらない。

    自分自身は、懸命に三十年も努力し続けてきたことなど、振り返ると一つもない。
    ただ、自分の行動が何十年後の何かに繋がっていく可能性はあると思う。
    子供達を精一杯育てること、植物に水をやり花咲かせること、小さく思えることにも意味があるのかもしれない。

  • 最近の宮本作品にしては、無駄な挿入話がなかったから、比較的読みごたえがあった。
    しかし、これも最近の傾向として見られがちな上巻の内容と下巻の内容が、本当に同じ話?と言いたくなるような展開は相変わらず。
    そのため、どちらの内容も中途半端に終わるという消化不良感が残る。
    金貸しの話などは、なかなか面白かったので、書ききってほしかった。
    だって、読んでて、基金とこんな手間のかかる店の両立なんて不可能でしょ、って言いたくなってしまう。

  • 三十年後の自分がどんな姿なのか、楽しみに出来るように、まずは今から始めなければと考えさせられる。
    宮本輝ワールドらしい終わり方で、明るい未来が見えているが、最後の一番難しそうな融資相手に対し意気込みだけで終わってしまったのが残念。
    ツッキッコのスパゲッティと仁志のポトフ、佐伯氏のオムレツ、ぜひ食べてみたい。

  • 頑張っている人に、無利息、無期限、無担保でお金を貸す佐伯老人。
    主人公の仁志はその事業を継ぐことを決心する。
    さらに佐伯さんの知人女性より、伝説のスパゲッティ専門店「ツッキッコ」のソースの作り方を習い、店を引き継ぐことも決心する。

    以前知人が「最近の宮本輝さんの本はきれい事だ」と言うのを聞いて、確かにそうかもしれないな・・・と思いました。
    だけど、この世の中には、
    佐伯老人のような人がいると思いたい。
    そして奇跡のような確率でも、そういう人と出会う事もあるのだと思いたい。
    自身で何らかの行動を起こすことによって-。
    例えきれい事でも、今のような世の中にはこの本のような希望を感じるお話が必要だと思います。
    作者のあとがき
    『人間には何らかの支えが必要だ。とりわけ若い人は、有形無形の支えを得て、難破船とならずに嵐をくぐり抜ける時期が必ずある。だが、いまのこのけちくさい世の中は、若者という苗木に対してあまりにも冷淡で、わずかな添え木すら惜しんでいるかに見える。私は「三十光年の星たち」で、その苗木と添え木を書いたつもりである。』
    しっかりとこの作者の思いは伝わり、受けとめました。
    読んでいる途中も思いましたが、この本の表紙が本当に素敵です。

  • 職を失い、恋人に捨てられた三十才の男が主人公。
    京都を路地裏を舞台に、それぞれの世界で懸命に生きる人たちとの交流を通じ、成長していく物語。
    三十年後の自分に、励まされているような気持ちになりました。
    本題からは外れますが、「安ければいいという風潮が生活哲学となることで、失われていくものがある」とのメッセージも心に残りました。

  • スピード感や結果が求められる時代ではあるが、小説を読むにつれ、長い年月がもたらす恵みや豊かさの大切さを感じた。
    かつて著者は「大人とは?」との問いに対し、『草原の椅子』のあとがきにおいて、次のように述べている。
    「幾多の経験を積み、人を許すことができ、言ってはならないことは決して口にせず、人間の振る舞いを知悉していて、品性とユーモアお忍耐力を持つ偉大な楽天家」であると。
    佐伯老人は著者のいう「大人」の体現者であり、仁志が彼に認められ、師弟ともいうべき関係を結べたのは、これから大きな糧になると思う。久々に心がじんわりと温かくなるお話を読んだ。

  • 読んでいて心がほんわかと暖かくなる話でした。時間を超えた人と人との繋がりに感動。

  • ひとりの名もない頼りない、たいした学歴もない青年が、三十年後をめざして、手探りでもがきながら、懸命に自分の人生を作り始める物語。
    (あとがきより)

  • 自分を磨くには、働いて働いて働きぬく。か、自分の師と仰ぐ人に叱られて怒られて、これでもかというまで叱られること。

    これからどういう生き方をするかで、これからの自分の30年後が決まる。

    哲学書のような。ある意味、私の人生の指南書になりそうです。

  • 最後主人公にとって、あまりにも出来すぎ感もあるが、読後感としてはよかった。

  •  自分のこれまでの生き方に対する多少の後悔と、未来へのかすかな望みを見いだして、大満足のすがすがしさを味わいました。
     一生こういった物語を読むだけで終わりそうで不安でもありますが、自分なりの努力ではなく、脇目もふらない努力をしていこうと、自分で自分を励ましていく力をもらえるのです。
     そして、自分が少しずつ変わっていくのもわかります。

  • 資料ID:21100841
    請求記号:

  • 要約してしまうと、説教くさい.
    でも、説教くさく感じさせないところが宮本輝クオリティ.
    主人公と一緒にうだうだと悩んでみたり、やるときはやらねば!と奮起してみたり、最後には、人間やるときはやらねば!と気合が入る上下2冊.

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三十光年の星たち (下)の作品紹介

「三十年間を、きみはただまっしぐらに歩き通せるか」ひと筋の光を求め、いくつもの人生が織りなす挫折と輝きの物語。世代を超えて響き合う魂。気高き文学の最高傑作。

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