三十光年の星たち (下)

著者 :
  • 毎日新聞社
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  • Amazon.co.jp ・本 (296ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784620107684

感想・レビュー・書評

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  • 頑張っている人に、無利息、無期限、無担保でお金を貸す佐伯老人。
    主人公の仁志はその事業を継ぐことを決心する。
    さらに佐伯さんの知人女性より、伝説のスパゲッティ専門店「ツッキッコ」のソースの作り方を習い、店を引き継ぐことも決心する。

    以前知人が「最近の宮本輝さんの本はきれい事だ」と言うのを聞いて、確かにそうかもしれないな・・・と思いました。
    だけど、この世の中には、
    佐伯老人のような人がいると思いたい。
    そして奇跡のような確率でも、そういう人と出会う事もあるのだと思いたい。
    自身で何らかの行動を起こすことによって-。
    例えきれい事でも、今のような世の中にはこの本のような希望を感じるお話が必要だと思います。
    作者のあとがき
    『人間には何らかの支えが必要だ。とりわけ若い人は、有形無形の支えを得て、難破船とならずに嵐をくぐり抜ける時期が必ずある。だが、いまのこのけちくさい世の中は、若者という苗木に対してあまりにも冷淡で、わずかな添え木すら惜しんでいるかに見える。私は「三十光年の星たち」で、その苗木と添え木を書いたつもりである。』
    しっかりとこの作者の思いは伝わり、受けとめました。
    読んでいる途中も思いましたが、この本の表紙が本当に素敵です。

  • 職を失い、恋人に捨てられた三十才の男が主人公。
    京都を路地裏を舞台に、それぞれの世界で懸命に生きる人たちとの交流を通じ、成長していく物語。
    三十年後の自分に、励まされているような気持ちになりました。
    本題からは外れますが、「安ければいいという風潮が生活哲学となることで、失われていくものがある」とのメッセージも心に残りました。

  • スピード感や結果が求められる時代ではあるが、小説を読むにつれ、長い年月がもたらす恵みや豊かさの大切さを感じた。
    かつて著者は「大人とは?」との問いに対し、『草原の椅子』のあとがきにおいて、次のように述べている。
    「幾多の経験を積み、人を許すことができ、言ってはならないことは決して口にせず、人間の振る舞いを知悉していて、品性とユーモアお忍耐力を持つ偉大な楽天家」であると。
    佐伯老人は著者のいう「大人」の体現者であり、仁志が彼に認められ、師弟ともいうべき関係を結べたのは、これから大きな糧になると思う。久々に心がじんわりと温かくなるお話を読んだ。

  • 読んでいて心がほんわかと暖かくなる話でした。時間を超えた人と人との繋がりに感動。

  • ひとりの名もない頼りない、たいした学歴もない青年が、三十年後をめざして、手探りでもがきながら、懸命に自分の人生を作り始める物語。
    (あとがきより)

  • 自分を磨くには、働いて働いて働きぬく。か、自分の師と仰ぐ人に叱られて怒られて、これでもかというまで叱られること。

    これからどういう生き方をするかで、これからの自分の30年後が決まる。

    哲学書のような。ある意味、私の人生の指南書になりそうです。

  • 最後主人公にとって、あまりにも出来すぎ感もあるが、読後感としてはよかった。

  •  自分のこれまでの生き方に対する多少の後悔と、未来へのかすかな望みを見いだして、大満足のすがすがしさを味わいました。
     一生こういった物語を読むだけで終わりそうで不安でもありますが、自分なりの努力ではなく、脇目もふらない努力をしていこうと、自分で自分を励ましていく力をもらえるのです。
     そして、自分が少しずつ変わっていくのもわかります。

  • 資料ID:21100841
    請求記号:

  • 要約してしまうと、説教くさい.
    でも、説教くさく感じさせないところが宮本輝クオリティ.
    主人公と一緒にうだうだと悩んでみたり、やるときはやらねば!と奮起してみたり、最後には、人間やるときはやらねば!と気合が入る上下2冊.

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著者プロフィール

1947年兵庫生まれ。追手門学院大学文学部卒。「泥の河」で第13回太宰治賞を受賞し、デビュー。「蛍川」で第78回芥川龍之介賞、「優俊」で吉川英治文学賞を、歴代最年少で受賞する。以後「花の降る午後」「草原の椅子」など、数々の作品を執筆する傍ら、芥川賞の選考委員も務める。2000年には紫綬勲章を受章。

「2018年 『螢川』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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