笹の舟で海をわたる

著者 :
  • 毎日新聞社
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感想 : 211
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  • Amazon.co.jp ・本 (408ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784620108070

感想・レビュー・書評

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  • 角田さんらしい・・・今度はこう来ましたか、という感じ。

  • 泥の船じゃないだけ、、、

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    「疎開先が一緒だった縁で義姉妹になった主婦の左織と料理家の風美子。人生が思い通りに進まないのはこの女のせい? 著者が挑む、戦後昭和を生き抜いた女たちの物語。 」

  • 桃山学院大学附属図書館蔵書検索OPACへ↓
    https://indus.andrew.ac.jp/opac/volume/1113427

  • 戦前から戦後の日本を生きた左織が、結婚して子育てをして歳をとっていく時の流れや、その中でどんどん変わる日本に恐怖を覚える様子が生身の人間並みにリアルだった。他人の人生にどっぷり浸かれる醍醐味のある小説であった。
    左織の、卑屈なところや自分の意志で人生を謳歌しようとしないところが、もどかしくもあり個人的にも百々子と同じ側の気持ちになってしまう…。

    小説の結末では、風美子と左織の繋がりの始まりで終わるところがとても好き。

  • 戦後から平成の左織の人生を左織の目線から淡々と語られていく
    派手な事件は起こらないが、時代背景がわかりやすかった
    平成に生まれた私から見ると、疎開先、戦後、白黒のテレビなどの単語はずっと昔のことのように感じられるが、一人の女性の人生を通して見ることで、幼い頃の疎開先での出来事から戦後、経済成長、昭和天皇崩御、そして平成へと繋がっていることが実感できた。戦争も決して遠い昔のことではないのだと感じた

    自分をいじめた子はその天罰を受けたのか?

    意地悪な人は、悪いことをした人はその後罰を受けるのか、それとも罰なんか受けずに平然と幸せに生きるのか、
    私自身がずっと考えていたことの答えを左織と風美子が教えてくれた気がしました

    ずっと左織目線で物語が進むので、風美子については謎に感じる点も多く、風美子目線の話がもしもあったら読みたいと思いました

    強くて明るい風美子はかっこいいし憧れます
    でも外国に行ったとき、周りの人たちのように楽しめず、「この国と戦ったんだ、、」と考えてしまう左織も私は好きです

  • 冒頭部分は読んだ記憶がある…って何度も図書館で借りて、やっと今回読み切れた!笑
    左織の人生を振り返っていく形のお話。
    風美子みたいに、ガッツやものすごいパワーのある人が近くにいると、吸い取られるような、勝手に劣等感を覚えてしまうような感じは、なんかわかる気がする。。。
    最後は自分で決めて、一歩動けたから、いいことなのかな。
    百々子との関係は、よくある話なんじゃね?と思ってしまうんだけど、ほどよい距離でいい関係で過ごして欲しいなーと思う。

  • 疎開先が一緒だったと話す風美子が二十二歳の左織のまえに現れた。左織は風美子のことを思い出せなかったが、ふたりは親密になり、左織の結婚相手の弟と風美子は結婚した。

    料理研究家になった風美子は華々しい人生を送っていく。
    主婦の左織は娘に嫌われて、息子の性指向を受け入れることができず、夫に先立たれ、自分の人生とはいったい何だったのかと考える。風美子に生かされてきたような人生。主役が風美子で、彼女を引き立たせる脇役のような自分。
    娘と息子の母親は風美子のようだと左織は思ってしまう。

    ---------------------------------------

    高校生の娘の部屋に入り、日記や手紙を読み漁る左織。
    京都へ進学した息子の部屋まで勝手に行き、息子が男性を好むことに気づき、勝手に嘆く左織。
    小説を書いていた夫に恥ずかしくないのかと言い放つ左織。
    40年もの間、風美子に疑念を持ち続けていた左織。

    この人の人生はなんだったのだろう。
    「力もないのに何者かになろうとあがくのはみっともない」と左織の夫、温彦は言ったけど、それは本心だったのだろうか。左織が言ってほしいと思っていることを温彦は言ったんじゃないだろうか。

    自分の家族が積極的に行動することを嫌がり、自分自身も行動せず、奔放に行動し続ける風美子をぼんやりと眺め続けた左織が、ひとりになって手に入れたものは何かあるのだろうか。

  • 若い頃ならこの作品、最後まで読みきれなかったと思います。女性の一生、時代や価値観が目まぐるしく変わっていくなかで根本の心根は変わらない、だけど変わった方がいいこともあると痛感しながら読み進めました。

  • 自分を正当化してしまう、無意識のうちに他人を妬んでそのことに戸惑うなど、場面ごとの繊細な心理描写に引き込まれた。
    章を追うごとに過去の出来事が詳細に描かれていく流れがあり、続きが気になって読み進めてしまったが、それだけでなく主人公から見た「風美子」の印象がコロコロと変わっていくのが良い意味で特徴的だった。
    勧善懲悪的な復讐物語をどう思うかという議論が随所にあり、善悪の価値観(多様性の観点も含めて)、幸せとは何かということについて考えさせられた。
    「現在」の時間軸で描かれている出来事はかなり少ないが、最終的にはその中に、思い出したくない過去やコンプレックスと向き合った上での主人公の決断を見てとれて、壮絶な読後感を覚えた。

  • 前に読んだ作者の作品が良かった記憶があって作者ありきで読んだ作品。
    戦時中に疎開先で一緒だった、左織と風美子の話。左織の目線で描かれており、過去の辛いことは忘れていた左織に、偶然を装い風美子が近づき、仲良くなり義理の姉妹にまだなる話。終始左織がネガティヴで何もかも疑うのに結局何もせず考えないフリをするのが嫌になる。左織のもしかしたらそうかもという疑念のみで結局真相はうやむやでネガティヴ女の妄想を読んでいるようで中盤は少し読み飛ばしながらでした。。。
    辛い目にあったり心揺さぶられるほど嬉しいことをされた方は覚えているし、それを復讐や恩返しにするかはその人次第。風美子は過去を糧にできるほど強い心を持っているから成功したけど、左織は同じ状況にあっても多分過去を恨むのみだと思う。風美子に出会い考える力をつけたことは左織にとって良かったことだと思うがそれがこんなにも時間をかけるなんて。。何がしたいか考えられない人は人生を楽しめるのか?と問われているような気がした。

    見返してみたら、なくしたものたちの国はよかったが対岸の彼女も終始淡々とした作品で好みではなかったので、この暗めの淡々さが苦手と再認識しました。

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著者プロフィール

1967年神奈川県生まれ。早稲田大学第一文学部文芸科卒業。90年『幸福な遊戯』で「海燕新人文学賞」を受賞し、デビュー。96年『まどろむ夜のUFO』で、「野間文芸新人賞」、2003年『空中庭園』で「婦人公論文芸賞」、05年『対岸の彼女』で「直木賞」、07年『八日目の蝉』で「中央公論文芸賞」、11年『ツリーハウス』で「伊藤整文学賞」、12年『かなたの子』で「泉鏡花文学賞」、『紙の月』で「柴田錬三郎賞」、14年『私のなかの彼女』で「河合隼雄物語賞」、21年『源氏物語』の完全新訳で「読売文学賞」を受賞する。他の著書に、『月と雷』『坂の途中の家』『銀の夜』『タラント』、エッセイ集『世界は終わりそうにない』『月夜の散歩』等がある。

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