炎と苗木 田中慎弥の掌劇場

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著者 : 田中慎弥
  • 毎日新聞出版 (2016年5月17日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (144ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784620108209

炎と苗木 田中慎弥の掌劇場の感想・レビュー・書評

  • 一向に電子版も文庫版も出ないので、珍しく単行本を購入。自分が今そうしている作家はこの一人だろうか。

    この人の短編はとても面白い。名手といわれる人でも、違う味付けでショートショートを毎回出していくのは難しいと思う。
    一品が短い中で、政治のトピックからSF調のもの、物語の起伏がそうあるわけではないものまで、各種楽しめる。
    今回は同連載を集めた前作『田中慎弥の掌劇場』より、死をテーマにした作品が多く、作家自身の自殺未遂を基にしたと思われる(ラジオ番組でそのことを公表もしていた)作品が複数含まれている。全編カタカナの「神の声」はそれだけ読めばちょっとやりすぎの感があり、死の理由もこじつけのように思えはするのだが、「体験」などを通した後で読むと一定の味わいがある。自分が読んだときはこの「体験」が一番おそろしかった。
    「赤い女」など、官能性と社会性の訴えるものも健在。「国防の夜」もいい。田中慎弥の政治観は、こういう漠とした大きなものと個人や家庭をつなぐ視点に魅力があると思う。

    もう短編には当分着手しないのかなと思うとかなり残念。長編の合間にでも、何か出してほしい。

  • 毎日新聞に連載されていた、田中慎弥さんの超短編集第二弾。前作からさらに手慣れた感じで、形が出来上がっているようだ。この人の作品は好きなんだが、最近はだんだんやたらと左翼的になって来ているのが残念。左に振っておけば一定の支持者は着くだろうし、毎日新聞のウケもいいだろうけど…。新聞連載はこれでやめたらしいので、また内面を見つめた小説を書いて欲しい。

  • 首相が記者会見で明らかに右側に傾いてきている。体調の何らかの変化なのか癖なのか。ついには国会審議の中で野党からも右に傾いている姿勢について、国民の間にも疑問と不安が広がっていると、説明を求められる。首相曰く、マスコミも野党の皆さんも、私が右に傾いているとさかんに騒ぎ立てるが、皆さんから見て右ということは、私にとって左に傾いているということと嘯く。各紙はこれに猛反発。客観的に見て右に傾くのを左に傾くというのはあまりに無責任と噛みつく。側近たちは極力意識して正面をむくよう進言することになる。
    相変わらずの直球どストレート。そんな中、希死念慮をも窺わせる弱気もちらほら見せる。なかなか可愛い。得意の掌編をあえて卒業というのも意味深。何だか特別な一冊になりそう。

  • 大変おもしろく読んだ。
    共食いも宰相Aも正直途中で挫折したんだが、
    これは、短いんで、もーだめだー、な瞬間がこず、最後まではい次はい次、な感じで最後まで読めた。
    この人のはなんかいろいろ濃いので、好き嫌い分かれるだろうなあっと思う。
    でも濃いけど、文章事体は分かりやすいとゆーか読みやすい。ので、この短さはちょうどよい感じ。

    表題のイメージは深い。
    「今日の昼飯」が結構好き。
    「右傾化」には笑った。が「体験」がそれなりに実体験は入ってそうでコワイ。
    表現の自由に鎖がまかれないことを願うのみ。
    いや、願うだけじゃだめなんだろうが、
    今回の選挙結果をみれば暗澹たる気分。

  • 田中慎弥の掌編集。独特の世界観にあふれつつも、その短さと相まって病みつきになる。「桜」「書いている、読んでいる」がすき。

  • 田中慎弥の掌編集第二弾。前作は正直投げっぱなしなものが多く、作品としてあまり完成度は高くなかったように感じたが、今回は小慣れてきたのか印象深い掌編が幾つかあった。
    「体験」が怖すぎなんだけど、タイトル通り実体験なの?

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炎と苗木 田中慎弥の掌劇場の作品紹介

女と男と、そして神。あらゆる"私"に出逢える44篇の掌の小説。

炎と苗木 田中慎弥の掌劇場はこんな本です

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