東京會舘とわたし(下)新館

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著者 : 辻村深月
  • 毎日新聞出版 (2016年7月30日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (285ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784620108223

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東京會舘とわたし(下)新館の感想・レビュー・書評

  • 東京會舘とは何だろう?どうしてこんなにたくさんの人に愛され、その想いは繋がっていくのだろう。
    私は直木賞候補者ではないが、だんだん「東京會舘って本当にあるのか」という気がしてきた。それくらい美しくてどこか儚い幻のような物語ばかりだった。

    1番好きな話は「金環のお祝い」。今日はふたりの金婚式。久しぶり訪れた東京會舘で、亡くなったご主人との思い出を振り返る芽衣子。東京會舘のおもてなしが芽衣子に奇跡を起こす…。
    私は銀婚式もまだだけど、この夫婦のように素敵な金婚式を迎えたいと思った。歳を取ってもいつまでも相手を思い合える、美しい物を美しいと、美味しい物を美味しいねと笑い合える夫婦でありたい。

    1番泣いたのは「煉瓦の壁を背に」。こんな両親絶対嫌だけど、やっぱり親の愛には弱いんだよね。私も親だからわかるところもある。

    越路吹雪さんを知らなくて、検索したら「ろくでなし」という歌だけ知っていて面白かった。楽しそうに歌う人だなって思うけどその裏ではたくさんの努力があったのだろうな。

  • 時を超えて受け継がれる想い…。
    東京會舘に纏わる昭和51年から平成27年までを描いた5つの連作短編集。

    ・金環のお祝い        昭和五十一年
    ・星と虎の夕べ        昭和五十二年
    ・あの日の一夜に寄せて    平成二十三年
    ・煉瓦の壁を背に       平成二十四年
    ・また会う春まで       平成二十七年

    皇居の隣、ちょうど二重橋の正門の真向かいに大正十一年。
    国内で初めて民間の力でなる社交場。東京會舘は創業した。
    昭和四十六年、新館への建て替えを経た東京會舘。

    上巻は、激動の時代に翻弄された東京會舘の姿を描いていましたが、
    平和な時代の東京會舘。年月を経るにしたがい親から子へ、そしてまたその子へと、
    東京會舘が愛される様子が丁寧に描かれている。
    働くスタッフの姿は、創業当時からの思いがしっかりと受け継がれていて、
    変わらず、何年経ってもとっても素晴らしいおもてなしに胸が熱くなりました。
    どの章も、とっても温かかったり切なかったり涙が零れて仕方なかった。
    涙が文字で見えずに何度本を閉じた事か…。
    読み終えるのが勿体なくって、ひとつひとつの物語を大切に読み進めました。
    第9章の直木賞を受章した青年のお話は、勿論フィクションでしょうが、
    辻村さんのエッセイに書かれていた事と重なるので、
    想いはきっと辻村さんなんだろうって思った。

    平成27年に建て替えの為に一時閉館し、30年に新・新館がオープンするそうだ。
    いつか、東京會舘に行きたいです!

    長く愛される建物には、それだけ多くの人。
    そこで働く人、訪れた人それぞれに建物に纏わる様々な思い出がある。
    人が集まって沢山の思いが溢れて、その建物が温かいんだと思わせてくれた。
    本当に、凄く素敵な物語でした。
    はーーー良かった~ :.* ♡(°´˘`°)/ ♡ *.:

  • 東京會舘が新館に建て替えられてからの5編。

    私は一度だけ東京會舘に入ったことがある。
    新入社員だった頃、会社の誰かに連れられて
    カフェテラスでコーヒーをご馳走になった。

    こんな格式高いところに…と気後れして
    ふかふかの絨毯にビビり、
    ふかふかのソファに申し訳ない気持ちでちょこんと座り
    コーヒーばかりを見つめていたように思う。

    田舎者に見られてはいけないと、
    キョロキョロ出来なかった。
    キョロキョロしていれば金環(シャンデリア)を
    じっくり見られたはずなのに。

    この物語を読み、
    キョロキョロ大いにしていいんだと思う。
    田舎者でいいんだ。田舎者で教養がなくても
    この建物の中では、安心して楽しんでいいんだと思う。

    中で働く方々は、見下したりしない。
    私たちに向かって開かれているんだ。
    誰でも自由に利用できるのが、東京會舘なのだから。

    5編ある中で第六章の「金環のお祝い」は
    泣いてしまいました。
    こんな素敵なサービスが
    さらっと出来てしまうんですね、東京會舘は。

    そのほか男性の料理教室の教え方や
    マナー教室のマナーのとらえ方、教え方など
    これでもかと東京會舘流を見せつけられたら
    そりゃファンになります。行きたくなります。

    年末年始でどっぷり脳内の東京會舘内にいられて
    幸せいっぱいな一冊です。

    新新館でも「玄関係」なんですかね。
    ローズルームの名前や歴代のシャンデリアは
    どうなるんだろう?大理石の壁も?
    プルニエは?ロッシニは?
    遠藤理容館は?五十嵐写真店は?

    東京會舘らしく、を目指す新しい建物。
    この本の読者の方々と辻村さんと一緒に
    楽しみに待ちたいと思います。

    素敵な場所だってことを教えてくださり
    ありがとうございました。辻村さん!

  • 上巻ではそうでも無かったんですが、下巻に入って、いきなり最初のエピソード『金環のお祝い』で、ウルっと来てしまいました。電車の中で読んでいたので、危なかったなぁ(苦笑)。それと、後半の『煉瓦の壁を背に』も危なかったです。

    これまた上巻ではあまり意識しなかったですが、下巻に入って、東京会館を物凄く研究して書かれていて、一応フィクションではありますが、あたかも事実であるかのように感じてしまいました。よく取材したと言う事なんでしょうけどね。

    最後の方にも書かれていますが、東京会館は現在、建て替え工事中。新しい東京会館が開館したら、行ってみようかなぁ。

  • 最後の日、雪の中私もお菓子を買いに東京會舘へ行きましたが、お菓子は当然全て売り切れ。仕方なく東京會舘の一階をクルクル歩いて回って帰ったことを思い出します。
    煉瓦の壁を背に は泣けました。

  • 下巻のほうが好き。どのお話もあたたかくて素敵。ほっこり。
    なかでも「あの日の一夜に寄せて」や「煉瓦の壁を背に」が好き。

    東京會舘の新しい建物の竣工予定は、平成30年春。旧館から新館へシャンデリアや大理石の壁などが受け継がれていったように、新しい建物にも何か工夫がされているのだろうか。それを探すのも楽しいかもしれない。

    この本は、東京會舘に携わってきた人はもちろん、結婚式を挙げた人、クッキングスクールに通う人など様々な思い出をもつは人々にとって、最高のプレゼント。本当によい作品だ。

  • やばい・・・じわじわくる。
    正直、上巻を読み始めた時点では、
    なぜこんなに評判なのかわからなかったけれど、
    読み進めるにつれて、じわじわ面白さがこみあげてくる。
    うまく、うまく登場人物がつながっていて、
    一人ひとりのドラマが丁寧に描かれている。
    第六章は、近くに生徒がいなければ絶対泣いてた・・・

    越路吹雪さんの章もよかった。
    私も何年たっても授業に慣れないけれども、
    慣れなくてもいいのだと素直に思えた。

    上下巻、両方とも本当に面白かったです。

  • 正直、東京會舘にはまったくもって何の思い入れもないので、上巻の方は、感想といっても「へぇ〜〜、そうですかぁ」としか言いようのない感じだった。

    が、下巻(新館)に入ってからは、ひとつひとつのエピソードがとっても感動的で入り込むことができた。
    いちいちウルウルした。
    最後はピタッとはまって時代は巡るというステキな物語だった。

  • 東京會舘を舞台にした有名,無名の人の織りなす連作短編集.100年の歴史の中を,クライスラー,越路吹雪といったビックネームがいろどり,結婚式をあげる人,レストランに食事に来る人,それを支えるプロのスタッフたち.もちろん,マティーニ伝説を作ったバーテンダー今井清もでてくる.東京會舘の広報誌のような気もしないではないが,さすがにこれだけ歴史が厚いと,広報誌でも十分面白いからなぁ.

  • 大正時代から2015年の建替の為の取壊しまでの100年弱の歴史の中の様々な立場の人たちの体験を「点」としそれが歴史の「線」となっています。それぞれの視点から東京會舘への思入れがひとつひとつ感動を呼ぶ傑作でした。文調も暖かくほんわか癒しを感じさせつつ涙を誘います。名物の會舘フィズ、プルニエの舌平目やロッシニのコンソメスープを今すぐ味わいたい!と読者に思わせるある意味全く新しい角度のグルメ書籍の側面も感じる作品。おすすめです。

  • 自分の生きている「今」は、本当に点でしかない。自分の知らなかったずっと昔の「過去」や、自分がこの世からいなくなったあとの「未来」に思いを馳せたくなる一冊。人が紡いでいく歴史に感動した。いつの世も精一杯生きる人々と、プロの仕事ぶりにただただ敬意を表したい。東京會舘、特別な場所になりそうだ。

  • 上巻である旧館から時代が現代にうつる。知っている名前や出来事が出てきて、東京会館という場所の日記のようだ。建物の持つ力やそこに続く伝統の力はすごいと思う。
    2017/6/28

  • 東京會舘には心細いときの気遣いができるスタッフが実際いたのだろう。自分もとあるホテルのカフェで、一流ホテルマンの対応に感動したことがある。プロフェッショナルって素敵。

  • 下巻もものすごくおもしろかったし、人のあたたかさと巡り合わせにぐっとこみ上げるものがありました。特に震災の日の話が良かった。最後の場面では泣きそうになりました…。心細い時の料理の描写はなんでこんなにも泣けるんだろうかと思います。直木賞の話は、辻村さんのエッセイを読んでいたので気持ちが強く伝わってきました。東京會舘、ぜひ行ってみたかったけどまだ改修工事中と知って残念…!建て替え終了後にはぜひ行きたいとおもいました。

  • 時代が近くなってより気持ちが登場人物に寄れたのか、下巻の方がだいぶと良かった。

    とくに震災の時を描いた、あの日の一夜によせて

    夫を亡くした女性の、金環のお祝い
    が良かったなぁ。

    地味なテーマながら、読んでいて特別な場所に想いを寄せる人たちの気持ちが素敵だと思える作品でした。

    2017.6.25

  • 上巻は東京會舘に憧れる日本人の気持ちみたいなところが大きく、個人的に好みでは無い。

    下巻の
    ・クッキングスクール
    ・直木賞
    のところが好き。

    辻村さんには珍しく、むちゃくちゃ暗い部分まで踏み込んで無い。ちょっと綺麗な話。

  • 昭和46年、新館への建て替えを経た東京会館。緊張で肩を震わす舞台女優、東日本大震災の日、直木賞授賞を知らされた父子…。東京会館の歴史を下敷きとした、優しさと慈しみに満ちた物語。

    ハートウォーミングな話ばかりのがやや鼻についたものの、上巻と違って舞台が現代になったため、親近感が得られた。いま東京會舘は改修中のため、本作で描かれた建築様式などを目視できないのが残念。
    (C)

  • あまりの予定調和、
    あまりの東京会館万歳、で
    下巻は少し飽きたけれど、
    それでも二カ所くらい泣く寸前のところまで行った物語があった。

    幸せな人達の幸せな物語。

    毒もほしかったな

  •  上巻は想い出や当時の歴史といったところも多く、人物をつないでいくという章立てに惹かれて読んでいったが、下巻は違う。
     特に直木賞の部分は読んでいて、涙でかすんだ。たぶん、この話がこの本のクライマックスであり、この本の意味なのだと思う。これまでこの本で書かれてきた家族や友人、従業員は、すべて仲が良かった。だけど、親子が断絶した状態だった、この主人公は違っていた。だからこそ、家族を強く感じたし、喜びもひとしおだった。
     上巻は伝統を積み上げていく過程だった、下巻は今があった、そして作られている新新館はどのような建物になるのだろう。建物の歴史は人が作っていく。それを感じた作品だった。

  • このおはなしの主役は東京會舘そのもの。
    様々な人が入れ代わり立ち代わり集うなかで、時代の移り変わりを経てその価値や立ち位置も移り変わり、また新しい姿に生まれ変わっていく。
    それぞれの時代を象徴し、人々の思い出を彩っていく。

    その中で変わらないものがあるって素敵なことだなって尊いものだなって感じられる。
    若い時は分からなかった守り受け継がれてゆく伝統があることってすばらしい。

    それぞれのおはなしが少しずつ重なって繋がっていく様がまたいいんですよね。
    歴史ってこうして紡がれていくんだって。
    特に下巻は泣けた。

  • 東京會舘の隣のビルに13年勤め、ローズルームもシルバールームもよく仕事で利用していたので、情景がまざまざと浮かび上がり、フィクションとは言え、きっと似たようなことも多々あったのだろうな、とあっという間に読み終わりました。

    東京會舘の人たちは1言うと、10動いてくれる素敵な人ばかりで、気持ちよくお仕事させていただきました。
    特にうちの会社の営業担当だった方が、本当に素敵な方で、いつも笑顔を絶やさず、何を言っても「出来ない」と言われたことはなく、「じゃあこうしましょうか?」といった形で提案もしてくださり、多々助けていただきました。

    自分の休日、丸の内を歩いていてその営業の方にあった時も「○○さーん。お休みも丸の内にいるんですね~ではまた~」と爽やかに去っていきました(笑)。

    会議の参加者が大企業の会長クラスの方ばかりでしたが、臆することなく対応する姿を間近で見ていて、接客業ではありませんが、とても勉強させてもらいました。

    今は新しい東京會舘が建設中で、今朝見てきたところ4階までの骨組みが出来ていました。どんな會舘が出来上がるのか、とても楽しみです(*^^*)

  • 「金環のお祝い」が1番印象に残った。涙線を突いて来るのでとても困った。
    姿・形が変わっても違う形で残っていれば思い出は一気によみがえって来る。その時どうしてたかどんな会話をしてたか。その会話が脳内で再生される。
    もう戻れない、けれど確かにあったその思い出。
    あぁ、思い出すのは哀しい、でも楽しい。
    1番切ない話だった。
    上巻の感想でも書いたけれど辻村さんの「東京會舘」に対する想いがぎゅうっと詰まった本だと思う。

  • 建物に刻み込まれた人の想い、そこには亡き夫との思い出があり、大震災の時にまるでオアシスみたいに存在したり、必死に頑張って辿りついた場所であったり、読んでいて何度も胸に迫ってくるものがありました。『お帰りなさいませ。お待ちしておりました』そんなことを言って貰える場所があるというのは、生きていく上で支えになりますよね。これまでと全く違う辻村さんの一面を見ることができ、東京會舘での時間を共有するかのような、とても幸せな読書の時間を持つことができました。建て替えて、生まれ変わった東京會舘に行くのが今から楽しみ。

  •  大正11年創業、東京・丸の内にある皇居を臨む宴会場、レストラン、社交場として歴史を刻んできた「東京會舘」を舞台とした連作短編小説。第一章は創業直後の大正12年を描き、章が進むごとに時代が流れ、下巻の最終章は平成27年。主人公(視点人物)も章ごとに変わり、東京會舘の歴史と、関わった人々それぞれのドラマを描く。

     下巻である本書は、東京會舘新館が竣工して五年後の昭和51年(1976年)から、二度目の建て替えのため一時休業となる平成27年(2015年)まで。上巻に比べて歴史小説的要素はほとんどなくなったように感じるが、その分辻村さんの持味が生かせているような気がする。他の章の登場人物との繋がりが示されることで、全ての章が一本の糸で結ばれ、移り変わるものと受け継がれるものを読み取ることが出来る。どの章もハートフルな内容で、爽やかなに胸が温かくなる読後感は「さすが辻村深月だ!」と思わせてくれる。

     東京會舘の「新新館」竣工まであと2年程。受け継がれる會舘の精神を、実際に肌で感じられる日を心待ちにして。

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