その時この人がいた: 昭和史を彩る異色の肖像37

著者 :
  • 毎日新聞出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (404ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784620305578

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  • 在日コリアンの百年史にあった小松川事件についての記載で、すっきりしないところがあった。
    この事件を起こした李珍宇は、強姦目的で二人の女性を襲い、二人とも殺して死体を遺棄したことで、死刑判決を受けた凶悪犯だった。
    でも、百年史の中では二人の被害者の被害には触れないで、多くの日本人が李珍宇の支援を行ったことを美談調にまとめていた。読書する場所を探していただけなのに殺されて、通っていた学校の屋上で腐乱死体になって発見された16歳の少女の父親が、娘を殺した犯人の支援に回ったとか正気か?
    なので一体どういう事件だったのかをちゃんと調べてみることにした。もしかしたらこの事件は、反差別運動の中でいかに女性の命や被害が軽視されてきたかの、実例のひとつなのかもしれない。

    この本の中では、李珍宇がふたりを強姦目的で殺したことについては触れられていない。強姦のごの字もない。それは一体どういうことなんだろう。
    未成年だったのに少年法が適用されなかったことについて、著者ははじめから死刑ありきであったと非難している。
    けれど検察庁HPの「少年事件について」のページを見てみると、「故意の犯罪行為により被害者を死亡させた事件で、罪を犯したとき16歳以上の少年については、原則として検察官送致決定をしなければなりません。」とあるので、故意に二人の被害者を死亡させた犯人が検察官送致決定を受けたのは、国籍を理由とした差別的取り扱いとは言えない。

    少年事件手続きの流れについて、わかりやすい表があった。たぶん宮城県の警察が作って公開してるの。
    https://www.police.pref.miyagi.jp/hp/syonen/bousi/genjou/jikennagare.pdf

    そうはいっても量刑をどう決めて、死刑になったのかは気になるところではある。反省や後悔の意思を見せなかったので、重めの量刑になったのだろうとは思ったけれど、死刑判決にするには若すぎると思わなかったのかな…

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