蝶は還らず: プリマ・ドンナ喜波貞子を追って

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  • 毎日新聞出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (234ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784620307251

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  • 図書館の本

    内容(「BOOK」データベースより)
    ポーランド・ワルシャワの元監獄で、著者は一体の手作りの日本人形を見つけた。誰が誰をモデルに作ったものなのか。謎を追ううちに1920~30年代のヨーロッパで圧倒的な人気を集めたプリマ・ドンナの存在を突きとめる。オランダ人医師と日本女性を祖父母に持つ彼女の「蝶々夫人」はヨーロッパ中を魅了した。ポーランド人の夫は抗独レジスタンスの闘士として彼女の陰で謎めいた行動を示す―ミラノ、リスボン、パリ、ワルシャワ、ウィーン、横浜、ニースと6年の歳月をかけた追跡でミステリー・ゾーンの中から華麗な人物像が浮び上った。第二次大戦前のヨーロッパに一瞬の光芒を放った、日蘭混血のオペラ歌手。ヨーロッパ各地を巡って掘り起した会心のスクープ・ノンフィクション。

    以前どこかでこの本を知って(テレビだったと思う)本を探した時は絶版だったの。
    今回お友達が長崎に旅行されて彼女の存在を初めて知ったとブログに書いていて思い出した本。
    図書館にあったっけ?と検索したらヒットしたのでさっそく借りてきて、あっという間に読了。

    1/4日本人3/4オランダ人 オランダ国籍 かなり外人の日系人ではないか?って思ったのですが、すいません、彼女私より日本人です。
    国籍は自分のチョイス、人種は育ちなのかもしれないとナショナリティも考えさせられました。
    録音聞いたらイタリア語がとても美しかったです。
    6,7か国語話せたという彼女の語学センスが歌に反映されていて人間性が声の後ろに透けて見える気がします。
    彼女はカラスと一緒で女優としての評価も高かったようなので映像が残っていないのが残念です。時代を考えればしかるべきなんですけどね。
    ポーランド人のご主人がマネージャーということと第2次大戦時期が30代後半の歌手としての絶頂期が重なったということが歌手声明を短めた要因であるとは思うけれど、声も酷使したなぁ、っていうスケジュール。
    あと5年長く歌えるコンディションだったら日本で歌えただろうにと思うと売れっ子の歌手になるというのもリスキーなのだろうと思いました。

    控えめで小柄で人柄がよかったという喜波貞子。
    喜波は祖母の名前を漢字にしたというのが彼女の一角を如実に示しているように思います。
    人柄は音楽を通して聴衆の心を動かしたのだと思う。

    お墓、ちゃんと作れたのか、後日談が気になります。
    いい本でした。今文庫本で出版されているようなので購入しようと思います。

    それにしてもここ数年ポーランドぶつかるなぁ。。。

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著者プロフィール

1930年生まれ。詩人、評論家、作家。『日本農民詩史(全5巻)』(法政大学出版局)で毎日出版文化賞特別賞を受賞。子守唄研究の第一人者としても知られる。著書に『陽気な農民たち』(未來社)、『望郷の詩』(大和書房)、『松永伍一詩集』(土曜美術社)、『光の誘惑――わが聖地行』(紀伊國屋書店)、『老いの美徳――本当の豊かさとは何か』(大和書房)ほか多数。2008年没。

「2014年 『日本の子守唄 民俗学的アプローチ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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