人間を幸福にしない日本というシステム

  • 毎日新聞出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (348ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784620310190

作品紹介・あらすじ

『菊と刀』に匹敵する名著と評され、官僚批判の火付け役となった『日本/権力構造の謎』につづき、本書では「政治化された社会」等の新概念で日本のリアリティーにさらに深く斬り込む。本書は日本の読者に向けて書き下ろされたオリジナルである。

感想・レビュー・書評

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  • 日本が異様な国だとわかる
    官僚支配の国、国民の声が恐怖や慣習によって消される国
    「しかたがない」
    この一声で幸福を捨てている現状がわかる
    一人一人が社会の一人ではなく、人間の一人としていきなければいけない
    そして日本は独自の国を作り上げないといけない
    真似でなんとかなる時代は終わった

  • 「政治化された社会」、「政治勢力としての中間階級の欠落」、「政治的説明責任の中枢の不在」、「怠け心と恐怖心」

  • 出た当時は革命的な説だったように、記憶しています。日本社会の構造の本質を捉えた本でした。

  • たまたま図書館で手にとって読了、1994年の出版だが非常に面白かった。無知で咀嚼できなかった箇所があったので、改めて購入したいと思えた良書。

    日本で「政治勢力としての中間階級がほぼ完全に欠落している」のはなぜなのか。
    国会でグダグダな答弁を繰り返す首相や官僚、説明責任を果たさなくても罷免されない不思議なシステムが、なぜ許されるんだろう?
    長時間労働や満員電車で疲弊して働きたくない、もっと人間らしく、幸せに生きていたい。
    そうした日々の問いを読みながら考え、読了しても終わらない問いが続いている。

  • 日本には市民社会がなく、民主主義も資本主義も根付いていないのだという。

    それもその筈で欧米で生まれ育まれた考え方を日本に落とし込む過程で、そもそもの前提となる社会構造の違いを考慮せず"直訳"した(明治維新直後、第二次世界大戦敗戦直後)の歪みから其れは生じているのだ。

    この歪み=官僚支配社会があったからこその護送船団方式であり、それが高度経済成長をもたらしたわけだから、功罪あるわけだが。著者が説明責任の欠如というのはKYという言葉に象徴される空気が支配する日本の風土の歪さからくるのだろう。

    それとも空気を読むという馴れ合いの温度感もその歪みからきているのだろうか?

  • 必読書

  • 【目次】
    謝辞 003
    第一部 よい人生を阻むもの 011
      第一章 偽りのリアリティ 013
      第二章 巨大な生産マシーン 038
      第三章 麻痺した社会の犠牲者たち 064
      第四章 官僚独裁主義 087

    第二部 日本の悲劇的使命 127
      第一章 日本の奇妙な現状 129
      第二章 バブルの真犯人 178
      第三章 不確実性の到来 205

    第三部 日本はみずからを救えるか? 227
      第一章 個人の持つ力 229
      第二章 思想との戦い 247
      第三章 制度との戦い 286
      第四章 恐怖の報酬 312
      第五章 成熟の報酬 325

  • 官僚独裁主義から脱却するには優秀な政治家が必要なわけで
    そのために選挙システムの改革と市民が政治について
    もっと勉強する必要があるよね

  • The False Realities of a Politicized Society ―
    http://books.mainichi.co.jp/

  • 市民の覚醒が民主主義国家には急務という主張。西欧主義的な市民の捉え方 また第2次世界大戦に日本が突入した経緯についての分析は多くの日本人と異なるだろう。

    ただ市民あるいは民衆が政治の主体者となるべきであること。また現在も続く日本の労働のあり方に対する強い懸念は私たちも十分理解しなければならない。

    さて何を人生における幸福と感じるか否かに相当の違いがあるように思う。彼の主張する幸福感が一つの西洋的な価値観かも知れない。

    しかし確かに日本の行くべき路の舵取りはいったい誰が行っているのかと言えば確かにこころもとない。政治家 政府 官僚?
    第2次世界大戦へと導いたのは誰か。そして誰が責任を負うのかを考えても日本の政治のありように対する特異な様は確かにある。今回の原発の事故に対して誰が悪い?誰が責任を負う?同じことが繰り返されている。

    日本文化という言葉の中にくるめられている 集団への隷属 和 などもう一度違うコンテキストで考えて見直す必要があると思う。

    最後に彼が陥っている大きな問題点は西欧中心主義だけでなくフェミニズムに対する偏見、無理解も甚だしい。彼の言うところの市民にいったい女性は含まれているのかとも思う。

    しかし文献を調べ、よく本や資料を読んでおられるこのには間違いない。私たちが彼から学ぶことがあればよいと思う。

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