- Amazon.co.jp ・本 (245ページ)
- / ISBN・EAN: 9784620318301
作品紹介・あらすじ
なぜ、どのようにA級戦犯を秘密裏に合祀したのか。記者が「まるでその場にいたかのようだ」と靖国神社関係者を驚かせた徹底取材で抉りだすA級戦犯合祀の真相。新事実で伝える「靖国問題」の決定版。
感想・レビュー・書評
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靖国神社は普通?の民間の神社にはなかなかなれないと思いました。やはり戦争を押し進めた経緯を反省するとか、責任を認めるとか、そういう態度をとりたくない政治が反映されている神社なのだと思いました。
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戦後の靖国神社の内情をA級戦犯合祀に焦点を当てて解説する一冊。
靖国神社という一個体としてではなく、
時代時代の宮司、権宮司、政治、官僚、遺族会など
数多くの人物や団体を絡めた内容となっており、
非常に納得が行き、かつ面白い。
特に戦後30年強、なぜA級戦犯が合祀されなかったのかが、
筑波藤麿という一個人を軸に説明され興味深かった。
神道の持つ懐の広さから、世界平和を希求する発信基地としての
靖国神社像は今から考えると大変に美しい。
また、それを良しとしない人物らが当然のようにおり、
その大きな意思によって抜打ち合祀それた経緯は、
戦後総括の矛盾そのものであるように感じられ、悩ましく思う。
よく調べられた良書。 -
逗子図書館で読む。あまり期待していませんでしたが、抜群の出来です。取材は非常に丁寧です。また、読みやすい文章です。松平宮司、筑波宮司のバックグラウンドがよくわかりました。
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A級戦犯を合祀した松平正芳は、靖国反対派からは大悪人と思われているだろうが、かれはもともと郷里の福井市立歴史博物館館長としてその余生を送ろうとしていた。それが靖国神社という宮司になったのは、戦後筑波宮司のもとで戦後の民主主義と平和主義を掲げていた靖国神社を面白く思わない勢力の巻き返しであった。松平氏はひたすら国家と皇室の護持に生きた人で、人間としてはいちずでよこしまのない人であったろう。しかし、そんな人が靖国の宮司になったことで、78年以降の靖国神社はもはや戦死者を慰霊するところではなくなってしまった。筑波宮司と松平宮司の人物像、それに靖国神社における意志決定のしくみを探った労作。