ネット君臨

  • 毎日新聞社
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感想 : 9
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784620318363

作品紹介・あらすじ

匿名社会の恐怖、拡大するネット犯罪…ネットは我々をどう変えるのか。

感想・レビュー・書評

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  • ネットの負の側面を描こうと事実を記述したドキュメンタリーチックな本

    目次
    <blockquote>第1章 失われていくもの
    第2章 IT立国の底流
    第3章 近未来の風景
    第4章 私の提言
    第5章 ネットからの反響
    </blockquote>
    うーん、実にAmazonもここのコメントも惨いことになっている……まぁ、あの事件があるからそう見てしまいがちなんだけども、ここは敢えてそれをナシで批評したいと思う。

    どうしても取材した内容が恣意的になりがちなので、まず直感的に「ネット=悪」という考えを持ちがちだけれども、それを外して見ると、確かにネットの問題点が浮き上がってくるので、これは思っているより悪い本ではないな……そう思った。
    <blockquote>しかし、一度つけられた傷は簡単には回復しない。いまだに誤った情報を信じ、同様の書き込みを続ける人もいる。
    そんな粗野な世界を私たちは望んでいるのか。私たちはネットを使う時、手にした力の大きさや伝えることの怖さをどれほど自覚しているのだろうか。</blockquote>
    ネットに出回った情報は、その仕組み上、どうやっても根絶することは不可能です。それはもともと、米軍が必要とした情報システムだという点が大きい。敵に攻撃されたときに、情報の流通が止まらないようにと考えられた仕組みだからだ。だから、あるサーバで情報を止めても、結局は別のルートから情報が流れてしまう。この側面が、今起こっている問題のもっとも厄介な点であり、同時にコントロールが利かないと言われている点だ。

    素直にここだけは評価したい。俺たちはネットを良く知った上で本当に使っているのだろうか?教育は追いついているのだろうか?法整備は?
    本当にそれについて、自分なりのカタチを見出しているだろうか?

    ネットに溢れる情報は、様々な人の考えを浮かび上がらせているが、多くの情報に晒されることによって、自分の考えを見失ってはいないだろうか?
    自分で考えることを止めて、人の考えを丸写しにする点が、正にコピペの問題点だと思う。
    それは体裁はすばらしいけれど、すこし対話しただけで崩れてしまうハリボテの知識なんだと思う。

    児童ポルノに関しては、更に微妙な視点になると思う。
    何が問題点なのか、予防する為の規制は正しいのか?
    おそらく焦点はこのあたりにあると思う。
    実際に犯罪行為があるのならば、それは捕まって当然ではあるが、その兆候がない場合、どこまで踏み込んでいけるのだろうか?
    メインのテーマが感情に左右されがちなテーマだから、敢えて児童ポルノを別の(誰でも良くないと見る)犯罪行為として第三者的に看做すとよりクリアな論が出ると思う。
    さもなければ、正義の為に子供をだしに使うのも良くないし、かといって自由を吹聴して回るのも正しくないからだ。そこを主張したところで、答えは出ないと思う。
    例えば殺人とか。戦争、ないしは正当防衛などの例外事項を除けば、普通の社会生活で殺人は正しくない。その前提で殺人の予防とか云々かんぬんになると、さてどうだろう?
    同じように対立するだろうか?

    ここまで書いていて解ると思うけれど、自分はネットはあくまでツール、どう使うかこそが問題なんだと思ってる。これだけ社会に根付いてしまったものをどう扱うのか、未だに社会が明確な答えを出さなかったことに責任があるのだと思う。
    自分自身も、それだからこそ、興味を持って読むんだけども……。
    しかしながら、社会が変容していく間に、混乱がある程度あるのは、しょうがないのかもしれないね。ムービーにしても、カメラにしても、新しい技術が一部の人たちを死に追いやった歴史がある。意外と知らない人は多いのだけど……TVだってそう。
    技術が人のありようを変えるのならば、その現実をちゃんと見るのはリアルタイムに生きている人たちの責任ではないのだろうか。

    あ、最後に。対話で佐々木さん一人だけメッチャ浮いてましたね。議論になっちゃってる。対話なのだから、もうすこし譲歩してもいいと思うんだけどなぁ……。
    ポジショントークが意外と厄介なのかもしれない。

  • インターネットが齎した様々な社会の動き(とりわけ、ネットのマイナス側面から生じる)が事例を基に述べられている。事例が中心故、「ふ〜ん」と読み流してしまいがちであるが、それぞれのインサイトを読み取ることが重要だと感じた。

  • 「ネット君臨」 何と仰々しいタイトルだろうか。

    2007年の毎日新聞紙上での連載のまとめ本だが、そのタイトルは、ジャーナリストが当然持つべき「先入観を廃した公正な情報の提供」という視点からはおよそかけ離れているな、と最初に感じた。

    日本を代表する大新聞社の、優秀な記者陣が、素人の私でも気になる「タイトルが持つ思考への束縛」に無意識的であった筈は無いだろう。

    あらかじめ「インターネットの問題点」を白日の下にさらす、という強い目的意識から連載がスタートしているにしろ、取材や議論の過程で当然起きるであろう、インターネットに対する新たな気付きやポジティブな側面への評価が、記事の内容に正当に反映されたのだろうか、という素朴な疑問は最後まで払拭されなかった。

    児童ポルノに関する規制などは勿論賛同する。ただ、問題提起だけでも意味はあるのだろうが、新聞という歴史のあるメディアから発信できる視点が、つまるところ「実名報道」と「現場主義」だけなのだとしたら、なんとも拍子抜けな感がするのは私だけなのだろうか?

  • ネットでは我々の知らないマイナスなことが多すぎる。
    社会のインフラになってしまったから、これからはそれら問題点にどう対峙していくかが重要になる。

  • 急速に普及し始めたインターネット社会の「光と影」、とりわけ「影」の部分・負の部分を毎日新聞が取り上げる。

  • ありふれた話。メディアによるネットでの言論の自由に対する批判が込められている。

  • 毎日新聞に掲載されていた記事の本です。ネットの光と陰を教えてくれる一冊です。

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著者プロフィール

2018年夏、毎日新聞東京本社編集編成局社会部の遊軍担当だった奥山はるな、堀智行、デスクを担当した篠原成行の3人を中心に構成。メンバーは、いずれも外国人や子ども、教育を取り巻く問題に関心があり、それぞれ取材を続けてきた。本書のベースとなり、毎日新聞の紙面で掲載しているキャンペーン報道「にほんでいきる」は、取材班が執筆した。

「2020年 『にほんでいきる 外国からきた子どもたち』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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