1968年に日本と世界で起こったこと

制作 : 毎日新聞社 
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  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784620319339

作品紹介・あらすじ

ベトナム反戦、全共闘運動、カウンター・カルチャー、そして揺れ続ける国際情勢…1968年という現代史の転換点の意味を、多彩な執筆陣が解明する。40年後の新たな激動の時代からの検証。橋爪大三郎×坪内祐三×平沢剛による特別座談会を収録。

感想・レビュー・書評

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  • 有り 210.7/マ/09 閉

  • 1968年はアメリカ文化を戦後日本が受容した年だった。
    ジーンズ、ロック/ポップスといった今も当たり前として続くものが定着した年だった。

    世界的にも若者文化が台頭しはじめた時期だったわけだけれど、それって目の上のタンコブである「オトナ」の数が大戦で減って少なくなって、力を失っていたというのも関係あるかな? とか思った。

    この頃の"若者"、まだまだ元気でウザいよなぁってインタビューの面々みて思った(所謂労害)。

  • w

  • 全共闘、安保闘争、べ平連、このあたりの単語にようやくアレルギーがなくなってきて、この時期と現在の共通点・違いなどが分かるようになってきた。

    ただ、どうしても経済を勉強している関係上、「なぜ日本では68年運動が諸外国と違い継続しなかったのか」みたいな疑問には「経済が順調やったからやろ」と考えてしまう。

    オイルショックの影響が先進国で数字上は最も少なく、アメリカと貿易摩擦が発生するまでに自動車が作られて。
    また自動車ってとこがミソで、波及がでかかった。こんな時に運動なんかしてるのは生粋の人なわけで、けど当時の参加者の大半は「空気」的に参加してた人も多かった。
    と、なると継続されない。

    にしても、この運動ってのがこんなにロジックが必要とされてたのか思った。考えすぎちゃうか?とも思うけど。
    そこは意外。

  • 面白いし、時代の主人公のインタビューを中心に構成されているのはさすが新聞。
    その半面で、やや深みに欠ける。
    歴史を重層的に取られるということなのでそれでいいのかもしれないけど、なんだかすごい食材で安っぽい料理を作ったみたいな感じ。

    この時代を扱ったものとしては標準的な出来だし、どこかで読んだような内容が続くのだけど・・・ その反面、こんな叙述方法でいいのだろうかと思う。
    現場を取材し、それをコメンテータが解説する。最後に出てくるのはやっぱり構造主義だったり脱構築だったり、現在への視点だったり。

    1960年代は現実問題としてまだ歴史になりきっていないのだから仕方がないのかもしれないけど、歴史に向かい合う峻厳さに欠ける気がするのだ。
    この、歴史の峻厳さというものについてもうちょっと書く。
    ちょっと嫌味な見方かもしれないけど、学者とかジャーナリスト(マスコミの上のほうまで出世)とか現在でもネームバリューを持つ評論家とか、結局この時代の生き残りレースの最終走者というか、出世した人によって書かれたものという感じがする。この本だけじゃなくて、1960年代を書いたものはどれもそうだ。
    その意味で、当時および現在の政治的スタンスがどこにあろうと、けっきょく勝者の視点なのであり、「正史」なのである。

    これは、この時代が名実ともに「歴史」になって、「歴史学」的な手法によって洗われたときに、一斉に瓦解するように思う。
    たとえば、べ平連の米兵脱走運動。それは確かに、運動の方法としては斬新だと思うし、現実的だと思う。また巻末の座談会でゲマインシャフト(家族)の参加という視点からも分析されていて、なるほど、とは思う。
    しかし、そうして脱走した米兵は、その後どうなったのだろうか。
    どの国に脱走した? おそらくいまだに米国には帰れないと思うが、それを当の本人たちはどう思っているのだろう。自分たちがプロパガンダに使われたと思っているのだろうか。それともいまだに感謝しているのだろうか。
    鶴見俊輔氏や小田実氏は、彼らのその後のことを思ったことがあるのだろうか? 当時から死ぬまで彼らは莫大なテキストを残したわけだが、そんなこと書いているのだろうか。書いていたとしても、なにかの行動を起こしたのだろうか。
    そしてそれは、後世の人間に分析される。されないわけにはいかないだろうな。

    今我々が100年前の日露戦争直後の政党政治家に対して、容赦なく分析していくみたいに、いずれこの本に載っている人たちによる、あえてこの言葉を使うが、「勝ち組」によって記述された文章は、いずれ厳しくさらされ、いろいろな角度から見られるだろう。
    浅間山荘事件を警察側で指揮した佐々淳行氏はこれで飯を食っているようなものだけど、最終的に右も左もみんなひっくるめてこのカテゴリに入れられそうに思う。

    このとき、後世の人々によって評価されるのは、案外、日大全共闘議長の秋田明大氏かもしれない。私の目から見て、この人が一番、自分のしたことを「総括」していると思う。

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著者プロフィール

1872年に創刊された東京日日新聞を前身とし、現存する日刊紙で最も古い歴史を誇る。世界に先駆け戸別配達を実施するなど、新聞史に足跡を残してきた。新聞協会賞を業界最多の31回受賞しており、圧倒的な「取材力の高さ」を特徴とする。
新聞発行、雑誌や書籍の発行のほか、数々の主催事業を通して、芸術や文化、スポーツ、教育の普及・発展に寄与し、時代の創造に貢献している。

「2020年 『記者トレ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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