- Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
- / ISBN・EAN: 9784620323459
作品紹介・あらすじ
なぜ座布団に正座するのか?「下半身を省略」するためです。ついに出た、落語論の新機軸!!ユニークな活動で注目される談志の孫弟子が、落語の面白さをイチからお教えします。
感想・レビュー・書評
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去年の丁度今頃、談笑の弟子!の会に北海道からわざわざ(本当は9年ぶりに実家に帰省した折)行って吉笑さんの落語を聴いた。ぐるぐるする落語だった。相当頭のいい人なんだなという印象だった。
その後ラジオでインタビューの後「舌打たず」も聴いた。
男の話をまともにじっくり聴きたいと思えるのは私には珍しいことだ。
プロフィールに高卒としか書かれないのは惜しいw
実際はかなりの進学校の出身で国立の教育大に入っているんだ。
中退しなきゃ教員免許を持つ落語家ってことでもっと楽に聴きたいと思ってもらえる肩書きがついたのにwww
そのじっくり聴きたい内容がぎっしり本になっているのでとても面白い。
ちょっと小難しそうに思う文章もあるが、それこそちゃんと読むと難しくもなく、難しい文章で偉そうなこという大して頭良くない人のよりずっと面白い。
ちなみに私は談志が嫌いなので現代落語論の方は読むつもりはないwww詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
うわあ。と思っている。
知的好奇心も、ロジックを辿る面白さも、落語の愉快さも、議論の議題としての興味も、落語というものに対しての憧れの気持ちも、単純な疑問も、全てを網羅し、満たしてくれる著書であった。本当に面白い!
私はいつも本を読むとき付箋を貼りながら読むのだけど、1枚も付箋がつかなかった。付けるのを忘れてた。そのくらい、引き込まれて読んだ。
先日の渋谷らくごで、初めて吉笑さんを知り、初めて聞いた。
立川流は好きだけど、吉笑さんを全然知らなかったので、どんなかなーと思って聞いた。すると、「なんじゃこりゃ!」だった。衝撃!おもしろい!
あまり新作落語は好きでないが(志の輔師匠とか上手い人がやるのは別。)、新作落語かどうかということすら考える間もないほどゲラゲラ笑っていた。
創作落語で、舞台は江戸、中身は現代。
なのに、なんの違和感もなく、ただただ笑いに集中できた。
普段からなんでも捻くれて穿った目でみてしまうので、ほとんどのものに「これはくどい」「ここが下手」「やりすぎ」「しつこい」「うるさい」と、なんかしらの文句があるのだが、吉笑さんの創作落語は、そういうことを考えるのも忘れていた。
俄然、吉笑さんに興味がわいた。
そしてこの本に出会った。
この人はとてもロジカルに考えている。
落語のもつ「大衆性」と「伝統性」、この二つの融合に悩みながらも、そこに自分らしさも挟む。そして落語であることの意味をよく考えている。
読み終わってから、渋谷らくごでの高座を振り返ると、なるほどなぁ。と再び感心する。
本に書いていることを、きちんと具現化させている。
この本を読んで、自分がなぜ新作落語があまり好きではなかったのかもわかった。
談志が落語の大衆性が失われることを憂い、「落語は能と同じ道をたどる」ということを言ったが、今度は大衆性が強くなりすぎて「落語が漫才と同じ道をたどる」危険が出てきた。
私は、厳しい徒弟制度や日本のしきたり、昔からの芸人らしさ、江戸っぽさ、艶やかさなど、そういうところも含めて落語に惹かれているので、NSCみたいな養成所とかできたら嫌だなぁ。
「大衆性」と「伝統性」の間で、うまくバランスを取り続けてほしいと思う。 -
覚悟は人を覚醒させる。外的な要因からでは人はほとんど変わらない。人生を変える時には内的な要因から自分がどう世界と向かい合うかという覚悟を決めた時に始まるものであるはずだ。
立川吉笑さんは前座から二つ目にスピード出世というか一年半でなってしまった。その後すぐに家元であった立川談志が亡くなった、立川流自体がどうなるかという流れもあっただろう、その談志師匠が50年前に30歳を手前にして書かれたのが『現代落語論』だ。
落語家、落語業界や界隈にはバイブルであるその著書を現在にアップデートし野心的にただおもしろいことをするために自らの資質と指向性から落語を選んだ男の決意と心意気、そして未来への展望が書かれている一冊。
ダウンタウンに思春期に影響を受けてしまった松本チルドレンである僕らの世代でお笑いが好きな人はぜひ吉笑さんの落語を一席でいいから観て欲しいと思う。だって、僕らにとっての祝福≒呪縛というダウンタウン(松本チルドレン)に影響を受けてしまった世代だからこそできる笑いを古典と現在を行き来する落語の中で彼は試行錯誤して進んで行っているのだから。 -
立川吉笑さんの落語への芯の強さが伝わってくる一冊でした。
先日、独演会で高座を聴きましたが、最高に面白かった。師匠の立川談笑師匠の影響や擬古典手法をこの本で読んで、更に立川吉笑の落語を聴きたくなりました!
立川吉笑さん、ありがとう! -
立川吉笑さんの落語についての考えがわかりやすく伝わってくる。落語についての分析はおもしろく、また吉笑さんがやりたいと考えることにも興味が持てる。立川談志さんの落語のDNAがちゃんと受け継がれているのだと感じた。
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まだ二つ目の落語家 立川吉笑が書いた今の落語の状況
殆どの落語家の書いた本が日常雑記にすぎないのに比べて出色の出来
後は、この人が偉くなれば、立川談志の現代落語論と比べられるようになるかもしれない。 -
談志『現代落語論』から半世紀,立川流の現在二つ目である著者による《私はこういう落語をやっていきたいのだ》という力強い宣言。漫才やコントにはない落語の独自性の追求,古典と新作の意味を再考,伝統と大衆性のバランスと落語の将来に対する危惧。48頁に書かれたある先輩落語家によるマクラの使い方,高座直前の志の輔の集中(52頁)にも驚かされる。
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演芸としての落語が、たとえば漫談とどう違うのか。「下半身の省略」という視点は面白かった。伝統芸能としての落語と、現在に通じる落語というはざまで、注目の若手噺家がどのような工夫しているのかという実践例として興味深い。
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面白いし吉笑さんの落語を確認したくなったが、落語家の落語評論は談志師匠と比較されてしまうのが厳しいところ。何を読んでも業の肯定、江戸の風などのパンチラインを作り出した立川談志の凄さを思い出してしまう。