熱誠憂国 日本人に伝えたいこと

著者 :
  • 毎日新聞出版
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感想 : 5
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  • Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784620323695

感想・レビュー・書評

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  • こんな「日本人」がいたこと、もっと僕らは誇りに思った方がいい。前の大戦のすべてを肯定するわけではないけど、いつまで自虐史観を未来に持っていくか。この2.24でも自分たちが世界史の動きから逃れられないことがわかった。平和の「維持」にもっと努力しないと、そう意識させてくれた1冊。

  • 李登輝さんの名前は知っていたけど、詳しいことは知らないので、実際には李登輝さんの書籍や評伝などをいろいろと読んでみる必要があるとは思うものの、
    ダイレクトに李登輝さんが晩年に、自分が長年経験し考えてきたことを思う存分表現した書に出会えてよかった。
    現実的な戦略家・行動派で、そこにはしっかりと考えることが基盤にある。
    政策に関して100%賛同できるかどうかは分からないが、考え方に賛同できる部分は多かった。
    李登輝さんが軸に持つことのうちの一つである日本的精神、武士道の本質のところが、日本のリーダーにもあったらと残念に思う。
    生き方、考え方のあるべき姿として、大変参考になる。

    量としてそんなに長くないので、エッセンスを手早く脳内に入れるのにありがたい。
    (今、並行してGAFA批判本とボルトン回顧録を読んでいるのだが、面白いが長くて長くて全然進まない…。)

    読んだのは最近だが、読むきっかけになったのは、今年2020/7/30に逝去されたことがニュースになったからだと思う。
    本書の発売は2016年であるので、それからアメリカがトランプ政権になったり中国のさらなる成長があったりで、最新の混沌とした世界についてもアドバイスをいただきたかったが、97歳の御長寿で、頑張るべきは我々現役世代ということなんだろう。

    惜しいのは、同じ話が何度か出てくることで、ここはもう読んだ場所だろうかと錯覚してしまうようなことがあり、そこは大事だから繰り返し記述しているのかも知れないが、それでもその部分はちょっとくどいかなとは思った。

  • 先頃亡くなられた台湾民主化の父・李登輝氏の著作。必読とも言える内容。内憂外患の我が国の状況にあって、どのように対応すべきかその方向性が示されているように感じる。
    そのひとつが憲法改正。70年以上にわたって一字一句改正されておらず、自国の安全保障を半ばアメリカに委ねるという異常な状況。
    リーダーは50年後、100年後という未来の国のあるべき姿を見据え、遠き慮りを持って行動しなければならない。リーダーの示すべき理想と目標は、自分個人の思いや信念に基づきながらも、その域を超えて組織全体の未来と発展に益するものでなければならない。そして、リーダー1人によって描かれるのではなく、組織に所属するメンバーの幅広い参画によって為されることが重要。理想・目標を掲げるだけでは、為すべき役割の半分しか仕事をしていない。
    日本にとって台湾は生命線。中国に制されてしまうと、経済的にも軍事的にも孤立してしまうことになる。そのことを十分理解する必要がある。
    中国の覇権主義と国内問題、アメリカとの関わり、日本との歴史や李登輝氏の歩み、成し遂げてきたことがわかりやすくまとめられていてとても勉強になる。氏の学びの姿勢・行動が今の日本に足りないことのようにも感じた。
    本書がどういう形で作られたのかはよくわからないけど、まとまりに欠ける点がやや気になり、残念だった。素晴らしいことを述べているのに、同じことを繰り返している箇所が多い。

  • こうも国際感覚の優れた国家元首がいるものか。世界的には実態として認められつつも認められない。最初に国家元首と書いたが、台湾とは、中華民国とは、両岸問題とは。この本の書かれた2016年とは米中関係が大きく変化しており、中国が押され気味である。ここ数年中国は経済援助の見返りに台湾との国交断絶を迫っているが、言われてみればこの1年大きな動きが無かったように見える。一方蔡英文政権も行き詰まり感があり、中国に膝を屈するような総統を輩出しないよう踏ん張りどころであると言えよう。
    李登輝総統は台湾独立運動を起こしたことも無ければ、面と向かって中国と対立したこともない。しかし、台湾省を廃し、中国の一省であることは明確に拒否した。台湾に住む人は台湾は台湾国でありたいのか、中華民国という台湾でありたいのか。近年中華民国のパスポートの中華民國と書かれた表紙に「台灣」というシールを貼ることが俄に流行っている。私も実際に見たことがあるが、本来そのような表紙を改変したパスポートが有効であることがおかしいのだが、誰も止められる事なく台湾を入出国している。これが現実なのではないだろうか。

  • 李登輝氏の著書。
    読みやすい内容で、台湾との関係性、日本の置かれた状況、アジアとの対等な関係の取り方について考えさせられた。
    こけしを子消しという由来があるとはまったくしらず、勉強になった。

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著者プロフィール

1923年台湾生まれ。元台湾総統。農業経済学者。米国コーネル大学農業経済学博士。京都帝国大学農学部在学中、終戦のため学業半ばで帰台。台湾大学に編入し卒業。米国アイオワ州立大学大学院を経て、台湾大学教授。71年に国民党入党、72年行政院政務委員として入閣。台北市長、台湾省主席などを歴任。84年に蒋経国総統から副総統に指名される。88年蒋経国の死去にともない総統に昇格。96年台湾初の総統直接選挙で当選し第九代総統に就任。2000年任期満了で退任。07年第1回後藤新平賞受賞。20年7月30日死去、享年97。

「2021年 『人間の価値 李登輝の言葉』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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