憲法の涙 リベラルのことは嫌いでも、リベラリズムは嫌いにならないでください2

  • 151人登録
  • 3.98評価
    • (12)
    • (21)
    • (9)
    • (2)
    • (0)
  • 15レビュー
著者 : 井上達夫
  • 毎日新聞出版 (2016年3月16日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (168ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784620323756

憲法の涙 リベラルのことは嫌いでも、リベラリズムは嫌いにならないでください2の感想・レビュー・書評

並び替え:

表示形式:

表示件数:

  • 法学に精通する著者が世論を賑わせている日本国憲法の第9条と集団的自衛権との関係について自身の見解を述べた一冊。

    法学に精通している著者の憲法の見解は非常に勉強になりました。
    安倍政権が行おうとしている改憲についてや集団的自衛権について批判的に捉えている人々の考え方が一概に反戦の方向に向いていないことや国民投票にかけて全国民が憲法について向き合うことへの提唱は共感するものもありました。

    近年、安保法案の成立くらいから安倍政権での改憲の話題がよく出ていますが、真意とするところがいまいち分からなかったのですが、本書を読んで9条の意義や日本がこれまで平和であったことや他国の防衛などを理解することができました。

  • 安倍政権は立憲主義を破壊している!!
    集団的自衛権の行使は憲法違反!!
    9条守れ!!
    と叫んでる護憲派の方々・・・
    ちょっと待って・・・
    護憲派の方々が言うのも何だかおかしいでしょ?
    憲法守れ?いやいやいや・・・
    護憲派の皆様も随分欺瞞があるでしょ・・・
    9条守るんだったら専守防衛どころじゃなく、自衛隊解体で日米同盟破棄だし・・・
    専守防衛を守るんだったら憲法(明文)改正するべきだし・・・

    著者は護憲派を「原理主義的護憲派」と「修正主義的護憲派」の2グループに分けてその欺瞞を突く・・・
    原理主義的護憲派は、9条のもとで自衛隊と日米安保が存在するのは違憲だ、と言いながら・・・
    自衛隊&日米同盟の廃止!とか現実を変える努力も、逆に現実に合わせて9条削除!とか憲法を変える努力もせず、自衛隊と日米同盟の便益のみ享受して居座っている、と・・・
    修正主義的護憲派は、9条のもとで自衛隊と日米安保を容認するという従来の内閣法制局見解と同じ【解釈改憲】を採用しながら・・・
    安倍政権の集団的自衛権行使OKという【解釈改憲】は批判する、ご都合主義じゃないか、と・・・
    どちらにも共通しているのは・・・
    憲法を尊重するフリをしつつ、9条を裏切る自衛隊や日米同盟の存在にコッソリと便乗はするし、容認もしてたりする・・・
    そして自分たちの政治的ご都合主義を、【憲法を利用して】隠蔽しようとしている点・・・
    著者はこの点をもって憲法が泣いている、と書いているわけですね・・・
    憲法守るって言ってる方々も憲法を裏切っているじゃんか、と・・・
    著者は別に安倍内閣、自民党の解釈改憲や改憲案を良しとしてない・・・
    けれども、護憲派学者さんや似非リベラル勢に対してもフェアに切り込んで行っている・・・
    その辺がとても学者さまとして誠実に思われます・・・
    確かにそれ(上記)が道理だよなぁと考えさせられる・・・

    その他、長谷部恭男さん等からの反論への反論や・・・
    9条削除論・・・
    徴兵制論・・・
    なども、なかなか面白く、参考になるのでオススメでございます・・・
    スグ読めるし・・・

  • 体系性のある本ではないが、論旨が明確で、読み手も思考が整理される。

    安全保障政策の観点からは、日本が集団的自衛権行使容認移行したことに対するアメリカからの対価が示されていない以上、集団的自衛権行使容認には反対。
    密約などが明らかになれば、再考するが。
    個別的自衛権、そしてその行使を支える戦力が今の日本に必要なのは言うまでもない。
    この論点は井上先生と同意見。
    (但し、9条の解釈として集団的自衛権行使容認は、できる可能性があると考える。)

    9条違反問題については、現9条の解釈として、日本の自衛戦争が許容されているかは、判断を保留したい。但し、9条は個別的/集団的の区別はしていないから、これらの別によって結論はかわらないと考える。

    違法/適法とは別の次元で、今の9条が現状と乖離していて望ましくないのは確か。
    したがって、9条は改正することが“望ましい”のは確か。
    どう改正するのが望ましいか。
    上記の安全保障政策上の立場からは、①井上の9条削除論か、または、②本書で紹介された自衛隊、日米安保、個別的自衛権行使容認を明確に規定した新改憲案かの2択になる。自民党案はこれほど揉めている集団的自衛権の行使について沈黙している点が良くない。

    ①削除論、つまり、安全保障は法律マター=国民の絶えざる議論で決定し続けるべきという見解は、井上先生の愚行権としての民主主義観から派生している。徹底してエリートの優越性を認めないのはわかった。
    多くの憲法学者と発想を異にする分岐点はそこだろう。徴兵制の政治的意義についても賛成。

    暫定的には削除論にシンパシーを感じつつも、しかしそれほどまでに国民を信頼して良いか疑問だ。
    井上先生の民主主義観には、国民にはこうあって欲しい、という願望もパッケージになっており直ちに受け入れられない。
    今の時点では②に賛成。

    本格派の学者が多少感情的になりながら、自説を熱弁するおもしろい本。

  • 本書は前著『リベラルのことは嫌いでも、リベラリズムは嫌いにならないでください——井上達夫の法哲学入門』の続編にあたるが、前著と異なり、憲法問題・安全保障問題に焦点をしぼっている。そのため、井上リベラリズムに対する理解を前提にしているようで、よって本書から入るのは勧められない。とはいうものの、強固で一貫した緻密な理論を展開をしており、知的な興奮を覚えることは間違いない。

  • 前著に続いてこちらも読んだ。前著は正義論についてだったが、今回は法哲学を中心とした憲法論。前著でも憲法についていくらか扱っていたが、その幅を広げてより深めた内容になっている。そんで今の日本の置かれている政治的状況からするとタイムリーな内容。

    井上達夫の立場はよくわかった。ロジカルで非常に筋が通っているし、バランスもとれていて、これがリベラルかと学ばされるところ多い。ただ、護憲派、改憲派ともに井上に滅多切りにされているが、どこに人生としての価値を置くかで、どちらの立場も理解できてしまうところはある。私たちは個人は、自分が考える前から社会におかれており、個の連帯の中で生きることを必定とされている以上、正義に基づく判断基準が優先されるべきだというのは疑うことができないが。

    様々な方向に思考を飛ばされる一冊だった。いつも以上に新聞が気になりだした笑


    17.5.7

  • 東大の学者でこういう人もいるんですね。

    9条
    ①日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
    ②前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。

    護憲派には二つある。一つは、自衛隊と日米安保条約は違憲とする原理主義的護憲派。もう一つは、自衛隊は違憲ではないとする修正主義的護憲派。


    井上先生の9条2項でなく丸ごと削除論
    ・安全保障の戦略は憲法で凍結してはいけない
     1項も安全保障の基本政策を述べている(非武装中立が違憲から集団的自衛権容認まで 解釈の幅がある可能性)
     1項を削除して非武装中立まで選択肢にいれて民主的立法過程での討議にゆだねよ
    ・もし戦力を持つなら「条件付き制約」を憲法に書き込んでおくべき。
    =シビリアン・コントロール、開戦決定への事前国会承認、徴兵制、良心的兵役拒否。
     徴兵制は、無責任な好戦感情に政府と国民が駆られる危険性への歯止め

    セカンドベスト-護憲的改憲 専守防衛の枠内で自衛隊を位置づける
    サードベスト-保守的改憲発議


    ↓井上達夫×モーリー「護憲派と憲法の涙」
    https://youtu.be/r3nr_uD5His

    ↓宮崎哲弥 x 井上達夫
    https://youtu.be/VD6Jm29XZo0

    ↓田原総一朗×井上達夫×篠田英朗「集団的自衛権とトランプと国際主義の行方」
    https://youtu.be/71TG5YZJKdo

  • 九条をどうするかと、改憲のあり方について、さまざまな立場への批判と著者の持論が書かれている。とにかく「エリート」の欺瞞を許さない。こういうのが良識派というのかなと思った。でも、この本に傾倒するのも、著者の望むところではないはず。

  • 自衛隊と憲法9条の整合性に焦点当てた本。いわゆる改憲派と護憲派の双方の主張の矛盾点を列挙し、9条をまるごと削除すべき、という持論を展開している。国の安全保障に関わるイシューを憲法に書き込むべきではない、というのがその主張の背景。

    "現在の9条は 、安全保障の基本を 「非武装中立 」に凍結してしまっている 。それが容易に変えられないから 、右も左も解釈改憲で対応し 、結果として九条を死文化させている"

  • 評判になった著者の『リベラルのことは嫌いでも、リベラリズムは嫌いにならないでください―井上達夫の法哲学入門』の続編で、前著で反響のあった憲法・安全保障問題に関する著者の考え方について、誤解を解き、批判に応答することにより、その趣旨をさらに明確にして再擁護することを目的としている。
    憲法第九条は文言上絶対平和主義を採用しており自衛隊は違憲な存在であるという認識のもと、現在の日本の護憲派は、憲法を尊重するふりをしつつ、九条を裏切る自衛隊と日米安保の存在にこっそり便乗する、ないし、それを容認しさえする、憲法論的欺瞞を抱えており、改憲派よりも憲法に対する罪は重いとする。そして、憲法第九条の今後のあり方について、「最善」は、九条削除であり、具体的には、安全保障戦略の基本は憲法で凍結すべきではないが、「どのような戦略が選ばれようと、それが乱用されないための戦力統制規範は憲法に入れろ」という意見だとし、国民が無責任な好戦感情にあおられないための歯止めとして「徴兵制+良心的兵役拒否」も組み込むべきだと主張している。「次善」は、護憲的改憲、「三善」は、保守的改憲発議、「最悪」は何も変わらないことだとしている。
    自分は、憲法解釈としては、著者の考えは基本的に間違っていないと思う。ただ、「修正主義的護憲派」と本書で言われている従来の内閣法制局的な解釈も成り立つ余地はあり、そうであるならば、確かに限定的な集団的自衛権容認も違憲ではないという結論になるだろう。そして、今後の憲法第九条のあり方としては、著者は「次善」としている護憲的改憲が望ましいと考える。自衛隊がこれだけ定着している以上、憲法第九条第一項の趣旨は維持しつつ、自衛隊を憲法にきちんと位置付けることが、立憲主義の精神からも必要だと考えるからである。

  • 前作に引き続き、憲法を巡る諸問題を論じています。
    前作よりも9条の問題にフォーカスしているので、その主張が明確に感じられるなっていますね。
    9条があるから侵略されない、というような主張の間違いが明確に理解できます。
    護憲派こそ改憲を主張すべきという主張がしっくりきます。

全15件中 1 - 10件を表示

憲法の涙 リベラルのことは嫌いでも、リベラリズムは嫌いにならないでください2のその他の作品

井上達夫の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
トマ・ピケティ
アンソニー・B・...
ジャレド・ダイア...
國重 惇史
有効な右矢印 無効な右矢印

憲法の涙 リベラルのことは嫌いでも、リベラリズムは嫌いにならないでください2はこんな本です

憲法の涙 リベラルのことは嫌いでも、リベラリズムは嫌いにならないでください2を本棚に「いま読んでる」で登録しているひと

憲法の涙 リベラルのことは嫌いでも、リベラリズムは嫌いにならないでください2を本棚に「読み終わった」で登録しているひと

憲法の涙 リベラルのことは嫌いでも、リベラリズムは嫌いにならないでください2を本棚に「積読」で登録しているひと

憲法の涙 リベラルのことは嫌いでも、リベラリズムは嫌いにならないでください2の作品紹介

改憲派も護憲派もウソばっかり!立憲主義とは何か。民主主義とは何か。日本を代表する法哲学者が吼える。読書界震撼の「リベ・リベ」、第2弾!

ツイートする