スノーデン、監視社会の恐怖を語る 独占インタビュー全記録

  • 毎日新聞出版
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感想 : 13
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  • Amazon.co.jp ・本 (191ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784620324104

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  • スノーデン監視社会の恐怖を語る 
    小笠原みどり 毎日新聞出版


    地球上で最大の恐怖組織を相手に内部告発へと踏み切った
    英雄らしからぬ沈着冷静な一匹狼の周到な頭脳とユルギのない心に感動
    読むほどに事実は小説よりも奇なりを実感し
    利己心に目がくらんで搾取する依存以外に生きる価値を見いだせなくなった
    人間の浅ましい姿を垣間見ることになる

    これほど頭の回転が素早く巧妙なのに何故一歩下がって世界を俯瞰できないのか
    どう考えても不思議だけれども
    一度振り向いた過去の知識と知恵から抜け出せずに井の中の蛙に閉じこもっている
    これが彼らのあわれな現実なのである

    不安に怯えてパニクッタ火事場の馬鹿力は冷血この上なく凄まじい暴力となって
    執拗にイジメとカツアゲとイタブリに癒やしを求めて何千年と
    世界制覇を企てながら生き延びてきたのである
    権威ある存在であるほど悪魔が天使の衣を羽織る影で警察国家を操る存在だということだ

    今では咳払い一つで側近共が忖度して人より先んじて汚い仕事を率先して果たし
    タナボタの利権を献上してオコボレを頂く秩序とシキタリと監視システムが行き渡り
    信頼関係を壊された市民同士が裏切り合う
    少しでも頭を上げて首を出したり流れを乱せばたちまち通報される監視社会
    自尊心や自律心や哀れみや対等観や全体観を持とうものなら徹底的に
    アメとムチで洗脳されるか殺されるかのどちらかであることを理解することになる

    勿論監視社会から抜け出すにはどうすれば良いのかという問題が大事である
    対立と疑い合うことこそが彼らの罠だと気付き過去に溺れた依存心を跳ね返す勇気を持ち
    前後左右を見渡せる今を捉え直してお互いの存在を認め合い
    対等観と自在性による民主主義を目指すことである
    不安恐怖におびえさせられて分裂してしまった市民同士が信頼関係を取り戻すために
    自主的に一人ひとりが全体観を求めて視野を広げ切磋琢磨できる仲間を創ることである

  • すごい本と出会った。
    一般庶民、世の中の動きをしっかり見つめていって、ひとりひとりが意識を深めて、平和を守っていかないと、という思いを強くした。
    ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
    堀田善衛の発見 (略)
    堀田は「疑心暗鬼、悲惨というほかない」と嘆いている。日本中が空襲で焼野野原になりつつあり、敗戦が避けられない状況になっても、戦争の指導者たちには「九十九パーセントの国民の苦難など、痛快なほどに無視されている。テンから問題にもされていない」

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    この言葉がとっても痛いし、重い・・。


    <本から>
    「日本で近年成立した(特定)秘密保護法は、実はアメリカがデザインしたものです」

    1972年の沖縄返還にまつわる密約のように、これまでも日本の政治には重大な秘密があった。沖縄の施政権変換交渉では、日米高官が日本側の巨額の支払い(2億ドル以上)を秘密裏に約束し、核持ち込みの可能性も残した。この密約を暴いた毎日新聞の西山太吉記者は、情報提供したとされる外務省の女性事務次官とともに国家公務員法違反の疑いで逮捕された。 (略)
    世間は密約よりも記者の醜聞にとびついた。密約報道は見事にかき消され、人々が世論操作に乗せられたことはごく最近までほとんと反省されなかった

    特定秘密保護法が国家公務員法(一年以下の懲役または50万円以下の罰金)を上まる厳罰化によって、公益のために政府の違法行為を知らせようとするスノーデンのような内部告発者を封じ込めれば、真実はさらに衆目から遠ざかっていく。真実を窒息させるのが特定秘密保護法なのだ。

    あなたのメールも集められている

    日本人を含む非米市民は米市民以上に電話やネットの情報を米政府に収集されやすく、日本の私たちの情報は令状なしで収集されているのだ

    政府はよく監視について『隠すことがないから恐れることはないだろう』と人々に向かって言います。このフレーズは実はナチスのプロパガンダから来ています。けれどプライバシーは何かを隠すためにあるのではありません。プライバシーはなにかを守るためにある。それは個です。プライバシーは個人が自分の考えを作り出すために必要なのです

    権力との対立を避け、内向きに耳に心地よいニュースに縮こまっていく日本のメディアと、遮断されたスノーデンのニュースのアぢ打にはおそらく関係がある。そしてスノーデンの暴いた真実が日本で報道されないのは、本人の言うとおり、とても危険なことなのだ。

    戦時中の日本を生きた作家、堀田善衛の発見 (略)
    堀田は「疑心暗鬼、悲惨というほかない」と嘆いている。日本中が空襲で焼野野原になりつつあり、敗戦が避けられない状況になっても、戦争の指導者たちには「九十九パーセントの国民の苦難など、痛快なほどに無視されている。テンから問題にもされていない」

著者プロフィール

ジャーナリスト。元朝日新聞社会部記者。2004年、米スタンフォード大学でフルブライト研修。08年、カナダ・クイーンズ大学大学院修士課程(社会学)修了。単著に『世界中のひまわり姫へ――未来をひらく女性差別撤廃条約』(ポプラ社)、共著に『路上に自由を――監視カメラ徹底批判』(インパクト出版会)、共訳書にD. ライアン『監視スタディーズ』(岩波書店)など。

「2012年 『共通番号制(マイナンバー)なんていらない』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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