- Amazon.co.jp ・本 (225ページ)
- / ISBN・EAN: 9784621050408
作品紹介・あらすじ
蔵書印を使う習慣のない西欧では、自分の名前を入れた美術小版画を作り、本の見返しに貼って蔵書であることを証した。この美術紙片を蔵書票という。日本では明治期に移入して以来100年、今まさに蔵書票の黄金期を迎えている。とりわけ浮世絵の伝統をもつ多色摺りの日本の書票は、技法とともに世界的に愛好されている。本書は、本を愛するすべての人のために、文化史的な側面からその魅力を探り、書票文化のあり方を問うものである。
感想・レビュー・書評
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「蔵書票」というものをご存じだろうか。
残念ながら私も実物を見たことがない。
本書には、モノクロながらたくさんたくさん登場する。
装丁や奥付、書体好きなひと、何より愛書家の皆さん「蔵書票」の世界へようこそ。
歴史や流行、種類や作り方・貼り方まで教えてくれる。
表紙を開いた見返し部分に貼られる、所有者をあらわす小さな紙片のこと。
一般的なサイズは免許証や履歴書に貼る写真ほどで、多くは版画制作だ。
英語圏では「Bookplate」、ヨーロッパでは「EXLIBRIS(エクスリブリス)」というラテン語起源の名称で呼ばれていたりする。
通称「紙の宝石」。もう一度言うけど、「宝石」。。。
そう呼びたくなるほど美しい。
いわば凝りに凝った所有者だけの切手のようなもの。
「エクスリブリス」という文字が入る場合が多いが、他にも所有者名やメッセージがデザインの中に巧みに入り込み、かつ本の内容を損なわないようにひっそりと魅力を放っている。
和紙の文化が早くからあった日本では、その柔らかさに「蔵書印」がよく合った。
硬い皮から同じように硬い洋紙へと進化した西洋では、「エクスリブリス」を貼るのが都合が良かった。誕生は15世紀中頃のドイツで、活版印刷が発明される前。
手写本の時代から紋章や格言などを入れた手書きの「蔵書票」は存在したらしい。
かたや日本では明治中期に誕生している。
印刷技術の導入と共に版画制作機能がうすれ、バラバラになった職人たちが中期の古美術複製運動で集められて「創作版画」を始める。
浮世絵版画伝統の最後は「創作版画」としての芸術的な「蔵書票」だった。
以来、版画に適した木の種類も多く、和紙に多色刷りという希少性と美しさで日本製の「蔵書票」は世界中から垂涎の的であるらしい。
著者はここで何度も警鐘を鳴らす。
デザイン性ばかりに重きを置いた中身のない蔵書票が増えたと。
単色刷りで一見地味でも、西洋のそれには金言やモットー、神への賛美や「いましめ」「たしなみ」などが美の中に込められていたと言われる。
神話や寓話、比喩・風刺などの類をもっと入れたら、深みが増すだろうと言うのだ。
92年の本なので、その後は進展したのだろうかと検索してみた。
綺麗なもの・可愛いものは多いがそれに該当するような作品には出会えない。
ここはひとつ、子ども用の「蔵書票」で新境地を開いてみてはどうだろうか。
「赤ずきん」や「ピーター・ラビット」「ぐりとぐら」などの人気キャラで彫る。
そこに「いっぱい読もうね」「愛書家育成票」などのメッセージを入れてみては。
平凡なアイディアしか出ない私だが、とっくにどこかで制作されていることだろう。
本書にも「武井武雄さん」の切手型蔵書票が登場している。
3匹のトラさんが行進している、それはそれは可愛いものだ。買えるものなら買いたい。
蔵書票というものを始めて知るという方に、最適の入門書。
「日本エクスリブリス研究所」の連絡先も載っている。
「本泥棒」を読む前なら☆5つだったんだけどな。このタイミングが惜しい。 -
再購入。西田書店にて。
忘れてしまった、とあるラテン語の一節を調べようと思い再購入したのだが…、アレ?載っていない?
アレ?なんの本だったのか。
とはいえ当時は気がつかなかった内田魯庵や武井武雄、石井柏亭と蔵書票の関係をを知ることができたので、良しとしなくては… -
紙の宝石、蔵書票とは何か?
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蔵書票――蔵書印の親類――の入門書。蔵書票の歴史や、発展の経緯から作成技法まで一通り解説している。読むと蔵書票を作って本に貼りつけたくなるだろう。ブックカバーや蔵書印にこだわるような人にお勧めしたい。
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ほとんど、「蔵書票研究」と言ってもよいほどの本。蔵書印と蔵書票の違い、西欧と日本との「書物」と人との関り方、印刷技法、分類法、などについて、まずは基本的文献としても。蔵書票に憧れて、自分専用のそれが欲しい、などと考えたこともありました。でも、蔵書票「EX LIBRIS エクス・リブリス」とは、「(out of the) Books, of (from)...」という意味のラテン語だから、本来はその後に所有者の名前が「誰それの」という所有格に活用した形で記されなければならないのです。だからむしろ今は、「誰それ蔵書」といったような、古来からの蔵書印が欲しいなあ、と思っています(「欲しい」ってのは変わっていないのだった・・・)。棟方志功自作の「志功蔵書」なんて、素敵です。ともあれ、白黒ですが図版も多く、楽しめるし知識も増えます。蔵書印が捺してあったりサインが記されていたりすると売り飛ばすときの古書価に影響する、とかケチなことを考える人には無縁の書物かな、どうかな。
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本に固執するのではなく、本と共に生きるための符牒、の様なもの。
ありがとうございます!
「御書印プロジェクト」は知りませんでした。
何だかワクワク。こういうの、大好きです。
私が良くい...
ありがとうございます!
「御書印プロジェクト」は知りませんでした。
何だかワクワク。こういうの、大好きです。
私が良くいくところもありました。
ご当地ものという意味合いで風景印と似ていますよね。
もっとよく見てみます♪
切手の話とお手紙の話は誰か止めてくれないとずううっと話してます(*'▽')
いまどき年賀状も手書きですもん(笑)
このような試みで、最寄りの本屋さんが少しでも潤ったら良いのですが、、、
このような試みで、最寄りの本屋さんが少しでも潤ったら良いのですが、、、
ああ、本当にその通りですね!
脳内で「ひとりスタンプラリー」を展開してました(笑)
どのお店からまわろうかなって。
購入...
ああ、本当にその通りですね!
脳内で「ひとりスタンプラリー」を展開してました(笑)
どのお店からまわろうかなって。
購入した本を入れるトートバッグも、店舗独自のがあればいいのにと、いつも思います。
レジ近くに置いてありますが、割とよくあるデザインのものなんですよ。惜しい・・