論争と詭弁: レトリックのための弁明 (丸善ライブラリー 297)

著者 :
  • 丸善出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (185ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784621052976

作品紹介・あらすじ

レトリックとは本来、危険で、狡猾で、邪悪な技術である。雇い主のためなら、たとえ「正しくない」ことでも「正しく」論証してしまいかねないような技術なのだ。この本は、現在あまりにも偽善的な評価によって正当性が認知されつつあるレトリックを、その居心地の悪い「陽のあたる場所」から救い出し、再びそれにふさわしい日陰者の位置に追いやろうというこころみである。

感想・レビュー・書評

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  • 二章はくどかったけど、それ以外は為になった。

  • 詭弁の仕組みを理解し、相手を論破するための技術書と思い購入しましたが、いい意味で想像していた内容と違っていました。
    本書によれば、レトリックとは一般的通念や常識に反する判断を論証する際のテクニックであり、レトリックそれ自体が本質的に詭弁を性向するものらしい。幾つかの事例を挙げて、レトリックがどのように常識に反する判断の論証として使用されているか取り上げ、そのポイントを解説する、といった本です。
    一つ一つの事例が、教科書の例文のような血の通っていないものではなく、現実味のある詳細なエピソードで描かれているので、非常に分かりやすく、読み応えがありました。

  •  レトリックは身近な存在です。
     多くの人は気づかないうちにレトリックを使い、使われています。これは言葉を使う限り常に付きまといます。

     本書は、レトリックの様々な側面を、レトリックの使い手を分析することによって示しています。そのため、ある種の「修辞(=レトリック)学史」のような構成になっています。また副題の「レトリックのための弁明」は、陽のあたるところにあるレトリックを再び闇の世界へ追いやることを目的としていることからきています。そのため著者は「闇の修辞学史」とも称しています。

     世の中に溢れているレトリックに振り回されないためにも、本書を手にとって、レトリックに触れてみてください。手に取った後に、実践はできなくとも、レトリックの存在を認識し、興味を持ってもらう一助に本書はなると思います。

     香西さんの本は、本書のほかにも面白いものが多いので、ぜひ読んでみてください。特に、『レトリックと詭弁:禁断の議論術講座』、『議論入門:負けないための5つの技術』が個人的におすすめです。さらに興味を持った人は佐藤信夫『レトリックの感覚』・『レトリックの記号論』などを手にとってみてください。


    本書の目次は以下の通りです。

    序 レトリックはその本性によって「詭弁」を志向する
    第1章 「自分を恋している者よりも恋していない者にこそ、むしろ身をまかせるべきである」
    第2章 「修辞学の教師たちは前代未聞の狂気にかられているのではないでしょうか」
    第3章 「興奮するな。質問し続けるがよい。そうすれば彼らは答弁することであろう。」
    第4章 「この桁外れの人物は本当に”実在”したのか」
    あとがきにかえて レトリック教師の報酬について

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    香西秀信『論争と「詭弁」:レトリックのための弁明』
    所在:中央館2F 請求番号:801.6//Ko98
    【OPAC:https://opac.lib.niigata-u.ac.jp/opc/recordID/catalog.bib/BA4227188X?hit=3&caller=xc-search

  • 香西秀信著『論争と「詭弁」:レトリックのための弁明(丸善ライブラリー)』(丸善)
    1999.7.20発行

    2016.10.31読了
     私は香西秀信氏の著書が好きで、その中でもこの本はマニアック層向けで、「レトリックはその本性によって詭弁を志向する」ことを実際の例から実証していくような内容になっている。
     レトリックは危険で邪悪な技であるからこそ魅惑的で、謎解きのような楽しさがあるが、実社会でも大いに役立つ学問だと思う。実社会では結論を誤ることの不可能な議論はいくらでもあり、その推論に詭弁が差し込む余地は大いにあり得る。議論の中身よりもレトリックに目を向けることで相手の立ち位置が観察できたりする。
     趣味と実益を兼ねたおススメの本。

    URL:https://id.ndl.go.jp/bib/000002806161

  • レトリックって言葉は聞いてるけど、どんなもんかなー、ということで搦め手から読んでみる。
    細かい評価ができるほど詳しくはないのだけど、まあ読み物として普通に面白かった。

  • 図書館でたまたま目に留まった一冊。大体は面白く読むことができたが第二章は複雑で、まだまだ楽しさが理解できなかった。今の世の中、詭弁は最も武器になることだろう。熱くなりがちな論争でいかに使用していけるか、物事の本質を考えて言葉を選んでいきたい。まずは算数の勉強が近道か。

  • 香西本の中でも上位に入る質なんじゃないかな。自分のことを「僕」と記述するところに著者の若さが感じられて、だからこその「意気込み」みたいなものが伝わる。

  • 勉強になりました。

  • 4つほど例を上げて語られているが,結局のところ何が言いたかったのが伝わってこなかったのは,議論がどういうものか知らない分かっていないからなんだろうか……?

  • 福澤一吉氏(『議論のレッスン』)推薦。
    「序 レトリックはその本性によって『詭弁』を志向する」は必読。
    通念や常識に一致する自明の判断は、論証を必要としないし、また論証を不可能にもしてしまう。論証を必要とし、かつ論証が可能なのは、通念や常識に反する、何らかの「疑わしさ」をもった判断である。(http://j.mp/aBpjbm

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著者プロフィール

1958年香川県生まれ、筑波大学第一学群人文学類卒業。同大学院博士課程教育学研究科単位修了、琉球大学助手を経て、現在、宇都宮大学教育学部教授。専攻は修辞学(レトリック)と国語科教育学。著書に『反論の技術』『議論の技を学ぶ論法集』『修辞的思考』『論争と「詭弁」』『議論術速成法』『論より詭弁』『論理病をなおす! 』など。

「2010年 『レトリックと詭弁 禁断の議論術講座』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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