ボノボ―謎の類人猿に性と愛の進化を探る (丸善ブックス (059))

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著者 : 榎本知郎
  • 丸善 (1997年3月発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (228ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784621060599

ボノボ―謎の類人猿に性と愛の進化を探る (丸善ブックス (059))の感想・レビュー・書評

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  • 1997年刊行。著者は東海大学助教授。◆ヒトとチンパンジーの夫々の祖先との分岐が、本書では500万年前(700万年前との説も)とされる中、そのチンパンジーと150万年前に枝分かれしたボノボ(ピグミーチンパンジー)。本書はボノボの観察から導かれる特異な生活スタイルを、ヒトや他の類人猿との比較を交えながら解説しつつ、さらに、ヒトの家族や社会構造の端緒に関する考察を補足的に開陳する。◆後者は説明も簡潔なので、多少引いた目線で見た方が良いかなぁ。また、擬人化は回避したいとしながら、そうなりがちなのはご愛嬌か。
    ◆勿論、セックス好きなボノボの特性は、いつ読んでもクスクスしてしまう。真面目な言い方をすると、挿入を伴わない性交・繁殖を目的としない性交が、社会関係の宥和と闘争感情の鎮静化に繋がっている点に、ボノボへの興味を魅かせるのだ。◇宥和性の例として、集団間の闘争がチンパンジー等よりも極小。◇チンパンジーやゴリラで見られる子殺しの例は皆無。◇劣位雄に交尾を譲る優位雄の存在など、繁殖行動における雄の優劣が明確ではない。時に、劣位雄と交尾する雌の邪魔をすると、体格的に劣る雌に優位雄が攻撃を仕掛けられる始末なんぞは爆笑。
    ◆インセストタブーになりそうな事例も。繁殖能力未達の子供雄が母、あるいは母とホカホカする大人雌と交尾するのは吃驚。◇同性愛、特に雌どうしの性器の擦りつけあい(=ホカホカ)が頻出。かつ表情でオーガズムに達しているのは推測可。◇餌を分けさせるため雄に媚びを売り、交尾させる雌等。◆類人猿の言語研究(アイ・アユムも例?)での手話の限界。「メッセージ」の交換・意思疎通という記号学的課題へシフト要。◆動物行動学、特に類人猿研究の進展前の、人類の家族・社会形成学が不充分な点は本書の指摘でよく判る。
    ◆なお、ボノボに限らず類人猿一般に、マウンティングが個体優劣を確定させるものとは限らない点は新奇。上が劣位雄の場合もあるらしい。

  • ボノボはその性のあり方が特徴的なサルだ。彼らの社会では、成熟したオスとその母親以外のありとあらゆる組み合わせの性行為が存在する。同性どうし、近親どうし、大人と子ども、子どもどうし…。ボノボの前には、生物学を根拠とした人間の性タブーなどもろくも崩れ去る。

    ボノボは、社会的宥和の手段として性を活用する。群れの緊張が高まったとき、険悪な空気になったとき、彼らは性行為をする。オスの食べているエサが欲しいとき、メスはセックスと引換にそれをもらう。それによって、彼らはよく似た同族であるチンパンジーよりもはるかに平和な社会を保っている。

    オスが権力を持つチンパンジー社会は、殺伐とした一面を持つ。裏切り者は集団で殴り殺される。群れに移籍してきたメスの連れ子は、殺されて食われる。一方、ボノボのオスはマザコンだ。そこでは母親が権力を持つ。ボスの座をめぐるオスどうしの争いも、最後は双方の母親が決着をつける。

    ボノボは、500万年ほど前にヒトの祖先と分かれた、もっともヒトに近い類人猿の一種である。言い換えれば、ヒトの進化における別の可能性である。性をタブー視しつつ殺し合いの歴史を刻んできたヒトと、性で互いの関係を宥和しながら同族殺しのない社会を築いたボノボとの対比は面白い。

  • ヒト以外で唯一、生殖目的でないセックスをする動物、ボノボという猿の生態について

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