クモはなぜ糸をつくるのか?

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制作 : 宮下 直  三井 恵津子 
  • 丸善出版 (2013年6月29日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784621086384

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クモはなぜ糸をつくるのか?の感想・レビュー・書評

  • クモが作る糸を手掛かりに、その歴史を紐解いていこうという1冊である。生態や分子生物学、進化生物学の知識を絡めながら、長きに渡って、多種の仲間を生み出してきたクモの生き方に迫る。

    クモといえば特徴的なのは糸を作るところだろう。さらに、多くの人が思い浮かべるのは、放射状の縦糸と螺旋状の横糸が織りなす、円形の網だろう。蜘蛛の巣模様といえば、この形である。

    クモは、その始祖から数えれば、実に4億年という長い長い歴史を持つ生きものだという。さらに確認されただけでも4万種という多くの仲間を持つ。
    クモは当初から、円形網を作っていたわけではなかった。
    初期のクモは巣穴に住み、糸で落とし戸を作る。ここを通りかかった獲物の振動を感知して、さっと飛び出して餌を捕える。落とし戸はまた、捕食者から身を守るのにも役立つ。
    少し進化したものは、糸で作る構造物を高さのあるものにしていった。地上に管状のものを立てれば、地中にいるよりも、餌を感知できる範囲が増える。

    クモは強度や粘着性・伸縮性といった面で性質の異なる何種かの糸を作る。種類が異なる糸は、それぞれ別の器官(腺)で作られる。糸はタンパク質製であり、種によって微妙な違いがある。
    進化の過程で、これらのタンパク質の強度や伸展性に変化が生じていった。近年、DNAレベルでの解析が進み、アミノ酸の反復が一種のバネを作り出していることが明確になってきた。
    よく知られる円形網の出現には、糸の強度の増加が不可欠だったと考えられる。

    クモはその糸を捕食のための罠として、身を守る盾として、移動の手段として、または卵を守る袋として利用してきた。彼らは糸とともに進化を遂げ、多様な種を生み出してきたのである。
    嫌われることも多いクモだが、不思議で魅力的な生きものである。


    <参考>
    ・『クモの網』(船曳和代、新海明:INAX出版)
      クモの網の写真集。
    ・『シャーロットのおくりもの』(E.B.ホワイト:あすなろ出版)
      クモと子ブタの友情を描く児童文学。作者・ホワイトはクモの生態について、かなり調べていたようだ。
    ・『虫と文明』(ワルドバウアー:築地書館)
      クモからはちょっと離れるが、糸=シルクを作る生きものについての章がある。


    *サイエンスライターとクモ学者の共著である。読み物としても読みやすく、科学的にもわかりやすく、というところを狙っているのだろうとは思うのだが、その試みが完全に成功しているか、というと素直に頷けない。DNAに関する背景知識は、知っている人には冗長だし、門外漢の人には果たしてこれで十分なのか、よくわからない。また、糸の種類は一覧表にするなどして示してもらった方がわかりやすかったと思うし、典型例でよいので、それぞれの糸を作る器官を示した解剖図があればよかったと思う(さらに、原著とは関わりないことだが、訳文の校正が十分でないと思われる箇所が散見されたのもいささか残念だった)。
    おもしろい素材だが、読みやすくわかりやすく仕上げるというのは、なかなか大変なことなのだろう。

  • 久しぶりのノンフィクション。

    クモは節足動物から進化してきた。しかも4億年も前から出現していたそうだ。
    その繁栄に糸が関係しているのではないかという視点から、進化論、染色体の話など徐々にディープになっていくのだが、見慣れない言葉が飛び交うとどうも頭が拒絶反応をおこしてしまい、そのたびに読書が中断されてしまった。
    「絹糸腺」、「大瓶上腺糸」とか「ブドウ状腺」、「ナシ状腺」とかどういったものか想像できない。
    (そのうち「リンゴ状腺」「ミカン状腺」とかでてくるのでは。)
    図や写真もところどころあるのだが、もう少し初心者にもわかりやすい解説をお願いしたいところだ。
    と書いたものの、訳者あとがきによれが本書は「学術書」であるらしく、それであれば仕方が無いかと納得。
    結局、蜘蛛の糸は糸タンパク質のアミノ酸で構成されていることがわかった。アミノ酸の配列まで判明しているのに、なぜ人工的に作れないのか、その理由については本書には記述されていない。

  • 【配置場所】工大選書フェア【請求記号】485.73||B【資料ID】91132542

  • 分子生物学からみてクモの糸が興味深いものだということがよく分かった。

  • 1.化石
    2.生きている化石
    3.偶然と変化
    4.外へ、上へと向かって
    5.薄い空気を征服
    6.小さな変化、大きな利益
    7.回転し、走り、跳び、泳ぐ
    8.より広い空間へ
    9.因果関係
    10.どうやって騙すか
    11.「完璧」を越えて
    12.数限りない種類

  • 和図書 485/B78
    資料ID 2013101621

  • クモが地球上に現れたことが確認できるのは約4億年前の化石からで、当初は糸を出す能力はなく、その特殊な力を得るまで更に1億年の月日が必要だったようだ。そんなクモの糸をつくる能力について、進化論などを交えながら解説した本で、専門的な内容にも関わらず、とても平易で読みやすい1冊でした。そういえば蝶や蛾の幼虫も口と腹の違いはあれど、糸をつくりますね。クモと昆虫が分化したのち、ほぼ同様の能力を別々に進化させたと考えると、なかなか興味深いです。

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