夜と霧――ドイツ強制収容所の体験記録

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制作 : 霜山 徳爾 
  • みすず書房 (1985年1月23日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (216ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784622006015

夜と霧――ドイツ強制収容所の体験記録の感想・レビュー・書評

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  • とてもよくない事が書かれているが、ところどころにあるフランクル医師の客観的な思考で救われる。
    心打たれたのは、「何人も不正をする権利がないという事、たとえ不正に苦しんだ人でも不正をする権利はないのだ」とアウシュビッツから数々の奇跡で生還した人が言うとは、頭が下がる想いです。
    世間では、「10倍返し」だともてはやされていますが、大事な事は、権利を行使することであって、その権利は、決して不正の上に成り立ってはいけないという事。なぜならそれを行うと、不正を働いている人と同じになってしまうから、正義を逸脱した権利を不正というのだから。
    身近なことで感じるのは、隣の人が道でつばをはいたからといって、自分もつばを吐いてもいいという事には、ならないはず。
    それが、正しいか、不正かは、隣の人がやっているから、多くの人がやっているから、あの人がやっているからといって、正当化されるものではないはず、正か不正かは、それぞれの人の心にあって、決してそれは他者には見せたり、さらしたりできないものである。

  • この本にはユダヤ人精神科医であるフランクル博士が収容所に収監され、解放に至るまでの実体験が書き記されている。生き地獄のような体験談の数々に、読むことが嫌になってしまうかと思ったが、博士が学問の立場から感情的に描写しないよう努めて書いて下さっているので、その心配はなかった。
    読んでみようと思ったきっかけは「一度は読んでおくべき名著」としてWEB上で紹介されており、これほどの読書体験をしたことがない、とまで評されていたからだ。結論から言えば確かにその通りだった。特に胸を打ったのが次の文章である。
    これは博士があるときガスかまどに送られずに済んだ時の感情について書いたものだ。
    『(前略)すなわち苦悩はそれが大きかろうと小さかろうと、どちらにせよ人間の心、人間の意識を満たしているのであった。(中略)人間の苦悩の「巨大さ」も全く相対的なものになるのであり、他方それ自身は極めてささやかなことも最大の喜びをもたらし得るのであった。』
    ざっくりまとめると、『死への苦悩があるから同時に生への喜びを感じることができた』と博士は言っているのである。
    (おこがましく感想を述べて恐縮なのだが)収容された人々の日常における全ての時間が苦悩一色だったわけではなかった。これには大変驚いた。少なくとも博士は上記のように生の喜びを激烈に感じて過ごしていたことが分かったからだ。博士は財産や名誉、家族を奪われたが、喜びを感じる自由は奪われなかったのだ。だから最後まで生き残ることができたのだと思った。
    生き残った博士がナチスを恨むのではなく「もう二度とこのようなことがおこらないように自分ができること」として後世に遺して下さった本なので、絶望の先に希望も感じられる一冊だ。壮絶過ぎて、現実味が感じられないという点も否定できないが、新訳版も出版され読みやすくなっているので、機会があればぜひ読んでいただきたく思う。 (T.A)

  • 「夜と霧」新版、とか、なんの本か知らなかった・・
    らナチスかあ
    苦手なんだよなあと思いながら有名な本らしいので読んでみました

    収容所体験記なんて、読まなくてもどんなもんかわかる・・と思ってたら
    甘かった・・

    想像して、なんとなく知ってたより
    何倍も何倍も何倍も
    悲惨だった

    悲惨すぎて読みたくなかったけど我慢して最後まで読みました。

    小さい頃からなんだろうなあ
    映画とかかな
    「なんとなく」知っていたナチスドイツの暴虐の限り
    数とか一部の悲惨さしか知らなかった

    まさかここまでだったとは・・

    大人になって耐性ついたからこそ、読んでよかった。
    ここまでやれる人間が信じられないし、
    それに耐えられたひとたちもなんともいえないけどすごい

    こういうことが止められずに行われていたってことがショックだし
    若い人にも読んでほしいなーと思った

    最近原爆の絵本や写真集もなんとか見れて、想像してた通りの悲惨さだったけど、
    ナチスドイツのことはよく知らないで知ってるつもりになってから
    いい機会だったのかも

  •  精神科医V・E・フランクルがアウシュヴィッツの実体験を振り返りながら人は何が大事かを説いていく。

     アウシュヴィッツでの極限の中で人間の尊厳を失わなかった人々。極限の体験を通してどういう人間の心理的なメカニズムが働くのかという事実ではなく、人間はどんな価値を持って生きていくことができるかという意味を扱っていることがこの本の大きな意義だと思う。
     生きるのに必要なことは生きる意味であり、いかなる苦しみもそれを消すことはできない。実存主義の大きな芽としてこの本の価値は計りしれない。

     世界の思想に大きな影響を与えた一冊。 

  • 本当にびっくりするほどに、僕たちが生きていて当たり前に、ゆわれていることが書かれていた。
    希望を持つとか、ポジティブとか、ユーモアとか…それが経験として、読者にこびりつく。

    そこからさらに、推し進めて、深く掘り下げられた、俺たちの生きる意味があるとゆうこと。一瞬にそのことに。
    もう一つは、自分が期待するのではなく、期待されるとゆうこと。そのコペルニクス的転回の記述が特に印象的だった。
    期待されることは、人生に期待されること、その会社に期待されること、親に期待されることと発展する。自分が期待するのではない視点に立つことが書かれており本当に感動した。期待されるゆえに、人は自殺をしない。
    それぞれの、自分の考えや思いに気持ちは大切で、かけがえのないものとゆうことも感動した。
    みなさん現実に討ち滅ぼされてはいけません。現実を受け入れつつも、私たちは、自分のかけがえのない気持ちを大切にして、ユーモアやポジティブに希望を持って生きましょう。
    本を好きな方は、こんなこと必要ないかな、あはは
    本1000冊以上読んだのに、どこにでもあることしか言えない、あはは

  • 以前から気になっていた本書を図書館で見つける。
    一気に読むには内容が重すぎ、しばし休憩を挟みながら読了。
    ナチスドイツにおけるアウシュビッツ他の収容所で行われてきたホロコーストの惨劇の実態が前半の解説で記され、中盤以降は、精神医学者であったフランクル本人が実際に囚人として労働を強いられていた際に、その集団の内側から分析した、極限状況における、囚人・カポー(囚人の監督者)他の心理状況を記述する。
    フランクルが言いたいことは、『生きる意味』を探したって無意味であり、『ほんの些細なこと』に少しでも幸せを見出す術をどう磨いくかということではなかろうか。

  • 著者の主張は終盤の7~8章に詰まっていて、自分なりにまとめると「強制収容所でもすべての囚人が人間性を失うわけではない。人間の尊厳を守る自由はあった。実際すばらしい人を多く目撃した。尊厳には人生の意義が必要で、未来に目を向けられるかが重要だった。一方で、苦悩や死すら人生の意義になり得た」
     
    苦悩に直面する人を静かに励ましてくれる。もはや強制収容所に限った話ではなかった。これは良い本。
     
    冒頭70ページの解説と多くの写真は強制収容所の実態を知るのに有用だったが、邦題を「夜と霧」としたのは悲惨さが強調されてしまい、むしろ著者の主張がぼやけると思った。

  •  人の命の軽さは現代でも変わらない。中道で、アフリカで、中国で虐殺が今でも行われている。
     人の命は尊いという考え方が世界標準になったのは、せいぜいここ100年ほどの話ではないだろうか。
     ヨーロッパで、太平洋で、世界のいろんなところで戦争があって、もうこりごりだよね。さすがにやめようよ、となって人の命は大事ですね。となったと思う。

     虐殺の代名詞といえば、アウシュビッツ、南京、ルワンダをパッと思いつく。虐殺の共通点は、民族間という点にある。
     ある民族同士が対立し、そのパワーバランスが均衡しないときに徹底して虐殺が行われる。

     本書はアウシュビッツが悪名高いナチによる強制収容所に送り込まれたユダヤ人心理学者の体験がつづられている。
     アウシュビッツだけで三百万人、全ての収容所では少なく見積もって六百万人が殺された。

     飢餓と強制労働で弱った者からガス室に送られ、死体はかまどで1kgの灰になる。
     ガス室からかまどへまでへの効率的なシステムに人間が組み込まれ、そこに個々人の感情が入り込む余地がない。なぜここまで非人道的な虐殺が行われたのかは、システム化にあると思う。

     そのシステム化された収容所の中では被害者側も徹底的に無感情を強いられる。自分や、友人家族が生きるために他人に対して徹底的に冷たくなれる。

     その中であっても、著者が自分の感情を保ち続けていられたのはなぜか。極限状態の中の人間の心理を、心理学者自らの体験から綴る。

  • 何度も読み返す本です

  • じっくり読みたい本。
    人が追い込まれた時に、静かに読みたくなる本
    新版より文章的には、少々難しいが、心には響くかな。
    写真がある分、リアルさが伝わる。
    何度でも読み返したい本。

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