チーズとうじ虫―16世紀の一粉挽屋の世界像

  • みすず書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (314ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784622011965

作品紹介・あらすじ

16世紀イタリアのフリウリ地方に住む粉挽屋。その男の名はドメニコ・スカンデッラといったが、人びとからはメノッキオと呼ばれていた。白のチョック、白のマント、白麻の帽子をいつも身につけ、裁判に現われるのも、この白ずくめの服装だった。彼は教皇庁に告訴されていた。その肝をつぶすような異端のコスモロジー故に。彼は説く、「私が考え信じているのは、すべてはカオスである、すなわち、土、空気、水、火、などこれらの全体はカオスである。この全体は次第に塊りになっていった。ちょうど牛乳のなかからチーズの塊ができ、そこからうじ虫があらわれてくるように、このうじ虫のように出現してくるものが天使たちなのだ…」。二度の裁判を経て、ついに焚刑にされたメノッキオ。著者ギンズブルグは、古文書館の完全な闇のなかから、一介の粉挽屋の生きたミクロコスモスを復元することに成功した。それは農民のラディカリズムの伝統のなかに息づく古くかつ新しい世界・生き方をみごとに伝えている。

感想・レビュー・書評

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  • 16世紀の一農民(粉挽き)の宗教観・世界観を、宗教裁判の資料をもとに解き明かす。宗教裁判の様子も描かれている。平易ではなく、読み切るには集中して読む必要が(私には)あるだろう。

  • 神は空気であり、万物はチーズからうじ虫がわくように
    自然に発生したという主張をして逮捕された16世紀のイタリアの粉引き屋の話。

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