夜の合戦―16~17世紀の魔術と農耕信仰

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制作 : 上村 忠男 
  • みすず書房 (1986年6月発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (369ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784622012122

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夜の合戦―16~17世紀の魔術と農耕信仰の感想・レビュー・書評

  • 異端審問の記録から、中世のフリウリ地方において“ベナンダンテ”と自称した人びとの変性の過程を見つめる書。

    16世紀末、毎年決まった日に肉体を残し霊魂だけになって“夜の合戦”に馳せ参じ、不作や衰弱による早死を運ぶ魔法使いたちと戦って、豊穣をもたらし破魔をなす。
    胞衣にくるまって生まれてきたゆえの運命にしたがって農村社会の守護者として闘ってきた彼らは、しかしその後おおよそ半世紀のうちに、教会の「魔女」概念のなかに文字通り骨抜きにされながら吸収されていく。

    この本は全編をとおして異端審問記録や民間伝承の史料をあげて分析しているけれど、結論のようなものを述べる部分はあまりない。上述の変化については、冒頭ですでに明らかにされており、あとはそれを史料をあげて例証していくだけ、といった感じ。

    この点あまり釈然としないところもあるが、農村社会の人びとの間で受け継がれる心性のコンテクストのようなものとその変化を追うのはおもしろかった。

  •  題材が面白い、その一言に尽きると思います。
     内容は15~18世紀にかけて、主に北イタリアの地域で起こされた所謂“魔女裁判”の裁判記録を分析したものです。人々の奇想天外な世界観もさることながら、現代人や中世の知識人と中世の素朴な農民達の間に横たわるもどかしさが何だか面白いです。

     個人的にギンズブルグの文体があまり好きではないのでその分評価が厳しくなっています。おそらく1960年代の歴史論文というのは多かれ少なかれこういう風に書かないと認められなかったのだろうし、そういう環境でこれだけ斬新な論文を書けたというのは凄いには違いないのですが。

     全体的に冗長で、筆者が説得しようとしていることが何なのかがともするとわからなくなる文章(翻訳のせいかどうかはわかりません)。地域や時代ごとに証言にどんなキーワードが含まれるのかを概観できる表などがあれば、これだけのボリュームをかけなくても良かったんじゃないかと言う気がします。博士論文だから結論も微妙だし…。

     彼がどんな結論に達したのかが気になる場合は『闇の歴史―サバトの解読』を読めばいいかと思います。私は他の時代に目移りしてしまったのでまだ読んでないですが。

     彼が発見した異端信仰郡の根底にあったのが何だったのか、を考えるにはメソポタミアの多神教信仰や柳田國男が参考になると思います。思うだけですが。

  • カルロ・ギンズブルグの異端審問研究の処女作、一連の魔女狩りものの第一作目。

    本作では近世の北イタリアに存在した「べナンダンティ」と呼ばれるものたちに焦点を当てている。彼らの供述によれば、羊膜をかぶって生まれてきたものたちはべナンダンティとなる運命にあり、四季の斎日の夜、肉体を残して霊魂の状態となり、ストレーガと呼ばれる妖術師たちとの戦いに赴かなければならない、という。そしてこの戦いでべナンダンティが勝てばその年は豊作だけれども、敵対するストレーガが勝てば凶作になるという。

    このべナンダンティの信仰は古い農耕儀礼、民間信仰の名残で、合戦自体は夢の中で起こるらしいけれども、べナンダンティ当人たちはこの合戦の現実性(妄想や幻覚ではなく実際に起こる)をつゆほども疑っていない。

    すこぶる面妖、怪しくって面白い。
    ギンズブルグの歴史研究の方法論的問題なども解説できちんと説明されており、なかなかの良書。学術書だけれども、かたく身構えず普通に読めるのが非常に良い。

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