攻撃―悪の自然誌

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制作 : 日高 敏隆  久保 和彦 
  • みすず書房 (1985年5月1日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (392ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784622015994

攻撃―悪の自然誌の感想・レビュー・書評

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  • 本書はノーベル賞学者であり「ソロモンの指輪」の著者で、動物行動学の始祖の一人であるローレンツの名著であります。ただ僕は専門外の分野であまり理解が足りないの中でも人間と動物の類似点には驚きました。

    この本は読むのが本当に大変な代物で、僕自身もやっとこさっとこ読み終えたところであります。その内容はというと、動物行動学の権威である筆者の書き表した古典ということで、僕はそっちのほうはあまり詳しくはありませんが、現在では記述や学説が古かったり、また誤りもあるそうです。ただし、筆者の持つ豊富な経験に基づく鋭い観察力や、対象となっている動物に対する深い洞察力については、やはり驚嘆するべき箇所はいくつもありました。

    その中でも印象に残っているのはオオカミのオスが犬のメスに本気で攻撃されたときに、多少咬みつかれても平気な箇所を相手に差し出して、後は好きなように相手に咬みつかせていた。という箇所で、これを人間に置き換えてみると、やきもちを焼いた彼女にポコポコと殴られても本気で男性が女性を殴り返したり蹴り飛ばしたりすることが(良識的な範囲で)まずないだろうということが連想されたり、「平和の象徴」であるはずの草食動物が時に同種を残忍な殺し方で嬲り殺しにする、という箇所もショックを受けました。

    俗に「草食系男子」と呼ばれる方は暴発したときが恐ろしいんだ、ということを世の女性は理解していただけると、幸いに思います。

  • 「結論→理由:実証」ではなく、「帰納法的に、結論に至ったプロセス=実体験に基づく思考・仮説と実証を、読者にも体験してほしい」という体裁で書かれた本。

    読みやすくはない・・・まだ読了にいたっていないのでいったんここまで

  • 以下、抜粋メモ。

    第14章
    p361 
    攻撃性というものの性質について、わたしたちの持っている知識は、今ではまだつましいものであるけれども、それでもまったく利用価値がないとはいいきれない。知識というものは、もし何がうまくいかないかを教えてくれることができれば、それだけでも利用価値があるのである。

    「アグレディ(aggredi)」という言葉のそもそののそしてもっと広い意味は、課題や問題をとらえること、みずからを重んじることである。これがなければ下は毎日ひげをそることから、上は最も高尚な芸術的もしくは科学的創造にいたるまで、ひとりの男が朝から晩までに行う大部分の行為が姿を消すだろう。

    p371


    p374
    現代が無味乾燥で、青年が深く懐疑的であると嘆く人が多い。このふたつの現象はしかしながら、かつて人々ことに若い人々が完全にだまされた作られた理想、熱狂を解発するわなに対して反対するところの、それ自体健全な防御から発しているのだとわたしは信じるし、そうあってほしいと思っている。まさにこの無味乾燥状態を利用して、かたくなな不信につきあたったとき、数量的な証明によってあらゆる懐疑を無力化しうる科学の真理をすすめてはどうかと思う。科学は密教でもなければ魔法でもなく、簡単な方法で人に教えられるものだ。まさに無味乾燥な人たち、懐疑的な人たちこそ、証明可能な真理やこれにともなういっさいのことに対して熱狂いうるのだと思う。

  • 大学の課題図書として読み始めた
    見た目、目次からしてとっつきにくそうだが
    内容は見た目ほどは難しくない。
    もちろん私の理解はまだまだ筆者の意図ほどには及んでいない。
    なぜ動物は攻撃するのか、という一つの疑問をひたすら考えていく。

  • 生物がなぜ「攻撃」をするのかということをいくつかに分けて説明されている。衝撃的なのはカモにも同性愛というものがあり、それがとても強い繋がりであるということ。コウノトリが子供を判断するのは耳であり、耳が聞こえなくなると自分の子供でも関係なく殺してしまうこと。また、攻撃する相手が決まっている動物が何種類かいて、それらのオスはメスを攻撃しない。などといったことが書かれていた。
    最後の2章くらいは軽いまとめにもなっているそれまでの書き方とは違い著者が研究の末思ったことを書いているように思えた。二次大戦をドイツ軍内で過ごしてきたことからか戦争についても少しだけ触れられている。
    そこでは、戦闘がミサイルなどによって人の死が遠くなっていくことで、限度を忘れてしまうのではないだろうかという提示だった。本編の中にも普段攻撃をしない動物が攻撃を余儀なくされたときは捕食動物よりもえげつないものだと書かれていた。
    化学兵器や戦闘兵器が高機能になっていった現在。ローレンツが危惧したようなことになってしまったのだろうか。
    普通に読むだけでも面白い発見がある本だが、先ほど述べた最後2つの章は、それまでとは違い、堅苦しく書いていないためより印象深く読み込むことができると思う。

  •  ノーベル賞受賞者コンラート・ローレンツが様々な動物の行動から攻撃(悪)や道徳的な行動がどんなメカニズムで生じるかを説いていく。

     動物はただ闇雲に同種を攻撃するのではない。そこには様々な戦略があることをローレンツは説明していく。さらに攻撃が適切でない相手や状況では攻撃を止める行動を多くの動物が取ることもあげていく。それはまさに人間でいうところの道徳的な行動であり、笑顔を見せるなどの人間の親和的な行動も動物の攻撃を止める行動と関連しているとローレンツは説いていく。
     ある意味動物は私達が思っているより人間的であり、人間は自分で思っているより動物的であるとこの本は投げかけている。それは人間の価値を下げることを意味しない。私達はもっと謙虚に動物の行動から多くのことを学び、考えていかなければならないと感じた。

     動物行動学は文化人類学と並び人間に関わる仕事をする人が必ず学ぶ必要がある学問であると思う。

  • 私が読みたかったのはエドワード・ローレンツだったらしく、ローレンツ間違いだった。内容は動物の攻撃行動についてなど。ちょっと古典的な印象が否めない。

  • 自分てなんや?人間って何や?そう思う人には読んで欲しい。
    どうして人間は、同じ人間と争うことをやめないの? なんで愛おしかったあの人が、今は憎くて仕方ないの? 友情って何なの? どうすれば戦争はなくなるの? そんな疑問に、一石を投じてくれる。
    100冊に1冊、いや、それ以上の尊さを感じた良書。是非。

  • 110918 ようやく読了。あと3回は読んで、もっと深く理解したい。

  • 随分前に読んだ本である。動物は過度に同類を攻撃しない。優劣が付けばそこで攻撃をやめてしまう。ただ人間は過度に攻撃をして死に至らしめてしまう、というような内容だった記憶がある。
    今は雄サルの育児をしている雌サルの子供を殺すこととか、いろいろ発見されているが、人間の世界というのが観念的であるがゆえに目の前の現実より、内的世界のほうが補題化しているという点に気付かされた一冊である。

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