全体主義の起原 1 ――反ユダヤ主義

  • みすず書房
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感想 : 13
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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784622020189

感想・レビュー・書評

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  • アーレント読破プロジェクトの本丸。

    「全体主義の起源」は、「革命について」とともに、アーレントの本で最初に読んでみたいと思ったもの。

    なんだけど、なんだかとっても難しくて、なんども最初の10数ページで挫折していた。

    今回は、「人間の条件」「革命について」「エルサレムのアイヒマン」などを読み、さらにアーレントの処女作「アウグスティヌスの愛の概念」、「ラーエル・ファルンハーゲン」を読み、さらに30~54年に書かれた論考を集めた「アーレント政治思想集成」を読みで、周囲を固めてから、読んでみた。

    これぐらい事前の準備をすれば、読めるはずなのだが、「ユダヤ人」問題については、門外漢のせいか、やはりかなりわからない文章が続く。

    と言っても、アーレントの哲学的な著作に比べれば、かなり読みやすいので、我慢しながら、読み進めると、半分くらいきたところで、急に視界が広がる感覚があって、最後の方は、一気に読めました。

    これは、「全体主義」の話とは独立して、相当に面白い、スリリングな論考だと思う。

    どうすごいかは、また別の機会に。。。。(今の時点で、要約すると、色々な解説本で書いてあるような話にしかならない気がするので)

  • 若いころにも図書館で借りて読んだ。全体主義とは何かを振り返りたく、そして水泡に帰する目標のもと、社会や文明への視点を度外視して達成されさらに無意味にただ動き続ける装置としての産業社会を見つめ直したく読むことにした。
    様子を一読するために借用、借りて読み通すだけでは時間も少なく深く潜れないので、改めて買うことにした。アウトプットは購入した新版読了後に。

  • 全体主義の起源というよりは、反ユダヤ主義の歴史というものであった。そこでの事件がドレフュス事件である。ユダヤ主義への反対がどのように起こっていたか、ということでは参考になるであろうが、全体主義そのものの説明を求めようとする人にとっては不満であろう。

  • 本物の本。読み応えがある。一回では内容が抑えられない…

  • 「モッブから生まれモッブを支柱とする専制政治」ー知的倫理的低劣さにかかわらず、支配的地位を占めている。上部での勢力が、下部での端的な蛮行を暗に認め促す。

  • いよいよハンナ・アーレントの『全体主義の起原』にとりかかる。しかしこの全3巻の高価な書物が「反ユダヤ主義」なる表題の第1巻(第1部)から始まるということが、多くの日本人を戸惑わせる。アーレントが語ろうとしている全体主義とはもちろんナチズムを意味していると思われ、確かにそこにはあの異様なホロコーストがあった。しかし全体主義そのものと反ユダヤ主義とは見かけ上、別個の事象であるように見え、反ユダヤ主義に最初の巻を当てるという意図は、私たちには少し違和感を感じさせるのだ。
    しかも私たちはユダヤ人のことをよく知らない。ヨーロッパ中世において既に、幾つかのユダヤ人迫害や虐殺の歴史があったことを我々は書物を通して知ってはいるものの、それが何なのかはよくわからない。
    ユダヤ人といえば、学問・思想・芸術などの分野で極めて傑出した超一流の人物が登場してきたことは事実だ。
    そして一方では、現在もなお「ユダ金」の国際的陰謀説などというものがまかり通っていて、日本のリベラル寄りの人々の中にさえ、それを心から信じている人もいる。
    そもそも「民族」とは幻想の概念に過ぎないのではないか? という疑問を持ちながら、半ば保留しつつ、アーレントの記述を注意深く読んでみた。
     しかし本書はなかなかに難解である。すこぶる錯綜した近代以降の歴史を、非時系列的に追いながら、すこぶる錯綜した記述が続いているのである。それはあたかも、複雑性そのものであるかのような世界を、複雑性そのものの文章として呈示せざるを得ないという主張が具現されているように見える。
     アーレントは繰り返し「反ユダヤ主義(政治的なもの)」と単なる「(民衆の)ユダヤ人憎悪」との違いを強調している。確かに歴史記述の都合上はそうかもしれないが、私にはこの2つは共に関連し合っているように思える。
     けれども「ユダヤ人 vs. 非ユダヤ人」という二項対立の歴史観が出現した近代以降に、「ユダヤ人問題」が誕生したというアーレントの指摘は重要だと思う。
     また、国民国家の没落と、危機を発端とする資本主義経済への疑問の生成と、反ユダヤ主義の政治への台頭とが、同時に起こっているという指摘も非常に興味深い。
     アーレントは、本巻で描かれた反ユダヤ主義の歴史(19世紀後半から20世紀初頭)を、全体主義の登場の前提として捉えているようだが、どのようにこれがその後の歴史に絡んでいくのかは、後続の巻を読んでみなければわからない。
     非常に興味深く、ところどころ、反ユダヤ主義とは離れた箇所で面白い政治的批判が見られるものの、極めて錯綜した難解な本書が、読者を2巻・3巻へと進むことを断念させはしないかと心配である。

  • 貸し出し状況等、詳細情報の確認は下記URLへ
    http://libsrv02.iamas.ac.jp/jhkweb_JPN/service/open_search_ex.asp?ISBN=9784622020189

  • 正直言えば、思想としてはまだこの頃は荒削りなまま感情に任せ筆を取った荒削りなものだ
    それでも、あまりにも数奇で想像もつかない時代を生きてきたアーレントの声は、論の拙さを超越して、ガラクタ時代の一つの結果としての絶望的な世界を見せてくれる

    あと訳がいい加減古い

  • 面白いのは、ドレフュス事件の独特な解釈です。ドレフュスの親族や有力ユダヤ人は、フランス国民としての権利を主張せず、ユダヤ人であるために不当な迫害を受けたのだから、ユダヤ人としての権利を主張したために、賎民の立場を強いられたユダヤ人を明るみにだし、ユダヤ人一般への迫害をエスカレートさせるきっかけになったと分析しています。ただ、当時の行商や未熟練労働に携わる貧しいユダヤ人は、東・中央ヨーロッパ、ロシアに居住しており、第2部の「帝国主義」の内容とどうつながるのか、頭を悩ませております。

  • 2009/
    2009/

    ドメナックと寺山の対談に全体主義のことがあったので、ハンナ・アーレントの全体主義に関する本をとりあえず登録しておきます。

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