丸山真男の世界

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制作 : 「みすず」編集部 
  • みすず書房 (1997年3月6日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (163ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784622036586

丸山真男の世界の感想・レビュー・書評

  • 丸山眞男については、現代の日本人として必ず享受しておかなければならない知的財産だという認識は一応持っているつもりでも、どうにもとっつきにくくて、主だった著作の『日本政治思想史研究』『現代政治の思想と行動』『日本の思想』『戦中と戦後の間1936-1957』『文明論之概略を読む』の5冊を読んだきりで、岩波の全16巻+別巻1の著作集まではとても触手が動きませんでした。

    それでも講義録だの座談だのと周辺の雑本をちょこちょこと読んでお茶を濁しているとき、敬愛する哲学者・翻訳家の長谷川宏『丸山眞男をどう読むか』(講談社現代新書・2001年刊行)を手にしてからは、多少は目覚めてもっと本格的に読まなくては・・とは思っていたのですが、実際はなかなか遅々として進んでいませんでした。

    今回この本に接したのはまったくの偶然で、それは愛読しているweb『週刊読書人』4月22日号の編集者コラム「風来」で言及されていたからです。

    ここには、彼が尋常小学校4年生(9歳)の時に書いた「恐るべき大震災火災の思出」という作文が収められていて、それは1923年(大正12年)の9月から10月初めにかけて書かれたもので、幼い丸山眞男少年は翌年8月には、この自分の作文をわざわざ仮綴じ製本して、奥付・書名・著者名の他に「尋常四年」の検印や「非売品」とまで鉛筆で書いて、著書の形を模倣したのでした。

    「大正十二年九月」と記された序文は、こんなふうに書き出されています・・・・・・・・

    「恐るべき、大震災火災、帝都を一夜の内に荒野にしたる出来事。それが大正十二年九月一日午前十一時五十八分四十六秒に起つたのである。今まで、しづまり返つた帝都に、突然此の様な事が起るとは! 何と云ふ恐ろしさであらう?」

    その後の、第二章の「大震災火災!」の書き出しは・・・・・・・・・・

    「お昼に近くなつて来たので、御飯の用意をした。/すると突然、『ガタガタガタ』と地震がすると同時に、天地もひつくりかへる程の上下動の大地震がした。僕等は皆まんなかに集まつた。柱がゆれる。かべは落ちる。すすが頭にふりかかる。まるで舟にのつて暴風雨にあつたやうにゆれる」

    そして第五章には、「恐ろしいうわさ」として・・・・・・・・・・

    「それから又朝せん人が、ばくだんを投げたり、するそうで、市の方で、けいかいが、げんぢゆうになつたから、こつちの東中野の方へ来たと言う話」と書かれています。


    それから、その後の「付録二 自警団の暴行」では・・・・・・・・・・

    「朝せん人なら誰でも来い。皆、打ころしてやると言う気だからいけない」と、
    明確にきっぱりと自警団を批判しています。

    コラム「風来」は、今から88年前に起こった関東大震災の際の理不尽な朝鮮人虐殺に、真っ向から真摯に触れた丸山眞男の少年時代の文章を、東日本大震災の余震中に眼にした、という記述で終わっていますが、すこし甘いかもしれませんが、私、これにはいたくこころ動かされたのでした。

    全共闘運動をまったく理解できなかった時代性というか、彼の思想の限界など、その後の変節は多少あるとしても、少年時代のこの確かな眼は疑いもなくまっすぐな真意として、生涯持ち続けたはずだと確信したのでした。

  • 丸山真男読者にとっては、間違いなく必読の一冊である。これについてはもう少し長い書評を別のペ-ジに掲載しているのでご参照を賜りたい。そこでも触れているが、一人あたりの文章のボリュ-ムが小さいこと、そして執筆者の数が少ないことが不満として残った。読者が期待する「決定版」としては、やはり加藤周一と安東仁兵衛の文章が必須である。

  • 丸山の追悼集。
    日本を代表する英知に世界中が追悼する。
    丸山は英語よりもドイツ語の方が得意だった。
    幼少時に四ツ谷にいて、大人になって上高井戸、吉祥寺という私のよくいるところに住んでいたので非常に親近感あり。
    思想研究とその与えた影響も大きい。

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丸山真男の世界の作品紹介

戦後の世界に問題提起をつづけた丸山真男については、昨夏に氏が亡くなられて以来、さまざまな議論があった。本書は丸山の人と思想を新たにみつめる。25の追悼文に4つの遺文を収録。

丸山真男の世界はこんな本です

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